表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/30

第二十八話 王城にて

「ふ、ふぅ……」


 ラクトの肉体から影を司る悪魔を分離させた後、何もすることができなかったリヴは息を吐く。


「アンタ、この前会ったよな? 何でここにいんだ?」

「レヴィの指示だ。お前が王城に向かっているからその手助けをしろとな」


 おぉ!! 俺がこういう目に遭うのを知ってたのか!! 流石レヴィさん!!


 レヴィの的確な指示にリヴは素直に感心した。


 今のは上位悪魔か。つまり残り、最低でも九匹の上位悪魔がこの王都にいることになる。


 マルスは冷静に周囲を見渡しながら状況を整理した。


『定期通話!! 定期通話!!』


 するとマルスの耳に付けているマジックアイテム、通話耳飾イアホンから仲間の声がする。


「たった今【アンデッド】と合流、上位悪魔の一体を倒した。他の状況はどうなっている?」

『はい。まずスルガ様とバルトルト様が上位悪魔を一体討伐。スルガ様が死亡。ほぼ同時刻、ミネヴァ様と別の上位悪魔がミネヴァ様の結界内で戦闘を開始、上位悪魔を結界内に封じ込めました。更に数分後、ラベーナ様、スぺ様、シンガ様が南側で上位悪魔との戦闘を行い勝利、シンガ様が重傷を負いました。更に西側と東側でそれぞれ上位悪魔による襲来にグリード様とボアビ様がそれぞれ対応。どちらも相討ちで悪魔を仕留めました』

「……そうか」


 上位悪魔との戦闘、無論同業者の死も覚悟していた。

 だがこうして聞かされると、マルスはやるせない気持ちになる。死んだ者たちは皆、絶対に寿命以外では死なないだろうと信じて疑わない強者ばかりだったのだ。


 更に、伝達役の者は主要な上位冒険者についてしか言及していないが、その他の冒険者も数百人単位で死亡しているだろう。


 ――仇は必ず取る。

 残りの上位悪魔は四体、何としてもここで全て殺して片を付ける。そして……二度と悪魔に怯えない世界を作ってやる!!


 マルスは固くそう誓った。


「おーい、何難しい顔してんだアンタ?」

 

 すると、そんなマルスに対し呑気な表情でリヴは首を傾げていた。


「……」

 

 一瞬苛立ちながらも、心を平静にしてマルスは言う。


「とにかく、王城に急ぐぞ。悪魔たちの目的はお前だ」

「え? あ、あぁ……」


 マルスの言葉に従うように、リヴは王城へと再度足を向けた。



「おい!! おい本当に大丈夫なんじゃろうなぁ!?」

「はいはい、だいじょーぶですよ王様!」


 慌てふためき、取り乱す王をレヴィは宥めている。


「王城には特殊な魔法壁を張ってるから滅多に攻撃は通らないし、仮に侵入されたところで私たちがいます! 問題無いですよー!」

「うぅぅぅぅぅ!!」


 だが王は不安に心が揺れ動いているようだ。


「あぁ、あぁあぁあぁ!! 何でぇ何でこんなことにぃ!!」


 頬を指で引っ掻きながら、王は叫ぶ。


「あーあー! ダメですよ王様! 自傷行為は体に悪いです!」


 王は精神病を患っている。常に国民からの期待が圧し掛かり、いつ不測の事態が起こるかもしれないという不安が付き纏い、彼の心は壊れてしまったのだ。

 よって、今の王は権力こそあれどその判断や決断は周囲の者に委ねられる。

 今回の悪魔の襲来に際し、民を非難させ防衛体制を迅速に引けたのはこれが大きい。


「レヴィ!! 大丈夫なんじゃよな!? 大丈夫なんじゃよなぁ!?」


 王はレヴィに最も信頼を置いている。なんなら自分の妻やその他の血縁者よりも。

 彼は『最強』を信じている。……いや、正確には『最強』が言うのだから間違いない、大丈夫だという信頼という名の麻薬を得たいのが本音だろう。

 そして、仮に失敗したとしてもやり玉に挙げられるのはその『最強』だと。彼はレヴィを責任転嫁の駒の一つとして見ていた。

 ――そんな不遜な考えは、全く以て無駄にも関わらず。


「さ、とりあえず王座に座り直して、ほらほら」

「う、うむ……」


 すると、王の間の扉が勢いよく開いた。


「レヴィさん!! 上位悪魔の内六体が討伐されたそうです!」


 王城内の警備を任されているランキング上位の冒険者がレヴィにそう報告をする。


「おー、やったねー」


 が、対するレヴィはどこかどうでも良さげだった。まるでそんなことは重要ではないかのような、そんな表情すらしている。


 ――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 その時だった。突如として、王の間の中央部に空間の歪みが発生する。


「……ん、来たね」


 レヴィは待っていましたとばかりに、その歪みに目を向けた。

 歪みは徐々に大きくなり、奥に何があるのか分からない程の暗闇が生じる。そしてそこから、四人の人間が現れた。


「数百年ぶりに来たが、やはり変わらないな」

「そーいうもんですよ。伝統を重んじる建築物なんかは内装こそ多少変わっても構造とかは変わりないです」

「ここの空気、嫌い」

「まぁー人間が生活している所だからね。僕たちに合わないのは仕方が無い事だよ」


 異常な登場の仕方にも関わらず、四人は何てことないように日常会話のように話を続ける。 

 だが、問題はそこではない。

 

 ――ゾワリ


 その場にいるレヴィを除く全員がその四人から放たれる圧倒的な邪気に鳥肌が立ち、過呼吸に陥った。


「ひ、ひぃ……!! ひぃ……!!」

 

 彼らが纏っているオーラの凄まじさに、戦闘経験が一切ない王ですらそれを感じ取り、失禁してしまう。


「一気に四人か。ちょっと面倒だね!」


 レヴィは笑顔を崩さぬまま、四人の前に立った。


「やぁやぁ悪魔の皆さん! ごきげんよー!」


 大きな声で挨拶をするレヴィ、それに対し悪魔と呼ばれた彼らは顔を見合わせる。

 そう、レヴィの言う通りこの四人は四人では無く四体、人ではなく上位悪魔。残りの四体である。


「何この人」

「あー私はレヴィ・ディザスト! 一応冒険者で『最強』やらせてもらってまーす!」

「うん。確かに強いね。並みの上級悪魔じゃあ手も足も出ないだろう」

「つまり一番の強者……であれば、おい女」

「ん、何?」


 一体の悪魔にレヴィは呼び掛けられる。


「【アンデッド】はどこにいる?」

「はは、素直に教えると思う?」

「……ふむ。どうやら思い違いをしているようだな。俺は質問しているんじゃない」


 ――ゴゴゴゴゴゴ!!


「命令しているんだ。答えろ、【アンデッド】はどこだ?」

「ちょっとちょっと、ズガード! これじゃあ相手の精神が壊れちゃうよ」


 レヴィに向けて圧を放ったのはズガードという名を持つ。

 上位悪魔の中で最も強い悪魔である。


「そっちこそ! 初対面の人にいきなりそんなガン飛ばすなんて、良い度胸してるね!」

「……ほう」


 ズガードの威圧に微塵も屈しないレヴィを見て、ズガードは少しだけ感嘆の声を漏らす。


「面白い。少し興が乗った。コイツは俺が相手をする。お前達は【アンデッド】を探せ」

「ほーい、一先ずこの城の中を探すよ」

「じゃあ、私は外」

「僕も外かな」

「行け」

「「「了解」」」


 ズガードの声を皮切りに、三体の悪魔は一斉に散開した。


「お、おい……レヴィ……」

「あー王様。さっきの嘘ね」

「嘘……?」

「うん! 命の保証できないや! だから死にたくなかったら頑張って逃げて!」

「お、お前……何を言ってるかぁ!? ふざけ、ふざけるなぁ!!! 儂が今までどれだけお前に金を払ってきたと……?」


 ――ぐちゃ


 王の頭が無残に飛び散った。


「うるさかったのでな」

「なら、仕方ないね!」


 ズガードとレヴィ、どこか倫理観が欠如している二人は互いに互いを殺すための圧を放つ。

 そして、コンマ数秒後。


 ドガアァァァァァァァァァァン!!


 両者は激突した。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


「面白かった」

「これから面白くなりそう」

「続きが気になる」


と少しでも思っていただけた方は、広告の下にある【☆☆☆☆☆】から評価していただけると大変励みになります! ブックマークや感想などもしていただけると幸いです!


※本作はキリの良い所まで執筆しているので、それまでは毎日更新します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ