043 会議
ジェードとオニキスと名乗るえらく美形のプレイヤー二人が俺のもとに訪れたのは、姉さんと連絡がつかなくなって4日目のことだった。以前俺は姉さんから彼らを友人として紹介されたんだけど、どことなく近寄りがたい。
彼らは街で俺の居場所を調べ、新築されたばかりのグリフィンナイツのギルドホールにやってきた。一応以前会った姉さんの友人だという証拠に(アイテムで容姿を変えることはできないけど一部のスキルでは変装術なんてのもある)、近しい人間じゃなければ知らないような秘密が一つ暴露されたけれども、それには触れないでおく。ギルドホールには結構人がいたので、ご愁傷様、姉さん。
彼らは姉さんを探していると言い、俺達になにか情報を持っていないか、捜索に協力してくれないかと頼んできた。俺は姉さんと連絡がとれなくなって心配していたし、ちょうどこれからグリードグリムについての会議があった。もしかしたら何か関係しているかもしれないと思い、カイトに許可を取って二人にも会議に参加してもらった。
俺たちは討伐隊を出すことを決めたが、肝心のグリードグリムの居場所はいまだ不明。そこでどうするかを話し合うのが今回の会議。会議の冒頭で新たな動きがあったとカイトは切り出した。
「新たな動きってのはギルド、“月夜の黒猫”のギルマス、サブマス、以下5名がどうやらグリードグリムにさらわれたらしい」
「な、それは本当かよっ。カールさんがっ!?」
「ああ。犯行声明がギルドメンバーにメールで送られてきたそうだ。フレンドリストで生存は確認できてるが、連絡がつかない。それで、さらわれていると表現した」
「それは、我が……ではなく、ミオ殿と状況が酷似しているであるな」
オニキスさんが口をはさむ。すでに皆に二人の説明はしてあるし、ミオ姉は俺の姉さんでカイトとケンの知り合いでもあるから話はスムーズに進む。
だいたい、俺とケンがグリフィンナイツに入ったのだって姉さんの勧めがあったからだし。
「そうですね。黒猫の方々の他にも消息がしれないプレイヤーの話を聞いています。誘拐はおそらく数度にわたって行われているのでしょう。ミオさんも巻き込まれたのかもしれません」
姉さんを誘拐するとかほんと、信じらんねぇ。八つ裂きにしても怒りが収まるかどうか。
「しかし、いままですぐ殺してきたのに手口が違うよね。目的はなんなんだろう」
ケンの言葉に答えたのはアイクス。グリフィンナイツのナンバー2、サブマスターだ。職は“大魔導士”。
「人質、だろうか。私たちが討伐隊を組んでいることを知っているのならその可能性が高そうだが」
たしかに、奴らのアジトに人質がいれば討伐は困難を極めるだろう。なにせこの世界は一定条件下以外ではパーティーやギルドメンバー以外へのフレンドリィファイアがある。別のギルドの者が人質に取られているなら迂闊な攻撃はできない。
皆が納得する予想だったが、そこにジェードさんが付け加えた。
「たしかに俺もその可能性は高いと思う。だが、それだけじゃないだろう。方法は言えないが俺は今回マス……ミオと連絡が取れなくなったあともミオのHPが定期的に減少していることを確認している。今の話を聞いて納得がいった。恐らくそのグリードグリムとか言う連中は捕えた者たちを痛めつけている。単なる人質ではなく、体のいいそいつらの玩具ってわけだ」
ジェードさんは吐き捨てるようにそう言った。
「おいおい、待ってくれ。その情報は初耳だ。痛めつけられてるって、姉さんは無事なのかよ」
「……フレンドリストでも確認できるんだろう。生きてはいる。数日間、間断なくダメージを受けてはいるが」
つまり、姉さんを攻撃した後、死ぬ前にポーションかなんかでHPを回復させてまた痛めつけてるってことかよ。くそっ、グリードグリムの奴ら絶対に許さねぇ。
「タイチ。顔が怖いよ。もっと冷静になって」
ああ、すまん、ケン。この怒りは奴らにあった時まで取っておくよ。




