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選ばれなかった、私たち  作者: おはよう


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78話


アディエルと二人、大広間に辿り着く。


ここまで来る間、恥ずかしさに顔を上げられない私とは対照的に、アディエルは終始ご機嫌で、気まぐれに耳元へ近づいては名を囁き続けていた。


そのせいで、私はいまだ全身に残る熱を持て余している。


けれど、このままずっと俯いているわけにもいかない。

一度ぎゅっと目を閉じ、意を決して顔を上げ、アディエルを見る。


――しかし。


とろけるような笑みを向けられた瞬間、私はあっさりと負けて、再び顔を伏せることになったのだった。



そんな私の様子を楽しむように笑っていたアディエルだが、やがて挨拶に訪れる貴族たちの対応に追われ始める。


私も気持ちを切り替え、隣で微笑みながら寄り添った。



人の波がひと段落した頃、ミリアム卿がそっとアディエルに近づき、何事かを囁く。


しばらく話を聞いていたアディエルが、こちらを振り向いた。


「フィオナ、ごめん。少し行かなきゃいけないんだ」


「私は大丈夫だから、行ってきて」


心配させたくなくて、明るく告げがアディエルは、なかなかその場を離れようとしなかった。


「本当に大丈夫。……あっちのテラスで、少し休んでるから」


そう微笑むと、ようやく納得したように頷く。


「……すぐ戻るから。変な奴がいたら、大声で叫ぶんだよ」


まるで父親のような心配ぶりに思わず苦笑してしまったが、アディエルの表情は至って真剣だった。


「ほら、大丈夫だから。早く行ってあげて」


そう背中を押すと、アディエルはようやく歩き出す。


何度も振り返るその姿に手を振り、完全に見えなくなったところで、私は約束通りテラスへ向かった。



外に出ると、少し冷えた夜風が心地いい。

柵に寄りかかり、空に向かってそっと息を吐く。


多くの人々と会話を交わしていたせいか、思っていた以上に疲れている自分に気付いた。


これまでの舞踏会では、人目を避け、ひっそり

とやり過ごしてきた。


父と共に出席したこともあったが、その時はただ話を聞いていればよかったのだ。


こうして人の顔を覚え、言葉を交わす――それが初めての経験なら、疲れてしまうのも無理はない。



凝り固まった身体をほぐすように、そっと背伸びをした、その時。


ガチャリ、とテラスの扉が開く音がした。


アディエルが戻ってきたのかと思い、振り返る。




――そこに立っていたのは、レオリオだった。



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