089 病気
GM「そういえばデスための新しい話を書いているようですね」
ミオ「わたしじゃないもうひとりの主人公の話だね」
GM「もう一人の主人公……弟さんじゃないのが可哀想ですね」
ミオ「お、弟君はそろそろ本篇に絡んでくるから!」
《王国でも有数の実力者である鍛冶師に依頼をしたいあなたは彼の抱える問題を解決することになりました。彼の“病気”とは一体……》
「ジェード君ジェード君」
「はい、なんですか、マスター?」
「王国って人間族以外認めてないんじゃなかったっけ。残りは奴隷とかって前に聞いた覚えがあるんだけど。さっきの小人族の人はなんだか偉そうだったけど、どうなの?」
偉そうって言うのは、もちろん態度が大きいってことじゃなくて社長とかの偉い立場にいるって意味ね。態度もまぁ多少は大きかったかもだけど。
「そうですね。リュシノン王国では人間族以外には様々な権利はありません。しかし、国に有用だと認められた種族には特例的に認められることがあります。小人族は鍛冶を始め優秀な生産能力を持っている種族ですので……」
「ふーん。人種差別みたいなことしといて、現金なもんだね」
「そうでないとこれだけ大きな国はやっていけないんでしょうね」
「なんだかなぁ。知れば知るほどこの国が好きじゃなくなってくよ」
「そうですか……。あ、マスター、ここを右です」
「ういうい。そういえば今ってどこに向かってるの?」
「俺たちは素材集めですね。さすがに古代竜の素材をそのまま扱うことはできないでしょうからちょっとした手助けのようなものです」
「オニキスとハウ君は?」
「あいつらはケルド翁の“病気”を治しに王国薬泉院に向かいましたよ」
「やくせんいん?」
ケルドさんの元を出た後、ジェード君はオニキスとハウ君にいくつか指示をして、別行動をとったんだよね。
そもそもケルドさんのところに行きたいって言いだしたのがジェード君なんだよねー。ぶっちゃけるとわたしは装備とかどうでもいいし、めんどくさかったんだけど、ジェード君の提案にオニキスもハウ君もノリノリだったから仕方なくついてきたというか。
ジェード君は以前から余ってる竜素材の加工ができる人を探していて、目に留まったのがケルドさんだったらしい。その調べる過程で彼の困りごとにも見当がついてるとかなんとか。任せてくださいっ、て胸を張ってた。
まぁわたしは頑張る人を見るのは嫌いじゃないし、最近はアイテムの管理をすべてジェード君に押し付けてるから、素材の行方については口出しする気はないんだけどさ。
……ジェード君の体の中にある収納スペースの容量ってどれくらいなんだろう。
結構色々なものが大量に入ってる気がするんだけど。
「王国の薬泉院ですよ。リュシノン王国に本拠がある組合の一つのようなものです。冒険者組合と同じものを想像してくれればですね」
「薬屋さんなの?」
「いえ、ポーションなども売ってはいますが、基本は病の治癒などをしていますね。神官が常駐しているんですよ。マスターとしては病院をイメージしすればいいかと」
「ふーん。ケルドさんの病気ってそこ行けば治るんなら、もうとっくに行ってそうなものだけど」
「ええ。普通の病気ならそうでしょうね」
「むー。またそうやっていじわるしてー。ジェード君の悪いところはそうやって人に気を持たせるところだよー」
「す、すいません。別に意図してやってるわけじゃないんですけどね」
「意図しててもしてなくても結果は同じなんだよ?」
「気を付けます……。ケルド翁の病気は、正確に言えば“呪病”です」
「呪病……呪いかぁ。丑の刻参りみたいな?」
「マスターの故郷の風習でしたね。この世界ではもっと手軽なものです。言ってしまえばバッドステータスの一種ですから」
「ふうん。でも薬泉院ってところならその呪病も治せるんじゃないの?」
「ええ。そこが問題でしてね。どうやら薬泉院の人間が金を積まれているのか脅しをかけられているのか、正しい治療をしていないようなのです」
「なるほどねぇ」
つまり、ケルドさんは誰かの恨みを買って呪いをかけられてうまく腕が動かなくなった。治しに行く病院みたいなところは既に買収かなにかで役に立たない。で、そのこと自体をケルドさんが知らないもんだから“治らない”原因不明の病気になっちゃってるわけか。大変だね。
他の病院――王国以外の薬泉院みたいなところに行くとか、個人の神官に頼ればすぐに治せるのかもしれないけど、すぐ近くに一番権威ある病院があったらそこを頼っちゃうもんね。
ちなみに、神官を装ってる風のオニキスだけど、あれは実際には光魔法が使えるから各種のHP回復、状態異常ができるってだけで、神官の使う神聖魔法はオニキスには使えない。
ジェード君が言うには、呪病は特殊なバステの一つだからオニキスには治せないんだそう。
「ん、でもステータス画面見ればバステ確認はできるんじゃ?」
「マスターの言うステータス画面、ですか。マスターの記憶があるから俺は理解できますが、あれはこの世界の人間には使えませんよ」
「そうなんだ」
「女神の加護、のひとつなんでしょうね。俺たちには使うどころか、存在を認識することすらできませんよ」
まぁ、自分の体の状態とかを詳細に確認できるってのもよく考えたらおかしいのか。だからわざわざステータスプレートなんてものを発行するのかな。プレイヤーだったらメニューウインドウを開くだけで済んじゃうもんね。
そんな話をしながら歩くこと数日。
数日歩いても全く疲れない自分の体にびっくりだね。まぁ、途中からはスライム形態のジェード君に乗ってのんびり来たんだけども。
スライムは乗り物としては車以上に快適でなかなかでした。あれだね、動くプールだね。
まぁただ、着いた場所はなんだか魔物がうようよいるところなんだけど……。
素材集めねぇ。ま、ジェード君のために一肌脱ぎますかー。
「あ、俺がやっておくんでマスターはそこで待っててくれて大丈夫ですよ」
「じゃあなんで連れてきたのさ-。わたしも手伝うよー」
「はは、ありがとうございます」
むう、まったくジェード君はしょうがないんだから。
わたしがこういう反応するってわかっててやってる気がする。
しばらく時間が空いてしまいましたね。ちょっと忙しかったのと、展開に詰まってたのとで書けませんでした。まぁエタることはないので気長に待ってください……。
あと前書きの通り別シリーズが準備中です。出てくるキャラはいままで本篇に出てないので世界観が同じのまったく別の話です。ミオもちょっとは出てくるかもですが、基本別です。ミオ側の視点じゃ明かせない設定とか盛り込めればなーと。
ちなみにそっちの話は大筋を友人のアイデアを元にしてます。他人の視点ってやっぱり新鮮ですよね。白黒うさぎ君に感謝感謝。




