表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デスゲームを楽しむために  作者: すずひら
session3 PKギルド《グリードグリム》
48/143

048 決定

 数日は待つ、という決定に抗ったのは勿論ジェードだった。ミオにかかっている《挺身》の効果はあと1日。待つことなどできるはずもない。

 しかし、カイトは今すぐ行動しようというジェードの提案をすげなく蹴る。既にギルド間の協議で決まったことである以上、それを破って行動することは多大な覚悟がいる。

 そのことをジェードは数回のやり取りののち、理解した。


 「カイト。その決定はギルドとしてのもので、覆ることはないんだな」

 「ああ、ジェードさん。心配なのは分かるが、こんな状況だからこそ慎重に行かなければ」


 その言葉にジェードは少しだけ瞑目して、席を立った。


 「分かった、そしてありがとう。協力には感謝している。ただ、悪いが俺たちは待つわけにはいかない。ミオにはもうあまり時間が残されていないんだ。――ここから先は俺とオニキスだけでいい。あとは任せてくれ」


 その言葉にギルド内が再び喧騒を取り戻す。無茶だ、あんたらが強いのはわかってるが二人だけでどうにかなるもんじゃないだろ、と。

 今回、騒ぎを鎮めたのはカイトではなくタイチだった。彼は静かに立ち上がった。


 「姉さんが、危ないのか」

 「そこまで急は要しないが、あまりのんびりもしていられない。数日は、待てないな。俺たちは今日中に向かうよ」

 「……、……分かった。すまん、カイト。俺も別行動をとるよ。俺はジェードさん達についていく。ギルドの一員として方針には従いたいけど、姉さんと天秤にはかけられない。もし、他のギルドとの関係がまずくなるようなことがあったら、俺はギルドを追放されてたってことにしてくれ。ジェードさんやオニキスさんはもともとこのギルドの所属じゃないし、それで問題は起きないはずだ」


 その言葉を聞いたギルドのメンバーたちが「なら俺も行く」「ミオさんは美人なんだろ。なら一刻も早く助けないわけにはいかねえな」「サラマンダーごときぶっ倒しゃいいんだよ」などと口々に叫び出す。


 その光景にカイトはため息をつく。


(はぁ……僕が目指したグリフィンナイツはもっとこう、知的でスマートな正義の集団だったんだけどなぁ)


 眼の前にいるのはどう考えてもその理想像には程遠い粗野な男たちの集団である。


 「まぁ、これはこれで楽しいんだけどさ。――みんな、聞け!」

 

 流石にギルドマスターらしく、指示は一発で通る。そのことにカイトはなんだか嬉しくなった。重圧を感じることもあるギルドマスターだが、こういうやつらを率いるならば悪くない、と。


 「ほんとしょうがない奴らだよ、お前らは。ギルド間で決めた約束を破るんだから、それなりの結果でも出さないと後が大変だぞ。わかってるのか。――とりあえず最低目標は人質全員の救出。最大目標はグリードグリム全員の捕縛。絶対目標は“死ぬな”。全部済んだ後でお前らたっぷりコキ使ってやる」

 「おう、わかってんじゃねぇかマスター」

 「それでこそグリフィンナイツだぜ」


 和気あいあいと、しかしすでにその目は戦闘を見据えた冷静なものになっている男たちを見てジェードはひとり感心していた。こういった団結力や切り替えは魔物にはないものだ。冒険者はこういった要素が怖いのだと理解しているがゆえに、その要素を十全に備えているこのギルドはなかなかのものだと認めている。

 だがまぁ、最大目標だけは叶わないだろうとどこか冷めた感情も持ち合わせていた。


 (マスターを、ミオを傷つけた奴を生かしておけるわけがないからな)


 静かに、深く、ゆっくりと、ここ数日耐えてきた怒りを体の底で脈動させる。

 そんなジェードの様子に気が付いていたのは隣にいたタイチだけだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ