060 身分証
GM「あなたはこの話を執筆中にPCがフリーズするという災厄に見舞われました」
ミオ「うん……それでいま書き直しだよ……すごく萎えたよ……」
GM「最近PCトラブル多いですね。呪われているんですか?」
ミオ「たぶん《技能:PC》でファンブル出したんだ……」
「身分証がないのですか。それならばお通しすることはできません」
門番は中年のおっちゃんが一人と、若者が二人だった。そのうち中年の門番さんがわたしたちにそう言った。
身分証がないと城下町に入れない、という知識はなかった。ヘルプにはそういったことは書いてないし、魔物のジェード君やオニキスも知るわけがない。でも、よく考えればパスポートもなしに外国入ろうとしたらそりゃ、止められるよね……。わたし、外国旅行とかしたことないから思い至らなかったよ。
わたしたちは入国待ちの人の列から外れて、邪魔にならない位置までやってきた。そこでさてどうしよう、オニキスの翼でズルしちゃおうかなぁなどと3人で相談していると、見かねたのか中年の門番さんが話しかけてきた。
「お嬢さん、もしかして身分証の事を知らなかったのかい?」
「え、はい。すみません、浅学なもので」
「ああ、いや、別に責めてるわけではないんだ。……そちらの二人はお嬢さんの家族……ではないか。護衛の方かな?」
「はい。俺たちはマスターの従者のようなものです」
「そうか……なるほど、いや、わかったよ。――大変だったろうね」
ん……んん?
なんか勝手に納得されたけど。なになにどゆこと?
「よければ私が身分証の事や、王都の事を説明してあげよう。そこの詰所までおいでなさい。ああ、もちろん従者のお二人もどうぞ」
そう言って門番さんは若い二人に後を任せると、詰所の方までわたしたちを案内してくれた。お茶までだしてくれる。……ちょっと苦い。
話をするうちにわかったけれど、彼はわたしが没落した貴族のお嬢様だと思っているらしかった。
まず、この世界での常識である身分証の事を知らない。農民でさえ知っている事を知らないということで、相当箱入りで育てられたと思ったみたい。わたしの着ている煌びやかな《始原王の衣》も貴族のイメージに一役買ったかも。そして、馬車すらなく徒歩でやってきたこと、従者を二人しか連れていないことなどから没落して健気にも王都で再起を図ろうとしているお嬢様だとわたしのことを誤解したみたい。
すぐにこういう想像をするっていうことは落ちぶれる貴族というのが結構いるっていうことかなぁ。わたしは貴族って左うちわで贅沢しているだけでお金が入ってくる人ってイメージを持ってたんだけど……。
現実は厳しいのかもしれない。
あと、特に誤解を解くようなことはしなかった。正直色々と説明してくれるのがありがたいし。
「それで、身分証だったね。これは、今回のように王都に入るときや、契約を交わす時にも必要になってくる。貴族の方なら家紋のはいった専用の魔道具が身分証代わりになるね。平民なら貴族の方や有力な商人などの紹介状がこれに相当する」
「うーん、どっちももってないなぁ。けど、平民の人たちって必ず紹介状を書いてもらわなきゃならないんですか? 王都に入るたびに書いてもらうとか、大変だと思うんですけど」
「うん、いい疑問だね。平民は別の方法で身分証を得ることもできる。それが、組合に入ることだよ」
「この話をわたしたちにするということは、結構その手段を取る人は多いんですか?」
「ああ、というか、正式な紹介状を持ってくる人の方が少ないね。組合に入れば組合の紋章が体に浮かび上がる。もしくは証明する道具を発行される。それが身分証の代わりになるんだ」
組合……ギルドみたいなものかな?
あー。タイチがグリフィンナイツのみんなとお揃いのタトゥーをいれてたのはそれだったのか。若気の至りでやっちゃったのかと思ってた……。
しかしギルドかぁ。わたしもグリフィンナイツに入っておくべきだったかな。
「組合って、そんな簡単に入れるものなんですか?」
「ああ、もしかして冒険者組合のことも知らないかな?」
「えーと、聞いたことはないです」
「そうかそうか」
冒険者組合。これは少々特殊なギルドのようなものらしい。まず、組合加入に制限がない。ちょっとの登録金だけ。他の組合との掛け持ちも可。加入によるデメリットはなし。登録者の魔力を調べるとかで、犯罪者にはデメリットがあるらしいけど。脱退も自由。
そんなゆるゆるで信頼があるのか。もちろんない。じゃあどうするかっていうと、加入した後に依頼を受けてそれで信頼を積み重ねていくと。身元は証明してやるから働けと。
そういえばさらっと魔力とか言われたけど魔力ってなんだろう。
このゲーム割と未知の情報に関して不親切だよね。
「冒険者組合は他の組合、たとえば商業組合とかだけど、それらと違って組合の紋章はない。その代わりにステータスプレートというものが発行されてそれが証明書の代わりになるんだ。ああ、名前だけあれば大丈夫。家名は登録しなくてもいいよ」
「なるほど……。デメリットがないようなら冒険者組合に登録してみようと思います。それで入国もできるんですよね?」
「ああ、そうだね。ところで、もう一杯お茶はどうだい?」
「……いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
わたしたちは色々と教えてくれた門番さんにお礼を言って、冒険者組合へと向かうことにした。
「随分と親切な人でしたね」
「うむ。我が主の人徳のなせる業であろう」
「……あれ、気づいてなかったの、二人とも?」
「なにがですか?」
「あー、そっか。気づいてたら二人が黙ってるわけもなかったかぁ。あの門番さん、わたしたちに出したお茶に薬入れてたよ。麻痺系か睡眠系かはわからなかったけど」
「な、それは本当ですか、マスター!?」
「あー。いいからいいから落ち着いて。今から攻撃しに戻ったりしちゃだめだよ」
「ぐぬ……全く気が付かなかったである……」
「ジェード君は種族特性でそういう状態異常効かないし、オニキスはステータス高すぎて抵抗が自動成功するだろうしね。わたしも《始原王の髪飾り》のおかげで状態異常はかからないけど」
「マスター……」
「もー、そんな顔しないの。いろいろ教えてもらって助かったのは事実なんだから。あの門番さん、いままでも色々してきたんだろうけど別にそれもどうでもいいしね。証拠もないし」
「我が主は寛大であるな」
「んーそういう評価になるのかぁ。ま、いいよそれでも。とりあえず冒険者組合に行ってみよう」
ステータスにAPPあったらミオは18近いでしょうからね……。
今回は1d6ダイスで
1、2→若いイケメン門番フラグ立つ
3,4→やさしいおじさん門番
5,6→羊の皮をかぶった狼おじさん
で、5がでました。しかしただの門番にミオたちをどうこうすることはできませんでした……。普通にダイス振らないでイケメン門番ルートにすればよかったかも。またミオさんの人間不信レベルが上がりました。
ちゃんとレベル設定して一定値越えたらイベント起こそう(今決めた)。
ちなみにこういう小イベント(ガッツさんの話とか)は割とダイス振って話の展開にランダム性をもたせています。TRPGっぽくしようという涙ぐましい努力なんですが、作者以外には伝わらないという意味のなさ。




