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第十六話 炸裂!! 回復パンチ!!(リヴVSラクトのグリフォン③)

 ドスン、ドスン、ドスン。

 ぐしゃ、ぐしゃ、ぐしゃ。


 鳴り響く地響き、それに隠れて呼応するように、肉の潰れる音がする。


「グリフォンの一方的な攻撃が続くぅぅぅぅ!! いや、これはもう攻撃と言うよりも蹂躙だぁぁぁ!! 【アンノウン】『リーヴ』に勝ち目はあるのかぁぁぁ!!??」


 必死で盛り上げる司会の男だが、実際の光景は目を背けたくなるようなものだった。


「おい、俺もう見てられねぇよ……」

「ヤベェだろ。あのリーヴとかいう奴、死なねぇから何回も踏みつぶされてるし……」

「ていうかこれって勝敗どうなるんだよ。意識無くなってるワケじゃないんだろ?」

「ルールじゃ、倒れてるかどうかは司会が判断するだろ。司会だって本当はもう終わってくれって思ってるはずだよ。けど、見ろよアレ」


 観客はなおも踏みつぶされ続けるリヴを指差す。


「アイツ、潰されるたびに腕を上げるんだよ。意識が無くなってないって、まだ戦えるって分かるようにアピールしてんだ」

「うへぇ……マジかよ。正気じゃねぇな」

「どうなっちまうんだこの戦い……」


 盛り上がっていた観客席の熱は、あまりにも惨く悲惨な光景を前に冷め始めていた。

 そして、同じく観客席にいたユカリとバサラは、


「お兄ちゃん! このままじゃリヴさんが……!」

「落ち着けユカリ。奴は死なない……もっとも、このままでは勝ち目はないがな」

「そ、そんな……!」


 ユカリは下で戦っているリヴを見る。


 リヴさん……!



 クソがぁ……このままじゃあ、勝てねぇ。死なねぇけど、勝てねぇ!!

 

 いくらリヴが死なずとも、この状況が続けばいずれラクトたちの判定勝ちになるのは明白だと何となく感じているリヴは必死に頭を巡らせた。


 関節技なんてコイツに掛けられねぇし、体に掴んでも振り落とされんのがオチだろ。マジでどうすんだよコレ……!!


 そう思いながら、リヴは先ほどの出来事を思い出した。 


 ……そーだ。さっき火にやられた時、俺は何した……? あの感覚は何だった? そうだ。何か体が一気に治ったんだ。

 ――ひょっとして、俺にはまだ何か……出来る事があるんじゃねぇのか?


 激しい痛みと、度々訪れる『死』の中で、リヴは思考を続ける。だが、そんなものを待ってくれるラクトではない。


「いつまでの潰すだけじゃあ芸が無いな!! グリフォン!!」

「ガアァ!!」


 グリフォンはリヴを前足のかぎ爪で斬り裂き、リヴの腕を吹き飛ばすと同時に、彼を一瞬にして壁に叩きつけられた。


「ぐぅあ……!?」


 クソがぁ……!!


 リヴは体を動かそうとする。しかし、


 あ……動かねぇ!? 何でだ!?


 壁から抜け出そうとするが、それが出来ないリヴは原因を探るように辺りを見回す。すると、

 

 は……何だよコレ!?


 あまりにも異質な光景にリヴは目を丸くする。

 なんと自分の腕が壁に突き刺さっていたのだ。壁にめり込んだ瞬間に再生した腕が、そのまま壁内を突き破ったのである。


 抜けねぇ!! 抜けろ、抜けろよ!!


 リヴは右腕を引き抜こうと、必死で力を入れるがビクともしない。腕はこれでもかと言う程しっかりと壁を貫いていた。


「ははっ!! 無様だなぁ!! 畳み掛けろグリフォン!!」


 その光景を嘲笑うラクトは、更にグリフォンに指示を下す。


「ガアァァァァァァァ!!!」

「っ!?」


 グリフォンは走り、リヴの元へ接近する。そして前足を振り上げ、リヴに向かい振り下ろした。

 壁から動けずにいたリヴは、ソレに直撃する。


「ごほぉ……!? がぁ……っは!?」


 再び吹き飛ばされ、骨折と内臓破裂を繰り返しながらリヴは地面を転がった。そして、


 ……っ!!


 その衝撃で、リヴはあることを思いついた。


「はは……、やってみる価値はぁ……あるか」


 ゆっくりと立ち上がり、リヴはグリフォンとラクトを見据える。


「なぁリヴ。もういいだろ? てめぇじゃグリフォンに勝てねぇんだよ。大人しく身の程をわきまえろ」

「……はははは!!」


 そんなラクトの言葉を聞き、リヴは笑った。


「ワリィなラクトさん。俺ぁもう『幸せ』って奴を味わっちまったんだ。だからよぉ、ソイツは無理な話だなぁ!!」

「そうか……!! まだ痛めつけなければならないようだな……!!」

「へへ!! 悪ィが勝つのは俺だぜ!!」

「世迷言を吐くな!! 一方的に蹂躙されていた奴が何を言っている!! 勝つのは、俺だ……!!」

「オォォォォォォォォォォォォ!!!」


 ラクトの怒りに呼応するように、グリフォンはリヴに向かい突進した。


「っ!!」


 瞬間、リヴは自身の右手首の付け根を噛み、出血させる。そして意識した。

 ――再生をしないように、と。


 おぉ……すげぇマジでできた。


 リヴは右腕を真っすぐグリフォンに向けた。


 後はコ《・》レ《・》が出来りゃあ……!!


「何をしている!! 恐怖に耐えきれず血迷ったか!!」

「なワケねぇだろ……!! いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


 リヴが叫ぶ。そして、


 ブゥン!!


 彼の右拳が凄まじい速度で発射された。そしてソレはグリフォンの頭部へ向かい……。


 ――ぐしゃ。


 グリフォンの目と脳みそを貫通した。


「……ァァ」


 何が起きたのかグリフォンは分かっていない。ただ訳も分からぬままグリフォンは倒れ、死んだ。


「へへ……名付けて、回復パンチ」


 グリフォンの肉体を貫いたリヴは、そう言って笑った。


「な、何だ……何が、一体何が……!?」


 あまりにも唐突で理解不能な状況に陥ったラクトは動揺する。

 観客や司会の男も何が起こったのか分からず呆然とした。



 会場の者たちに動揺が走る中、バサラは何が起きたのかを正しく理解する。


 奴は今……自ら手首に傷をつけ、それを再生能力で修復した。だが、それはこれまでの再生とはワケが違う。言うなれば、『過剰な再生』。それこそ、新たな手を生やすほどの。

 これにより、元から付いていた奴の手は押し出され、弾丸のような速度で放たれた。

 再生能力の速度や効力を自分で調整することで為し得る芸当だな。


「お、お兄ちゃんやった! リヴさん勝ったよ!!」


 リヴの勝利に喜ぶユカリの隣で、バサラは冷静に分析した。


 そして、何が起きたのか正しく理解していたもう一人のレヴィは、


 ――ふふ、最高だよ。リヴ!


 自分が新たにテイムした存在に、心を踊らせた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


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