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第十五話 リヴVSラクトのグリフォン②

「これは何ということだあぁぁぁぁ!!?? 仮面を付けていた謎のテイマーの正体は、現最強のテイマー!! レヴィ・ディザストだったぁぁぁぁ!!」


 レヴィが姿を晒したことで、司会の男は会場の熱を上げ、盛り上げるように大声を上げる。

 そして観客たちの喧騒の中、リヴとラクトだけが、互いを見ていた。


「よぉ……ラクトさん」

「……グリフォンの突進やブレスを食らっても死なねぇとは、一体どうなってる……?」

「あー、だから言ったろ、死なねぇって」


 まぁ、さっきの炎はマジでヤバかったけど……。


 内心そう思いつつも、リヴは余裕な表情を見せる。


「ふっざけるなぁぁぁぁぁぁ!!!」


 ありえない、あり得ないあり得ない!! 死なない魔物なんているワケが無い!! 仮にいたとしても、こんな奴がそんな特別な存在なワケが無い!!


「グリフォン!! 奴を掴めぇ!!」


 現実を受け止めきれない、認めたくないラクトはグリフォンにそう命令した。


「ガアァァァァァァァ!!」

「があぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 かぎ爪の付いたグリフォンの前足に掴まれ、握り潰されたリヴは堪らず声を上げる。


「そのまま飛べ!!」


 更にラクトは命令を下す。グリフォンは数十メートル上空へと飛翔した。


「おっとぉ!? そうだったまだ戦いは続いているぅ!! レヴィ・ディザストが使役するリーヴはグリフォンに勝てるのかぁぁぁぁ!!?? テイマーとしてレヴィ・ディザストがどういった指示をするのかも注目だぁ!!」


 指示かー、そんなのしないよ。


 司会の男の言葉を聞き、レヴィは内心そう呟き、上空に目をやった。


「やれ!! グリフォン!!」

「ッ!!」


 リヴを掴んだままのグリフォンはそのまま一気に地面へと落下する。


「あああぁぁぁぁぁぁぁ!!??」


 圧倒的な浮遊感に恐怖を感じ、リヴは叫ぶ。そして、


 ドゴォォォォォォォン!!


 グリフォンに掴まれたままのリヴは、地面に叩きつけられた。


「……ぁぁ……。がぁ……」


 上から激しい力によって圧迫され、地面へとめり込んだリヴの肉体は再生を続ける。


「おいアイツ死なねぇのか!?」

「すげぇ!! あんなの見たことねぇぞ!!」


 この段階までくると、観客たちもリヴの異常性に気が付き始める。彼が『死なない』ということに。


「死ね!! 死ね!! 死ねぇ!!」


 私怨をまき散らせながら、ラクトはグリフォンにリヴを蹂躙させる。

 グリフォンは何度も何度も地面にめり込んだリヴを叩きつけた。その度に骨が砕け、肉が潰れた。


「がぁ……はぁ……ぁ」


 どう、すりゃあいいんだ。こんなの……。


 一定の間隔で訪れる『死』の痛みに、リヴはどうするば良いか思考する。

 圧倒的な対格差、人間とは異なる骨格。全てがリヴの想定外であり、付け入るスキが無い。

 ――打開策は、皆無。


「まさかこんなに早くお前をこうして潰せる日が来るとはなぁ!! 運命の女神に感謝だ!!」


 コイツがしぶといのは揺るぎない事実、認めよう。だが、それだけだ!! コイツにはグリフォンに対抗する身体能力も無ければ、魔法も使えない!! なら、コイツの戦意が無くなるまでただ攻撃を続けるだけだ!!

 そして、この戦いに勝てば俺はあのレヴィ・ディザストに勝ったことになる。そうなれば俺の名声は一気に上がる!!

 リヴを痛めつけ、名声も得る!! なんて最高なんだ!!


「はははははははは!!! どうしたどうしたリヴ!!! 何もできないじゃないか!!! これで分かったろう? レヴィ・ディザストにテイムされていようがお前が無能だということに変わりはないんだよぉ!」


 激しい罵声を飛ばすラクトと、リヴを踏み潰し続けるグリフォン。そして潰され続けるリヴ。

 

 そんな光景を、レヴィは黙って見続けていた。


「おいレヴィ・ディザスト!! これがお前がテイムした奴の正体だ!! 確かに俺が思ったよりも頑丈だった!! けどそれだけだ!! コイツは最強のアンタに釣り合うようなモンじゃねぇんだよ!! 分かったらさっさと契約解除をおススメするぜ。魔力の無駄だからなぁ!!」


 調子に乗ったラクトは、レヴィに対しそう言葉を吐く。それに対し、レヴィは無言。

 ――否、正確にはラクトの言葉など耳に入ってすらいなかった。

 彼女は一心に、リヴに期待を向けていたのだ。


 頑張れ、リヴ。


 そうして、レヴィは昼休憩の際のバサラとの会話を思い返す。



「特訓お疲れ様、バサラ。リヴを鍛えてくれてありがとね」

「いえ、俺は貴方に言われたことを遂行しただけです」


 レヴィのねぎらいの言葉に、バサラは謙虚に返した。


「それで、一つ聞きたいんだけどさー」

「何でしょう?」

「どうして『ちゃんと』教えてあげなかったの?」

「……」


 その質問に対し、バサラは無言。無論、質問の意味が分からなったからではない。彼は質問の意味を完璧に理解していた。


「私は第一試合から第四試合までリヴの戦いを黙って見てた。確かに強くなってたよ。格闘技術も付け焼刃だけどサマになってたし、それと『死なない』特性を生かしたごり押し戦法は強烈。でも、そうじゃない……リヴの真価はそこじゃない。バサラもソレは分かってるでしょ?」

「……はい」


 バサラは首肯する。彼は何度もリヴの肉体を破壊し、そしてその度にリヴが肉体を凄まじい速度で再生するのを目にしてきたことで、彼に無限の可能性を感じていた。


「俺が何も言わなかったのは自分で気付かせ、考えさせるためです。その程度の頭が無ければ、いくら強力な力を持っていようと貴方に相応しくない」

「なるほどね。まぁ確かにその通り、従順なだけの子はウチにはいらない。でも、それならバサラは甘ちゃんだね」

「……どういうことですか?」

「ユカリから聞いたよ? 何度もリヴの体に風穴を開けたって。それって、リヴに格闘技術を身に着けさせるためじゃなくて、リヴを自分の再生能力と向き合わせて、考えさせる機会を与えるためでしょ? そうじゃなきゃ普通に教えればいいもん」

「……ご想像にお任せします」

「あはは! 図星だー図星!」


 一瞬顔を背けたバサラを見て、レヴィは笑った。



 ほら、リヴ。このままじゃあダメって分かるよね? だったらどうする? どうしたら良いと思う?

 

 ――君は私に、何を見せてくれる?


 何度も何度も肉体を潰されるリヴを見ながら、レヴィはうっすらと笑うのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


「面白かった」

「これから面白くなりそう」

「続きが気になる」


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