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BABY BOMB!!  作者: 未芹


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海辺の戦闘

「バブ。」


ライトとの過去を聞いたあと、ふたり海を見ていた。

その時、べべが声を顰めて囁いた。


「ん。」


海を見たまま、バブが"わかってる"というように微かに返事をする。



(囲まれてる)


足音を砂浜で殺し、何者かが遠巻きにふたりを囲んでいた。


「10人くらいか。」

気配を読む。



(バブごめん。アタシ銃持ってきてないよ。)


マーダーランキングホルダーのバブと違い、べべはまだ任務時の許可がなければ銃を携帯できないでいた。


その代わり。

べべの手が静かに腰の方へ伸びた。


愛用のT時型の小型ナイフ、プッシュダガーがベルトの裏に仕込まれている。

戦闘準備完了。べべは手のひらに収まるそれをそっと確認した。


(まだ出番じゃないかな。)


ダガーを出す時は殺戮開始。べべが止まらなくなるスイッチだ。

ダガーを持つべべはなるべくこの日本では出現させたくはない。


(まずは体術だけでいきますか。)



海風に逆らうように、どこかで"カチッ"と音がした。

瞬間、ふたりが左右に分かれ横っ飛びに転がる。

ふたりがいた場所に銃弾が当たったのがわかった。激鉄を起こした音だった。


(うわぁ、銃じゃん。見通し良すぎ。)

べべが頭を抱えたのは海辺。身を隠す場所が皆無である。


この浜辺は車の乗り入れが可能な硬さのある砂浜だ。

ふたりが乗ってきた車まで逃げ切るには少し距離があった。



だが、待てども二陣が来ない。

銃での攻撃は一度だけ。


(なんだ、威嚇だけか?)

バブも様子を伺う。


見たところ、背中越しの気配通り10人に囲まれている。

闇の中で相手の顔どころか装備すら見えないのが致命的だったが、確かに銃装備をしているのに。


どうやら飛び道具は使わないのか。

使うなら距離を取ってる今だろう。さっきみたいに俺たちの場所を正確に撃てるなら暗視スコープも着けているはず。


(こいつら、何がしたい。)


バブが考えている間にべべに向かって1人が突っ込んだ。


「ベベッ。」バブの呼びかけに「GO!」


既に対峙しようとべべも走っていた。

集中した時のべべがまともに答えなくなるのは、最高戦闘モードの際の常。


(落ち着いてるのか、楽しんでるのか。)

べべの心情を慮ってニヤリとしたバブにも相手が飛び込んできた。



顔目掛けて空を切ってきたハイキックの気配を寸前(すんで)でブロックする。


(こいつ、モデルの亜美ちゃんの顔を狙ったな!むきっ!)


ブロックした足にそのまま両腕を絡めて低く巻き込んで倒す。


カリと極真空手をミックスしたべべ独自のスタイルは、プッシュ・ダガーを加えて最恐マーダーになる。


(寝技も得意なんだけどな。残念。)


ブラジリアン柔術も得意だが相手が複数ではひとりずつキメて、すぐさま次に動かなくてはならない。


(寝てる場合じゃないですよ、っと。)

急所突きを決め、悶える敵を置いて飛び起きる。もう次の相手が目の前だった。


(闇稽古とか、久々だなぁ。)


バブの予想通り、べべは楽しんでいる。


そして、こちらも。

砂地に足を取られやすいが、砂漠での実地訓練を何度も経験しているバブに死角はない。

相手が武器を使わないうちは、と、べべと同じく素手で相手を倒していった。


何人目かの相手をしているその時、べべの方から微かな金属音が聞こえた。

誰かが刃物を出したようだ。


「べべ!待った!」


相手が武器を出せば、同時にべべのダガーが飛び出す。

べべに殺戮のスイッチが入る前にバブが叫んだ。


「おい!もういいだろ!」


叫ぶバブの静止にべべも我に帰る。「え、何?」


「出て来いよ、ライト。」



それほど離れていないところに、いつの間にか車が停まっていた。

芝居掛かった拍手をしながら、車内から影が降りて来る。



「さすがやなぁ。なんでわかったん?」



ひとり、高みの見物をしていたのはライトだった。

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