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BABY BOMB!!  作者: 未芹


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双子

「ぐりとぐらだったんだ。」

童話の題名の話ではない。


海辺での一件から1週間が経っていた。つまり、藤城亜美ことべべがモデルとして大きなイベントに出るという内定後。


学校はまだ自主的に休んでいるが、危険性があるという事で、マーダー協会の公休扱いである。


「せっかく俺が転校してきたのに、2人ともいないなんてな。」つまらなさげに言うのは東波学園で同級生だった滝谷ことぐりだった。

そう。ぐりに指令が下りて、遅れて浮葉東高校に転校して来たのだ。


そのぐりと、バブにべべ、シノブさんの4人で今なんと原宿のカフェにいる。

なんというか。見た目にもよくわからないメンツだった。


バブとべべが長期休みになり、とっくに博士号まで取得しているスーパーエリート・バブ様は問題ないものの、べべは真っ当な現役JKなので、試験前にノートやプリントが欲しい。

転校したてでまだクラスにも馴染んでいないというのに、同高だったという特権を振りかざしてぐりが渡しに来た。


「で、なんでこの時間なんだよ。授業中だろ。」(やりたい放題かよ。)とうんざりしたバブ。

ぐりは久々にべべ達に会えたのが嬉しかったらしく、嬉々として「"退屈凌ぎ"だよ。」と答えた。


バブはシノブさんのお供で買い出しの荷物持ち兼、ボディガード。

べべはぐりと会うにしても単独行動は厳禁と言われている為、話し合いの末このメンバーでお茶をする羽目になった。

気の毒なのは巻き込まれたシノブさんである。


高校生のカップルには見えない男女と、年齢不詳の金髪美形くんに囲まれ、その親世代にちゃんと見えるだろうか。

慣れない場所柄、少しばかり周りの目を気にしつつパンケーキをつついていた。



「それで、ぐりも双子だったの?」

冒頭のぐりとぐらの話に戻る。


「うん、名前通りね。俺、双子の弟がいた。」

でも10歳の誕生日を目前にラオスの奥地で破傷風に罹って。

双子の弟、ぐらは血清が間に合わず亡くなっていた。


そうなんだ。


3人の沈黙に耐えかねて、ぐりが慌てて言う。

「いや、そうは言ってももう時間が経ってるよ。」


そして、ふと気づく。

「あれ?シノブさん『ぐりも』って言った?」


「そうなの、私も双子で、妹が。いるの。」

シノブさん、カタコトみたいになってる、とべべが笑う。

シノブさんの話は初めて聞いた。


「妹さんは現役?」現役マーダーなのか聞いたのはぐり。

「ううん。私達は2人とも落ちこぼれでね。」


施設所員になったシノブさんよりも随分早く、10代でマーダーではなくなったと言う。


マーダーは国家機密を知り過ぎている。基本、その世界から抜ける事はできない。

シノブさんの妹は、どうしても人を殺せないと直訴し、嘆願し、逆に人を救う事に生命を捧げる決意を固めた。

勿論、国家のマーダー養成所にいた身で普通の仕事はできない。



『しいちゃん、ごめんね。私、どうしても人を殺せない。戦地で人を助ける仕事に従事したいの。』


『かのちゃん、今までたったふたりで生きて来たのに。2度と会えないかもしれないんだよ。』


『ごめん......しいちゃん。』



渡航する前。別れ際のか細い声を思い出す。



「唯一の道が、LGOだったの。」一般人には耳馴染みがないが、私達は知っている。


LGOとは"Life Guardian Organization"の略。

つまり、ライフ・ガーディアンと呼ばれる世界救護隊隊員の事。


妹は殺戮者から戦場で敵味方の区別なく"人を救う人"になりました。


「世界のどこにいるのか。生きているのか死んでいるのかすら、もう分からないわ。」

シノブさんがそう言ったところで、それまで黙って聞いていたバブが口を開いた。


「べべ、時間じゃないのか?」



今日は今からPUREGIRL誌の撮影。

そして、まもなく来月開かれるPUREGIRLのイベント、クリスマス・ガールズフェスタのリハーサルも始まる。


当分忙しいべべはマネージャーの木本の他にも誰かが付く事になっている。

べべ自身、格闘家でマーダーなので護衛とは言いたくないが、相手が複数人だと身を守れない可能性がある。納得し難いが仕方ない。


今日はバブがシノブさんの護衛の為、ぐりを呼んだ。

ぐりが早退してまで来たのは、べべの警護のためでもあった。


「ぐり、べべを頼んだぞ。」

"ラジャー"と軽いが身も軽い。助っ人としては頼もしいが、こと格闘技はべべが別格の為、べべの方が強かったりする。


(ぐりには判断力と、回避能力に期待しよう。)

こっそり思ったのは、あろうことか3人同時だった。


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