2045
フタマルヨンゴー、侵入開始。
第一陣の侵入経路は2箇所。
最初に俺たちが侵入した倉庫裏の通用門と、今出て来た部室裏のフェンス。こっちはイレギュラー。
フェンスからは1人ずつしか入れない為、俺、べべ、滝谷ことグリと精鋭7人が呼ばれた。
60人が通用門から侵入、残りは第二陣。
車両部隊として正門付近で待機する。
中に入れば外部との連絡は遮断される。60人のうちの誰かが正門を開けるのを待つしかない。
以上。入れば各自、頑張りましょう。
Good luck!
敷地内。
中に入った俺たちは体育館側に直行する。
もちろん、兵士があちこちに見えるのを掻い潜る。さっきまでの滝谷でなくグリは動きそのものが別人だ。かなり訓練してきた上級マーダーじゃないか。こいつめ。
俺たちは難なく体育館に近づいた。
体育館は全部の窓に分厚いカーテンが引かれていて僅かな明かりすら漏れてこない。中の微かな物音も聞こえないこの性能よ。
考えてみると、この体育館にはよくある足元の横長の小窓がついていなかった。これは最初から、この秘密裏に行うオークション会場として設計されていた為か。
なるほどね、そう思いながら体育館の侵入経路へ外から回る。
中のステージ袖に当たるその先に裏口がある。
俺、べべと3人が上手、グリと残り4人が下手に分かれた。
裏口の外には、当然見張りが2人立っている。
こいつらは軍靴を履いていない。東アジアマフィアの下位戦闘員か。
Tシャツにカーゴパンツ、キャップにスニーカー。立ち方も軍人じゃないな。ザコい。
20時50分。
陰から飛び出した俺に気づいたが遅い。滑り込み、そのまま両足を蟹挟みにして1人倒した。
同時に逆サイドからべべが飛び込んで、もう1人が銃を上げるその前に、後ろに周りスリーパーを決める。俺も飛び起きて、倒した相手の頚椎に体重を乗せた肘鉄を見舞った。
秒速で終わらせる。
泡を吹いた2人は、共に生命に別状はないが戦闘不能。
次の定時の無線連絡が2人に入る前に中で暴れるか。
ドアの内側に見張りがいないか、静かにノブを回す。
隙間から覗いた限り、辺りに人影はない。5人が続いて入る。
中に入ると途端にマイクの声が広がった。
「次は、こちら。7歳から16歳の10人です。花嫁にするもよし、奴隷にするもよし。お好きなようにどうぞ。」
下卑た声だけで、嫌悪感。鳥肌ものだ。
女の子達の啜り泣きが漏れてくる。泣き叫ぶと容赦なく痛めつけられるのだろう。
「死ね。」
俺にしか聞こえないような微かな声がした。
隣では呪詛を吐いたべべが、怒りの瞳でここからでは見えない敵を睨みつけていた。
べべは幼少期、東南アジア圏内の各地にいた。その際、少女達がどれだけ酷い目に遭っていたかを見ていたし、守るには自分も幼すぎ、また自分だけが逃げる事が出来るという現実に胸を痛めていた。
オークションはまだ続いていた。




