068 竜種
GM「タイトルでわかりますが竜です。やっと竜ですよ。ファンタジーの定番!」
ミオ「あれ? 前回、ほのぼのと装備を、とか言ってなかったっけ?」
GM「ほのぼのしてますよ」
ミオ「そういえばこの小説のほのぼのは信用できないんだった……!」
《あなたたちは魔法の習得のためにメルフィス火山へとやってきました。ピクニック感覚で登ったために、恐るべきモノと遭遇することなど思いもせず……》
「あ、やばい。なんかくらくらしてきた。幻聴が聞こえてくる」
「それは、これだけ汗を流せば体調もおかしくなりますよ。はいマスター、水です」
「うー、んー、ありがとー。――ぷはーっ、冷たい! 生き返る! この一杯のために生きてるって実感するね!」
「我が主よ。その言動は酒場にたむろしている親父と同じ臭いがするのである」
「失敬な」
わたしたちはいま、魔法の習得のために火山へときている。火山といっても山の表層を歩いているんじゃなく、ふもとに入り口のある洞窟を進んでいる。この洞窟が難度80のダンジョンになっていて、どうやら火口までつながっているみたい。
火山の中にある洞窟ということで想像はつくと思うけど、かなり暑い。もう熱いって表現の方が正しいくらい。実際に状態異常《熱中症》とVITとの対抗ロールとかが一定時間ごとに行われている。わたしは状態異常無効の装備付けてるから大丈夫だけど、そうじゃなかったらHP15なんて消し飛んでるくらいの環境。まー、そのおかげで魔法は習得できたわけだけど。
「――ん? 今揺れた?」
「メルフィス火山は活火山ですからね。噴火するのかもしれません」
「それって結構危ない気もするね。いざとなったらオニキスに乗って逃げようか」
「――俺の事はいいですから、どうか置いて行ってください」
「なにそんなシリアスぶってるの。高いところが怖いだけのくせして」
「うむ、大空を舞う快感を早くお主も覚えた方がいいであるよ、ジェード」
「うるさい。スライムは空を飛ばないんだ」
「まぁ徐々に慣れていこうね。――うわ、また出た。――ていっ」
ダンジョン内だから当然魔物がわんさか出る。燃え盛ってる系が多くて、基本みんな赤い。非常に暑苦しい光景なので出てきた瞬間に弓で射抜くんだけど。
「あーやっぱりかぁ。ジェード君、オニキス、おねがい」
「イエス、マスター」
「この程度の雑魚、任せるのである」
わたしは最近、弓を使うのにジェード君の矢を使わずに売り物の矢を使っている。これは、ジェード君の分体同時生成可能数がダイスを使わないと2体までなため。正確には意識のない分体なら追加でもう一体は作れるらしいから3体なんだけど、その一体は《挺身》のためにわたしに張り付いているので矢には使えない。
で、店売りの矢って木製。燃えるの。
ファイアキャットとか、体の一部が燃えている魔物ならまだ狙いようもあるんだけど、バーニングウィスプみたいに火そのものの魔物には効果がない。ダメージ軽減じゃなくて無効のスキルもってるんだろうなぁ。
ということでこのダンジョンではわたしは基本無能。のんびりしてるくらいしか仕事がない……。
なーんて、温い考えしてたからわたしはその異変に気が付かなかった。《狩人の目》の上位スキル《天眼》をもってるわたしは魔物の出る場所とか罠の場所とかはっきりと見えているんだけど、その万能スキルにも弱点があることを思い知らされる。
洞窟内にある一つの部屋に入った時だった。突然足元に魔法陣が浮かび、わたしたちの体が光に包まれる。
「な、マスター、これは……ッ!」
「うそ、部屋全体が罠だってこと? いや、違う、これって」
《システムロール:ステルストラップ“転移陣”の発動を確認。固定抵抗値30。ロール……58 失敗。続いて移動先の選択1d10。ロール……10》
「見えない罠!?」
「!? まずい、我が主、ジェード、我に掴まれ……!」
言うが早いかオニキスはわたしとジェードを掴み、巨鳥へと姿を変える。そして次の瞬間、わたしたちは空へと投げ出されていた。
「うわあああああああ」
「これはまずい……このダンジョンの管理者はあやつであったか……」
高所恐怖症のジェード君が叫び、オニキスが顔をしかめる(鳥だけど表情豊か)。
そしてわたしは恐ろしいことに気が付く。空を飛べるオニキスに掴まっているんだからもう大丈夫だろうと思っていたのに。
「あれ、ねぇ、オニキス、なんかわたしたち落ちてない?」
「うむ。見えるか、我が主よ。我らはどうやらこのダンジョンの最終地点、火口へと飛ばされたようである。そして、あそこにいるのがここの管理者――ボスといった方が良いかもしれぬな。あれが“獄炎竜”ファスザールである」
「ドラゴン……」
「そう、我の天敵、竜種……。天敵というのはそのままの意味である。竜族の前では他の生物は空を飛ぶことを許されぬ」
「え、じゃあ」
「そう、今も滑空しているだけであるよ。このまま墜落するしかないのである」
「ちょ、そんな」
火口に堂々と鎮座していたのはいかにもゲームチックな巨大な赤い竜。東洋竜じゃなくて西洋竜かな。蛇のイメージはない。遠目からパッと見でわかる範囲で大きさは10メートルを越していそう。その上空をわたしたちはほとんど墜落しているような速度で大きく円を描きながら滑空している。
赤き巨竜はそんなわたしたちを羽虫でも見るかのようにうっとうしそうに睥睨していた。
《自らの力を過信し油断をしていたあなたはこの世界の頂点を担う存在“竜種”と遭遇してしまいました。もはやあなたに退く道はありません。生き残るためには彼の竜を撃破するほかないでしょう。さあ、いまこそあなたの実力をこの世界に見せつける時です!》
う、うわぁ、GMがイキイキしてる……。
てかこれちょっと本当にやばいんじゃ……。
久しぶりのダイスロールでした。いや、裏では色々と振ってたんですけどね。
本当は話の展開とかにも関わるので竜についての話とかしたいんですが、最近説明回っぽいの多かったんでしばらくノリと勢いで突っ走ります。ごちゃごちゃしたのは終わってからで(覚えていればですが)。
とりあえず次はまともな(?)戦闘予定。ダイスの目次第。まぁもう振り終わってるんですが。




