東波学園 接近 ②
「オークション、今日だって」
マレー語だったと付け加える。
滝谷に聞こえぬよう、耳打ちするべべは幼少期に東南アジア各国を転々とし、言葉が堪能だ。
今回はこの能力も買われてのミッション参加メンバーだった。
さっきの見回りには気づかれずなんとかやり過ごせたが、彼らの会話からは相手の規模が全く読めない。
マレー語か。
使用国は複数の為、国の特定はできない。インドネシア、マレーシア、シンガポール、ブルネイ辺りが主な使用国。他にはフィリピンやタイの一部も使われている。
特定にはまだ情報不足だな。
先に反応すべきは
「今夜かよ。オークションを今やってるっての?」
オークションが今、開催中だとは。なんでこんなに静かなんだ。
俺らの見張りはここ数日、一体何やってたんだよ、と本部に連絡......を、試みたが圏外。
べべも同じく首を振ったようだ。
窓の脇に立つ。つられて滝谷も動いた。
「滝谷!窓の正面に立つな!」
思わず小声で注意する。
「うぇっ。」と変な声を出した滝谷が驚いて動きが止まった。
「おま、おま、お前、喋れるの?安堂」
頼む、黙ってろ。俺が思うと同時にべべが促した。
「滝谷、こっち。」
今日がオークション当日だと言うことは、兵士の他にも侵入者が多いだろう。
窓際に立つのは見つかる可能性が高い。
カーテンの陰から校庭を見る。
広い校庭には4tトラックが4台どころか、10台以上停まっている。
よく見るとそれぞれのトラックの陰に数人の見張りが見てとれた。
いつの間に。
そして、それら大部隊が外部から見えない事と、外部への連絡が圏外になっている理由は。
この学園の売りでもある、あの敷地を囲んだ高いミラーレスネット。あれか。
外部から中が見えないようにするネットにジャマーの性能を仕込んだのか。道理で高い学費を徴収するのな。その為かよ。
あのミラーレスネットは、野球部などの盗撮禁止の名目で設置されたが、毎回のこの大規模な国際犯罪の目眩しをする為の設備だったようだ。
(やってくれるぜ。)
俺やべべの学費は公費で国から落ちるが、一般家庭がこの学園の高額な学費を支払う意味!
支援金じゃねぇか、バカバカしい。
そんな資金源であるこの場所をまずぶっ潰さないと。このままだとそのうち国だって乗っ取られるっての。
早く本部に知らせて本隊と合流しないとな。
「なんか、ヤバい事になってんの?俺ら帰れる?」不安そうに滝谷が言う。
(あ、こいつがいるんだった。)
まずは、滝谷をさっきの通用門から出してっと。あれ?
「おい、お前。」
話し始めた俺に滝谷がビビってるのは判るが構ってられない。
滝谷、お前どっから学校に入って来た?




