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デスゲームを楽しむために  作者: すずひら
session7 リュシノン王国にて
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093 呪術師デッガー

GM「まだまだ続きます、鳥と鼠の話」

ミオ「見せ場ってほどでなくても出番は重要だよね」

GM「そろそろ私の出番も欲しいものです」

ミオ「それはちょっと……」

 「それでハウ。その男が呪術師のデッガーと言う男で間違いないのであるな?」

 「はい。《テレパシー》で連絡した通りですけど、二日かけて完全な操り人形にしておきました!」

 「いい笑顔でとんでもないことを言うであるな。我には操り人形と言うより廃人にしか見えないのであるが……」

 「調べたら悪事が出るわ出るわ、この人真っ黒でしたもん。裏の世界じゃちょっと有名な人だったらしくて、依頼で30人ほど呪殺してますし、ケルドさんみたいなケースもいっぱいです。で、まぁ殺すのもアレなのでこれからは罪滅ぼしのために誠心誠意ご主人様のために働いてもらおうと思いまして」

 「我が主のために?」

 「ええ。なにかもめ事ととか起きたらこの人使って相手を呪っちゃいましょう。僕らとは直接関係ない人ですし、バレても問題ないです」

 「ふむ……使える手札が多いに越したことはないであるか。ジェードにも一応報告はするとよいよ」

 「あ、もう連絡してあります。制御がしっかりできるなら、って条件付きで認めてもらいました」

 「ならばよかろう」


 坂街の外れ、廃墟同然の一軒家にオニキスとハウライト、そして呪術師デッガーがいた。ただしデッガーはうつろな表情でとても意識があるようには見えない。

 オニキスたちがミオとジェードと別れてからすでに3日が経過している。その間、ハウライトは単独でデッガーの捜索、確保に動き、オニキスは薬泉院でのメンタルジャックの洗脳強化アフターケアを行っていた。


 オニキスとハウライトがジェードとも相談して決めた内容では、

 ・女神キャルオリア様は戯れで人の中に混じって生活をしていること

 ・その際に名乗っている名はミオであること

 ・よって王都内で見かけたとしても騒がないこと

 ・このことは薬泉院の者しか知らないため、院外では他言無用であること

 ・オニキスやハウライトの姿も人に混じって生活するための仮の姿であること

 などの設定が新たに追加された。


 自分たちしか知らない、という自尊心をくすぐる内容にすることで秘密を守らせ、外部との接触で認識の齟齬を露呈するリスクを抑えている。この内容を提案したのはジェードであり、ハウライトはまたも自身の精神掌握能力の先を行かれていることを痛感するのであった。そして痛感ののち、発奮したことで哀れな操り人形(デッガー)が一体製造される運びとなったのである。

 なお、自分たちしか知らないという優越感は他者へ秘密を話したいという誘惑にもとってかわられる可能性はあるが、ことが信仰する神に対するものであるためさほど心配はされていない。


 また、当初女神キャルオリアの認識をミオへと変えていたハウライトだったが、ジェードへの相談ののち、それはやめた方がいいという結論に達した。ハウライトは特に考えていなかったが、ジェードはこれから起こりうる問題を想定していたのだ。薬泉院の外にいる者との会話で女神の名前が仮に出てきた場合、両者の“キャルオリア”と“ミオ”の齟齬はかなり危険であった。よって、女神がミオと名を変えて人に混じっているという設定を新たに考案し、改めて洗脳を行ったのだ。

 ジェード、いろいろと頼れるスライムである。


 「それで、オニキスさんの方はどうなったんですか?」

 「うむ。新型のポーションの開発は山場を越えたであるよ。完成品ができるのも時間の問題であろう。伯爵含め開発員一同には随分と感謝されたものである」

 「まぁ、悩んでるところに“使徒様”がやってきてぱぱっと解決してくれたんですから、株も上がりますよね。対比的に僕の評価は良くないんですけど」

 「ククク。他人からの評価を気にしているようではまだまだであるよ、ハウ。我が主の言葉を贈ってやろう。“自分の価値は誰かに認めてもらうだけがすべてじゃない”であるよ」

 「むー、わかってますよー。オニキスさんにもジェードさんにも僕の得意分野で負けましたからね。これからは負けないように頑張りますよ」

 「ふむ、その意気である」

 「それで、どうしましょう。一応ジェードさんに言われたことはすべて片付きましたし、ご主人様とジェードさんが戻ってくる予定の明後日までやることがないんですけど」

 「そのデッガーとやらにケルド翁の呪病を依頼した人物は特定できたのであるか?」

 「いえ、残念ですけど辿ることはできませんでした。この人、お金さえもらえれば何でもよかったみたいで依頼主の情報をほとんど知らないんですよ」

 「なるほど。まぁ、呪病自体は解くことができるわけであるし、問題はないであるか」


 正直なところ彼らにとってケルドのことはどうでもいいことなのだ。問題なのは主人であるミオにふさわしい装備を作ることができるのがケルドであり、呪病のせいでその腕を振るえなくなっていたことである。彼らは別にケルドの身を案じて行動していたわけではない。そのため、彼が誰から恨みを買っていただとか、そんなことは気にもならない。


 「明日は1日暇になっちゃいましたけど、オニキスさんはどうしますか。薬泉院でなにかしてます?」

 「ふむ……。いや、のんびりと王都を散策でもしてみるとするよ。我が主といると、普段は離れて行動などしないわけであるしな」

 「そうですか。じゃあ僕はケルドさんに会いに行ってきます。薬泉院の人を連れてって解呪しないとですからね」

 「では、任せたである」

 「はい、任されました」

 「しかし、我が主は今頃どうしているであろうか」

 「飛竜ワイバーンの素材集めでしたっけ。空飛ぶ魔物なんてご主人様の敵じゃないですし、ばったばったと倒してるんじゃないですか?」

 「飛行大特効は鬼畜であるよなぁ。それにしても、本当、悔しいである」

 「なにがですか?」

 「空中戦なら我の見せ場であろうよ。我が主を背に乗せて敵中を縦横無尽に飛び回る、というカッコいいシーンもあったやも知れぬと思うと」

 「ああ、なるほど……。まぁ、集めた素材を《収納》できるのがジェードさんだけですからね。仕方ないですよ」

 「ぐぬぬ……」


そんなわけで次回はオニキスとハウライトの休日。

1話ずつにするかまとめてやっちゃうかは書いてて筆の乗り次第ですかね。


ミオさんの出番をお待ちの方はもうしばしの我慢を。



それにしても容姿も何も明かされず人形になってしまったデッガーさん……。

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