049 突入
ジェードからテレパシーで連絡を受けたオニキスと、ケン率いるグリフィンナイツのチームは捜索を切り上げて、《夕闇の洞窟》近くでジェードを含むグリフィンナイツの本隊と合流した。
「ジェード、本当か。我がある……ミオ殿が見つかったというのは」
「ああ。それらしき場所、だったがな。お前も感じないか、オニキス。俺は感じるぞ」
「――ふむ、確かに。この程度近ければ我が……ミオ殿の気配は感じられるな。しかし、これはあまりに小さい気配だ。いまにも消えてしまいそうな」
「仕方ないだろう。いまもミオのHPは1だろうからな」
「ふむ。なるほど」
「さ、行くぞ」
いま、夕闇の洞窟が見える森の中にいるのはジェードとオニキス、それにグリフィンナイツのメンバーが24名全員そろっている。だが、喋っているのはジェードとオニキスの二人だけ。残りの全員は洞窟の門番、サラマンダーを見て、声もなく固まっている。
レベル80の魔物を見て、その威容と圧力に動けずにいるのだ。勿論、サラマンダーはこのような序盤でどうにかできる相手ではない。ゲーム的には、戦わずに回避しダンジョンに入る方法がちゃんと設定されている。無論、グリードグリムはその方法を発見し、ダンジョン内の魔物が侵入できないセーフティーゾーンに居を構えているというわけである。方法を知らない限り絶対に突破できない門番の存在は住居のセキュリティ的には相当に優れていると言えた。
ただし、問題は絶対に攻略不可能だと思っていたその門番を正面から突破できる戦力が相手にいたということであろう。
グリフィンナイツのメンバーが固まっている中、ジェードとオニキスは散歩にでも出かけるかのような気楽さで踏み出していった。呆気にとられて声をかけることもできないまま、全員がその後姿を見送る。
「どけトカゲ。俺たちは中に用がある」
「無駄であろう、ジェード。こいつに会話をする知性があるとは考えにくい」
ふてぶてしい侵入者を前にサラマンダーは本来の役割を果たそうと威嚇を始める。
「ふむ、すまぬ。失言であったな。知性どころか強者を知覚する本能すらなかったようである」
「まぁそう言ってやるなよ。こいつだって好きでここにいるわけじゃないだろうしさ。――まぁ慈悲はないが」
次の瞬間、サラマンダーはあっけなくその命を散らした。なんのことはない。オニキスがただ近寄ってサラマンダーの頭部を殴っただけである。オニキスのレベルは200超え。STRは6200。人型に変化し、能力に制限がかかってるとはいえレベル80程度の魔物では抵抗も何もあったものではない。ダイスロールですら彼我の数値差がありすぎて、自動でクリティカル判定が出るほどである。ダメージなど、オーバーキルもいいところ。
かつて東方世界に轟いた《空を統べる者》の名は伊達ではない。
「ふむ、脆いトカゲである。竜種とは比べるべくもない」
「この死体、あとでなにか使えるかな。とりあえず《吸収》しとくか」
そんなことを呟きながらさっさと洞窟に入っていく二人。その姿が洞窟に消えてから、グリフィンナイツのメンバーたちは顔を見合わせた。
「俺、夢でも見てんのか。なんかあのでかい魔物の首が吹き飛んだように見えたんだが」
「てか、死体も一瞬で消えたぞ。なにがどうなってんだ」
「……あの二人、何者なわけ?」
「と、とりあえず俺らも中はいる?」
サラマンダーの細かいステータスとか考えてたんですけど、表示するとテンポ悪くなるので割愛。ステータスは1000近いものもあるので普通のプレイヤーじゃ手も足も出ませんね。
人化してステータスが下がってるとはいえ、オニキスの敵じゃないですけど。




