↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
選ばれなかった、私たち  作者: おはよう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/137

43話


使節団を迎える話し合いがひと通り終わると、私はアディエルと連れ立って執務室を後にした。


朝食前だというのに話に熱が入り、区切りがついた頃には、とうに朝食の時間を過ぎていた。


何度かお腹の虫が鳴り、誤魔化しているつもりだったが、どうやらアディエルの耳にはしっかり届いていたようで、何度か笑いを堪えている姿が目に入ったが気付かないふりをした。




公爵夫妻は自室で食事を摂るとのことで、私とアディエルは二人で食堂へ向かう。


席に着くと、ほどなくして料理が運ばれてくる。

サクサクのクロワッサンに、ふわふわのオムレツ。

キャロットドレッシングのかかった色とりどりのサラダと、甘い香りを立てるコーンスープ。


どれも私の好物で、思わず頬が緩んでしまう。

そんな私を、アディエルは穏やかな目で見つめていた。


「フィオナ、ありがとう」


「……?」


突然の言葉に、何に対するお礼なのか分からず首を傾げると、彼は続けた。


「フィオナの知識に助けられた」


「そんな、助けたなんて大げさだよ……。知っていることを話しただけだし……」


気恥ずかしさに耐えきれず、俯いてしまう。


「探求心に、賢さ……伯爵の言葉は本当だね」


昨夜、父が語ってくれた言葉が蘇り、胸の奥がじんわりと温かくなる。

そして、アディエルは少し照れたように、続けた。


「それにさ、楽しかったんだ」


「……え?」


思わず顔を上げると、彼はいつもより柔らかな笑みを浮かべている。


「フィオナと、あれこれ言いながら仕事をするのが、楽しかった」


「私も……私も楽しかった」


私の話に耳を傾けてくれたことが嬉しかった。

知識が役に立ったことが嬉しかった。

そして、私の知っていることが、アディエルの手で形になっていく過程に、心が躍った。


その気持ちを、彼も同じように感じてくれていたのだと思うと、胸がいっぱいになる。


「僕たち、良いパートナーになれそうだね」


「……そうなれるように、頑張る」


そう答えると、アディエルは静かに頷いた。

「僕も、頑張る」


二人で微笑み合う。

これから先のことを思えば、不安がまったくないわけではない。

それでも――。

胸の奥には、確かな温もりと、未来への小さな期待が芽生えていた。


私はその感覚を大切に抱きしめながら、ゆっくりと朝食に手を伸ばすのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。