潜入
「やだぁ。何でその格好?」べべがさも嫌そうな顔をする。
なんだよお前。文句あるの?
俺も盛大に嫌そうな顔してやる。
「だってバブ。潜入するのになんで安堂コスなの?」
べべが不満全開だ。めんどくせー。
「コスって言うな。」
コスチュームって言え!って問題でもない。
校舎に潜るんだから、万が一見つかっても生徒なら問題ないだろ。
制服も着て完璧。黒髪、眼鏡を掛けて俺は今、安堂尋だ。
「は?安堂に文句あんの?」
口を尖らせて、私のモチベ!だって?!......お前バカ?
ミッションとモチベーション、どっちが大事だよ。
「モチベ大事だもん。上がったら頑張るもん。」
......ガキがいる。誰だよ連れて来たの。
バブ金髪がトレードマークじゃん、とまだ文句言ってるよ。
JKめんどくせーー。
下見だから制服でいいかと思っていたが、「ダサい安堂と一緒に歩きたくないよぅ。」とゴネるべべがうるさ過ぎて根負けした。
仕方ねぇ。
今日ガードマンは、いても少ない予定。
溜め息をつき、見つからないならいいやとばかり服だけ私服に着替えた。これでいいだろ。
「おら、いくぞ。」
べべの腕を軽く叩いて出発。
「わーい、デートだデートだ」と後ろからハートのついた矢がびゅんびゅん飛んで来てるのは気のせいか。
お前な、仕事だっつーの!いい加減にしろ!
べべ。お前トレーニングと称してスキップは痛すぎないか。
俺のバディデビューだろ。
一応口にせずにおく。せいぜい明後日、頑張ってくれ。
今日はもう諦めとくよ。
当然。
学校が近づくとべべも慎重になった。
あれだけ浮かれていたのは、やはり緊張もあったか。そうは言っても、本番は明後日の筈。
連日交代で入っている見張りからも特に変更らしい連絡はない。
昼間にトラックが2台出て行き、こちらは恐らく甲子園行き。
夕刻にはトラックが4台入ったと連絡があったきりだ。
普段、寮生でいっぱいの野球部とサッカー部専用の寮二棟は暫く無人になる。
という事で、普段交代でいるガードマンも8人体制から半分に減っている。
当然マフィアの息のかかっている者達だろう。
こいつらに見つからないようにだけ注意する。
監視カメラがある為、正門も裏門も使えないのは予定通り。
正門から通りを左手に回りこむ。体育館の隣にある倉庫の裏に以前使われていた搬入口があり、現在は施錠されたまま放置されている。そこに設置された古い監視カメラは故障中だ。
勿論、2日前に俺が壊しておいたから。
搬入口の高さは2m弱。とっとと飛び越えて潜入開始と行こう。
さぁ、行くぞ。
目配せをしたその先を注視する。
動きを止めた俺に、べべも気づいたようだ。
2人は倉庫の前に人影を見た。




