↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
選ばれなかった、私たち  作者: おはよう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
24/137

22話


朝、柔らかな陽射しがまぶた越しに差し込み、私は目を覚ました。


ゆっくりと瞼を開けると、そこには見慣れない天井がある。

一度瞬きをしてから、昨夜の出来事が静かに蘇った。


(……そうだ。昨日、公爵家に来たんだった)


身体を起こすと、控えめなノックの音がする。

応えると、メイドのマーシャが静かに部屋へ入ってきた。


「おはようございます、お嬢様。昨夜はよくお休みになれましたか?」


「……はい。ぐっすりと」


そう答えてから、夢も見ず、深く眠っていたことに気づく。

眠りに落ちる直前まで、アディエルと話していたことを思い出し、胸の奥に温かなものが広がった。


「さあさあ、お支度をいたしましょうね」


マーシャはにこやかに笑いながら、備え付けのクローゼットから服を取り出す。

それは、淡い薄紅色のデイドレスだった。


袖を通すと、驚くほど身体に馴染み、思わず首を傾げた。


(……公爵家ともなると、いろいろなサイズの服を用意しているのかしら)


そんなことを考えていると、ノックの音がして、アディエルが顔を覗かせる。


着替えを終えた私を見るなり、アディエルは満足そうに小さく頷く。

その意味を問いかけるより早く、彼が口を開いた。


「両親が戻ってきたんだ。一緒に朝食を取ろう」


――ランフォード公爵夫妻。


数回会った夫妻の顔を思い出し、自然と背筋が伸びる。

そんな私の様子に、アディエルは小さく笑った。


「そんなに畏まらなくて大丈夫だよ」



アディエルとセレーナは幼馴染だ。

彼女は、公爵夫妻とも何度も顔を合わせてきたはず。


無意識のうちに、比べられることへの不安を抱いていたのかもしれない。

知らず、身体に力が入っていた。


「行こう」


そう言って差し出されたアディエルの手を、そっと取る。

触れた手のひらの温もりに、張りつめていた心が少し緩んだ気がした。


並んで部屋を後にする私とアディエルの背中を、

マーシャがどこか嬉しそうな表情で見送っていたことに、私は気づかないままだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。