第十四話 リヴVSラクトのグリフォン①
「さぁいよいよ準決勝!!! 皆準備は万端かぁぁぁぁぁ!!??」
『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』
「オッケイ!! それじゃあ早速選手入場だぁ!!」
準決勝戦以降は入場から行うことになっている。
司会の男の声に従うように、リヴとレヴィは入場した。
「まさかまさかの今大会のダークホース!! その姿、素性未だに不明!! テイマー『ナナシ』と、【アンノウン】『リーヴ』だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
『ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』
一回戦とは違い、リヴの戦いっぷりに魅了された観客たちは激しい歓声を彼に送った。
おぉ!! 何かメチャクチャ歓迎されてる!? 気分が良いなぁ!!
入場しながらリヴはそんなことを思う。
「対する相手はぁ!! こっちも期待の新星だぁ!! この前遂にAランクへの昇格を果たした期待のテイマー『ラクト』、そして使役するのは『グリフォン』だあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
――あ?
意気揚々な司会が紹介する対戦相手に、リヴはたちまち唖然とした。
何でラクトさんがここにいんだよ……?
唖然が動揺に変化するリヴ。対するレヴィは酷く落ち着いた様子でリヴを見ている。
「さぁいよいよそれでは準決勝第一試合!! 開始ィィィィィィ!!」
が、そんなことはお構いなしに戦いの火蓋は切られた。
「行け!! グリフォン!!」
「ガオォォォォォォォォォォ!!」
威勢の良い叫びと共に、グリフォンは四足歩行で地面を激しく揺らしながら、リヴに向かって走る。
「……」
「リヴ!」
「っ!!」
半ば放心状態に陥っていたリヴを、レヴィの声が解き放った。
そうだ、落ち着け俺!! 相手が誰だろうと関係ねぇだろ!! これまでと変わらねぇ!! やることをやるだけだ……!! やること、やることを……。
こちらに向かい突き進んでくるグリフォン。それを見て、リヴは思った。
アレ……これ、どーやって倒すんだ?
「ガアァァァァ!!」
ドゴォォォォォォォォォォン!!!
グリフォンの体当たりが直撃し、リヴは数十メートル後方まで吹き飛ばされる。
「グホォ……」
あまりの衝撃に体内の内臓がほぼ全て破壊され、リヴは激しく吐血する。
が、リヴにとって問題はそこではない。
おいどうすんだこれ……? あんなの、どーやって……!!
そう、問題はグリフォンが今までの対戦相手と全く種別が異なっているということだ。
この大会で今までリヴが相手にしてきたのは全て人型の魔物や亜人。そしてその大きさは大きくて二メートル程度。
しかし、今相手にしているグリフォン四足歩行の魔物だ。加えてその大きさは十メートルを優に超える。
パンチやキックは勿論効かないし、関節技などそもそも掛けられない。
まさしく、『詰み』である。
「ふん。立ち上がるか! やはりただの魔物や亜人では無いな。いいだろう……グリフォン!」
ラクトの言葉に呼応するように、グリフォンは口を大きく開く。そして、
「ガアァァァァァァァァァ!!」
凄まじい業火を放った。
「あああああぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!??」
炎に包まれたリヴは叫び声を上げる。
「はぁ……はぁ!!」
火よってローブが燃える。リヴば堪らずローブを脱ぎ捨て、その場をのたうち回った。
「……は……?」
リヴは仮面をつけたままなのでラクトはまだ彼が憎き相手だとは認識していない。
が、目の前の光景を前に、絶句した。
「おいおいなんだよあれ……!」
「ヤベェだろ!? どうなってんだ!?」
観客もまた、その光景に釘付けになる。
ーーそれは、リヴの肉体が再生していく光景だ。
火が肉体に引火し、リヴを骨まで焼く。
が、その度に彼の肉体は再生する。が、再生した矢先に炎は彼の肉体を再び蝕む。
それが繰り返された。
「あぁ……!! ぐぅぅ……!!」
ダメだぁ!? 何だこれ!! 火が消えねぇ……!!
炎に焼かれた肉体は、本来自然と鎮火する。燃えるために必要な材料である肉が燃え尽きるからだ。
しかし、リヴの肉体は損傷する度に再生している。新たに生成された肉や皮膚に、即座に火が引火する。
燃えるための新鮮な材料を、常時お届けしてるのだ。
くっそ……!! 何とか、何とかしねぇと、何とかぁ……!!
このままでは未来永劫この痛みが続く。そんなのは嫌だ。
「う、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
追い詰められたリヴの防衛本能が無意識に働く。そして彼は意図せずソレを行った。
そして体に纏う火を一瞬にして消火する。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「おぉ!? 一瞬にして火が消えたぞ! どうなってんだぁ!?」
「アイツの魔物の能力か!?」
観客は何が起こったのか分からずそんな声を漏らす。
リヴは自身の肉体全体を同時に再生することで、火を消したのだ。
これまでは肉体に損傷が生じた所から反射的に、特に何も考えずに再生を行っていた彼にとって、これは初めての行動だった。
な、何だ……? 俺、今……。
自分でも戸惑いを隠せないリヴ。だがともかく、彼は火から逃れる術を得た。
「っ……!!」
アレで死なないだと……!? 何だアイツは……!!
少しだけ黒ずんだ仮面を付け、火によって上半身が半裸になった相手を見て、ラクトは激しく動揺する。
「あーあ、ここまでかな。今の光景、見る人が見れば分かるだろうし」
すると、レヴィがそう呟いた。そして、次の瞬間、彼女は言った。
「リヴー! 仮面取ってー!」
「え、いいんすか?」
「うん! 私も取るから!」
そんなやり取りを経て、リヴとレヴィはそれぞれ付けていた仮面を外す。
「お、おいアレ……」
「レヴィだ!! 現最強のテイマー!! レヴィ・ディザストだ!!」
「マジかよ!? 何で大会に出てるんだ!?」
レヴィの姿を目にした観客たちは、どよめきたつ。
「……リヴ、お前……!!」
そしてその中でラクトは唯一、レヴィではなくリヴへと殺意の視線を向けた。
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