051 思わぬ成長
ジェード君とオニキスが去ってから、わたしはとりあえずカール達の拘束を外すことにした。
「ミオ様、今の方々は……?」
「ああ、うん。わたしの眷属、そうだね、仲間っていうか家族って言うか、なんかそんな感じ」
あの二人のことはいまいちうまく言葉で表せないんだよなぁ。なんかもう自分の一部みたいな感じがする。
「なるほど、使徒様が助けに来て下さったのですね」
使徒……まぁ、納得したなら別にいいか。実際ジェード君とかは“召使”のほうが似合う……本人に言ったら落ち込むかもしれないから言わないでおこう。
「さて、わたしたちはとりあえず逃げようか。まぁでもその前にカール達の仲間を助けないとね」
確かサブマスターのメイリンさん他3名が捕まってるはず。他にもいるかもしれない。
「はっ、ありがとうございます」
とりあえず、弓を装備しておく。念のための武装。さっきジェード君が分体を4体もわたしにつけて行ったから矢には困らないし。
この分体というスキル。《分裂》は一時的に体を分けるというスキルで、どれも意識はジェード君そのものなんだけど、《分体》の方は分かれた体の方はジェード君の子供みたいな感じで、本体とは少しだけ異なる。意思疎通もなんとか可能だけど、喜怒哀楽が表現できる程度。でも、能力はジェード君そのもので、HPとかは共有しているらしい。だから矢としての性能はジェード君と変わらない。
通路を少し歩いてみて、違和感……というより以前との違いを感じた。なんかずっと目を使ってなかったせいか、目で見なくてもいろいろ見える。見えるというか、感じる。しばらくあたりに生き物はいないことがはっきりとわかる。そして目の方も以前とは違う。切り替え、っていうのかな。前はちょっと目が良くなる程度にしか使えなかったスキルの《狩人の目》だけど、今ははっきりとわかる。表現がちょっと気持ち悪いかもだけど、こう眼球をぐるんと裏返す感じ。そうすると、視覚が切り替わる。普通は見えないダンジョン内のトラップとか、魔物のポップポイントとかいろいろ見える。しかも視界の右上隅に浮かぶこれは……マップかな。今動いてる青い点がわたしで、その周りにいる黄色い点がカールたち。水色2つはジェード君とオニキスかな。凄い速さで動いてる。で、その水色の点が赤い点をいくつも消してる。お、あっちにも黄色い点がある。メイリンさんたちかな。これは便利かも。
「ミオ様、もしよろしければ、俺が先頭に立ちましょうか?」
わたしの後ろを歩いてついてきていたカールがそう言った。カールは暗黒騎士だからまぁ防御力とかで考えればそうかもだけど、今は狩人の目のおかげで魔物の不意打ちとかも考えなくていいし、別にいいかな。わたし、探索術ってスキルのおかげで斥候行動にボーナス付いてるみたいだし。
「いや、大丈夫だよ。カール達ははぐれないようについてきて」
「はっ」
「気を使ってくれてありがとね」
「いえ、とんでもない」
道中何体か魔物がポップしたけど、狩人の目のおかげで事前に出る場所もタイミングもわかってるわけで、弓でさくっと片付けられる。大して強くないし。レベル30だって。
で、メイリンさん達と思われる黄色い点のところまで来たけど。
「くそ、グリードグリムの奴らめ」
「う……」
「これはひどいなぁ……」
まさしく惨状とでも言うべき光景。まぁわたしの方がひどい状態だったとは思うけど、客観的にみるとこの程度でもかなり来るものがあるなぁ。人型の物体に手足がないっていうのはその光景だけで不和感を拭えない。
「カール、ギン君、ミスト君、レンハ君、とりあえず拘束具外して、介抱してあげて」
「「「「はいっ」」」」
さて、回復させないとなぁ。みんなHP黄色かったり赤かったりして危ないし。部位欠損とかも治してあげないとね。
「みんな、意識はあるかな。とりあえず、もう安心していいよ。助けてあげるから」




