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デスゲームを楽しむために  作者: すずひら
session4 旅立ちと冒険者
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064 Eランク

GM「これまでどおりの関係を続けてくれるのはうれしいですね」

ミオ「今まで通り……MSQはやらないからね」

GM「……MSQ一章とはいいませんからせめてプロローグくらいは」

ミオ「あーあーきこえなーい」

GM「」

 「おめでとうございます。これで今日からEランクですね。この調子で頑張ってください」

 「ありがとうございます」


 リュシノン王国に来てから一週間。ついに組合証――ステータスプレートがEランクにあがった。昇格試験は簡単で、レベル5以上の魔物を10体討伐するというものだった。ちなみにNPC――WC人とでもいった方がいいかな――にはわたしたちプレイヤーのように魔物のレベルを見ることはできない。しかし、魔物のレベルは個体差があまりないし種族で大体の見当がつく。その情報は組合ホールに保管されていて誰でも見ることができる。討伐証明部位の記載もあったのでジェード君に全部読んでもらった。

 面倒なことは基本的にジェード君に丸投げ安定。


 「マスター、随分嬉しそうですね。俺はマスターならば既にSランクでもいいと思っているので少し不満ではあるのですが」

 「んー、まぁこういうのは実力よりも実績だしね。わたしは別にランクにこだわりはないしさ。“自分の価値は誰かに認めてもらうだけがすべてじゃない”よ」

 「さすが我が主。含蓄に富んだ言葉であるな」

 「あはは」

 

 実際のところ他人に認めてもらわないと自信なんて持てないけどねぇ……。わたしだってジェード君とオニキスが認めてくれてるからこだわりがないって言えてるだけだしね。そうじゃなかったらわたしなんて人一倍承認欲求強いだろうし。さっきの言葉だってタイチのお父さんに言われた言葉。あのころのわたしは他人の顔色しか見てなかったからなぁ……。


 とと、話がそれた。

 しかしそんな嬉しそうな顔してたかなぁ。まぁ、自動車免許取った時くらいは嬉しいけどさ。


 そういえばEランクになったからステータスプレートの色が変わった。Fランクの時は無骨な鉄色だったんだけど、今は銅の色。このプレートは魔道具なので実際の材質は違うのだけど。この魔道具が発明される前は実際に本物の金属を使っていたのでその名残だそう。

 このあとはDランクで銀、Cランクで金、Bで白金、Aで水晶、Sでオリハルコンだって。本物の水晶くれるならAランクまで頑張ったんだけどなぁ。


 冒険者組合を出たわたしたちは特に何をするでもなく市場の方へと歩いて行った。昇級祝いに今日くらいはのんびりしてもいいよね?

 

 「さぁ、出品は今日限りです。気に入ったのがあれば入札はこちらまでー!」


 市場では一角に大きな会場が設営されてオークションをやっていた。お金はあるし楽しそうなら参加しようかなーと軽い気持ちで覗いてみる。ところが、わたしは商品を目にした途端心が冷えるような感覚に囚われた。

 売られていたのは人。いや、正確には亜人、とでもいうのかな。耳の尖った森人(エルフ)や、毛に覆われた獣人(セリアンスロープ)、人より小さい小人(ドワーフ)なんかが見て取れる。皆、首輪と枷と鎖でつながれて檻に入れられている。虚ろな目に、粗末な服から除く肌には奴隷の刻印。壮年の男性から幼い少女まで10人ほどの奴隷が、売られていた。


 「……」


 リュシノン王国で奴隷は特に珍しいものでもない。借金や犯罪で奴隷身分に落とされる者は一定数いる。一週間王都で暮らす中で何度か見る存在だった。けど、今目の前で売られている奴隷たちはどうもそんなかんじじゃない。


 「ねー、ジェード君。王国の法で奴隷ってどうなってるの?」

 「は、はい。債務奴隷と犯罪奴隷、亜人奴隷という区分があります。借金のカタに自身を売る債務奴隷は自身を買い戻すことで身分の回復ができます。犯罪奴隷は定められた年月を経れば身分を回復しますが、経過の態度により期間は変化します。亜人奴隷は森人や獣人の捕えられた奴隷で権利の保障は一切ありません。身分は唯一、婚姻によって奴隷身分から平民にはなれるようですね」


 唐突なわたしの質問にもジェード君はすらすらと答えてくれた。質問のニュアンスも伝わってくれるのは《魔物の王の心得》のおかげだね。

 でも本当、ジェード君は何でも知ってる凄い子だ。あとで偉い偉いしてあげよう。


 うーん、話を聞く限りじゃあどうしようもないなぁ。昔の自分にかぶってちょっとイラっとしたけど、この国がそういうシステムでやっているっていうなら“そういうもの”として納得するしかないかぁ。

 若干気分は悪いけど。


 「王国じゃあ人間以外の種族は奴隷身分なのかぁ。初めて猫耳少女とか虎男とか見たのにテンションあがらないや」

 「初めてでしたか。俺たちが今泊まっている宿でも犬人族の少女が働いていましたが」

 「え、ホント? ……気が付かなかったなぁ」


 わたしの“目”は周囲の生物を視界隅のマップ上で光点で表してくれるから存在自体は知ってたんだろうけど、光点が男なのか女なのかとか、そういうことはわからない。


 「まぁ、これもきにしないしかないか。ジェード君は奴隷についてどう思う?」

 「奴隷ですか。俺はマスターに隷属しているという意味では奴隷のようなものですが、俺の場合はあくまでも俺の意思によるものですからね。彼らには意思の自由がない。そんな生き方はマスターと出会う前の自分を見ているようで哀れですね」

 「そっか。じゃあジェード君はできるだけ彼らの事を気にかけてあげて。わたしはあんまり考えないようにしちゃうから、わたしの代わりに」

 「ええ、わかりました」

 「オニキスは、どう?」

 「特に興味もない……というのが本音であるが。我が主がかように考えるのであれば我も助けを請われたときに手助けするくらいはするのである」

 「ん、それでいいよ。ありがと」


ミオさんは世直しの旅に出た黄門様ではないので基本は見てみぬふり。社会経験も豊かなので自分の力ではどうしようもない大きなシステムの存在なども受け入れています。

でもまぁ、否応なく巻き込まれるんですが。


さて、これにてsession4終了です。短いですかね?

間章挟んでsession5は山に登りましょう。

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