050 再会
空気がにわかに騒がしくなった。なんかあったのかな。
「カール、なんかあった?」
「申し訳ありません、ミオ様。私共の位置からでは何が起こったかは分かりません」
「あー、うん、わかんないならいいよ。気にしないで」
「はっ」
なんかあったかといえば、こっちのほうがなんかあったよなー。
カール達が攻撃されないようにわたしが身代わりになること数回か十数回くらい。なんだかカール他3名がやけに礼儀正しくなった。呼び名もなんか「女神様」とか呼んできて正直意味がわからない。辛い状況で幻覚とか見えてるのカナーと察してそっとしてあげている。流石に女神様はアレなので注意すると、「ミオ様」になったけど。
鍛冶師のミスト君はわたしの壊れた装備を直してくれようとしたし(装備のレベルが高くてダメだった)、ギン君やレンハ君は布で甲斐甲斐しくわたしの体の汚れをぬぐってくれたりした。
なんか精神的に追い詰められてたりしてるのかなと思って優しく接してるんだけど、一度なんかはみんな泣き出しちゃって、宥めるのが大変だった。
まぁ、些細なことは気にしない、がわたしの人生訓なわけで。会話の相手ができただけでも万々歳だった。
会話の内容は主にギルドのついてのこととか。なんか楽しそうだから無事にここから逃げ出せたら作ってみようかな。ジェード君やオニキスは魔物だけど入れるのだろうか。
「おい、お前らこっちにこい」
見張りの男の一人がわたしの首輪を持って引っ張った。ちょっと、いま両足とも膝下から無いから歩けないんだけど。むー床を引きずられていくー。
カール達も男たちに立ち上がらせられている。
と、おっと。わたしの首輪の鎖を持ってた見張りの男がすごい勢いで吹っ飛んだみたい。なになにどうした。わたしが吹っ飛ばなかったところを見ると、鎖が切れてから吹っ飛んだのかな。目が見えないから詳しくは分からないや。
「マスター!」「我が主!」
おっと、この声は。
「ジェード君、オニキス」
声を聴かなくてもここまで近ければ気配でわかる。向こうから駆けてくる二人はジェード君とオニキスだ。
「ああ、マスター、なんてひどいお姿……お体は大丈夫ですか?」
「ジェード、この馬鹿者。この姿で大丈夫なわけがなかろう!」
《システムロール:上級光魔法“アークヒール”発動。基準値80。判定80→10 成功。続いて効果ロール。1d10により効果決定。判定→02 効果“秀”により、状態異常を完全解除します》
おお、部位欠損が治った。と、ついでに目も見えるようになった。オニキスの光魔法凄いなー。
「ありがとうね、オニキス。ジェード君も、ありがとう。わたしは大丈夫だよー」
まー正直7日間飲まず食わず寝ずだから色々と限界は近いんだけど。助けに来てくれた二人にこれ以上弱いところは見せられないよね。
「マスター。念のため俺の《挺身》を上書きしておきます」
「あ、うん。このスキルのおかげで助かったよー。ジェード君のHPもかなり減っちゃったと思うけど、辛くなかったかな。大丈夫だった?」
「はい、マスター。マスターの身代わりになることは、嬉しいことでこそあれ、辛いなどということはありません。――さて、マスター、もうしばしお待ちを。俺とオニキスは少しゴミ掃除をしてきます」
ようやく再会。もうちょっと話の流れ的にタメとか作ってもいいかなって思ったんですが、あくまでもこの小説はほのぼの路線なのでいいかなっと。むしろこの話がイレギュラーな感じですしね。あと数話でさくっと終わります。




