エピローグ
レンフレット大森林での騒動を終えてひと月が経過しようとしていた。
リリーたちはアンリアハット近郊の村へとやってきていた。
水平線の先までを一望できる崖に、剣の刺さった墓石がぽつんと置かれている。
それはレオンの遺骨が眠る墓であった。
当初はレーベンティアに墓を建てようとしたが、レオンの育った場所に眠らせるべきだろうとニーナが言って、このような形となった。
ちなみに火葬は費用がかなり嵩む弔い方なのだが、そこはジェイドの図らいによって事なきを得ていたりする。
墓前に花を添えたリリーは手を合わせて目を瞑り、ここ数日のことを心の中で語って聞かせた。
お墓を用意するのが遅くなってごめんなさい。
せっかくならと思って、レオンが住んでいた村の近くに建てました。
余計なお世話かもしれませんが、気に入ってもらえると嬉しいです。
それと、初めて海に来ました。
聞いたことはあったけど、本当にしょっぱいというか苦い水なんですね。
波が岩に当たって砕ける迫力はすごいし、でも夜に聞く波の音はすごく穏やかで優しくて、なんていうか心地いいです。
海は泳ぐものだってニーナが言っていたので、泳ぎを教わりました。
最初は顔の穴という穴に海水が入ってきて苦しみました。
でもニーナの教え方がいいのか、すぐに泳げるようになりました。
意外だったのは、リゼが泳ぐのが苦手だったことです。
リゼにもできないことってあるんだなって、ちょっと驚きました。
ニーナからは釣りも教えてもらいましたが、こっちはあんまり面白くありませんでした。全然釣れません。
泳いで、潜って、網とか銛で捕まえる方が楽しいです。
それと、近いうちに沖に出て島を作るらしいです。
私の中の魔女さんが言っていました。
とんでもないですよね。
レンフレット大森林の巨大樹は今でも実感が湧きません。
同じ規模で島を作るとなると、いったいどうなるんでしょう。
今はまだ海が荒れているとかで、船が出せないみたいです。
なのでしばらくはここに滞在することになっています。
迷惑じゃなかったら毎日来るので、寂しがらないでくださいね。
多分、島を作り終わったら、あまり来れなくなるので。
「リリー、ちょっと手伝って」
「はーい! 今行きます!」
ニーナに呼ばれたので、行ってきます。
また来ます。
「……さようなら」
剣の柄頭に軽い口づけをして、頬を赤らめたリリーはそそくさと駆け出した。
完結です!ご愛読ありがとうございました。
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