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デスゲームを楽しむために  作者: すずひら
session3 PKギルド《グリードグリム》
40/143

040 消失と危険

GM「……」

GM「……話し相手がいないと暇ですね」

GM「……」

 ある日、我が主が消えた。昼ごろ「ちょっと道具屋に行ってくるね」と言い残して……その日は帰ってこなかった。我もジェードもその時はさほど気に留めてはいなかった。我はまだ我が主と出会ってからほんの短い間しか過ごしてはいないが、その間でも我が主の自由奔放さには手を焼かされたからである。仕方なしに苦言を呈すも「ごめんごめん」と軽い調子で特に堪えてはいない様子。我が主に振り回される気苦労という点ではすでに我とジェードは協力体制を取っている。まぁ、そんな天衣無縫な我が主も魅力的で、我もジェードも好きなのであるが。

 

 異変に気付いたのはその日の夜中。人型に擬態しているジェードが真っ青な顔色で我に掴みかかりこういった。


 「マスターが危ない。誰かに襲われている!」

 

 ひどく動転しているジェードをなだめ、話を聞いた。擬態が半分解けかけているほどの動揺ぶりである。

 ジェードの持つスキル、《挺身》は指定した対象のHP減少を同値のままジェード自身に移し替えるスキル。通常時はダイスロールが必要なため失敗することもあるが、HPが1以下になる攻撃には自動で発動する、距離が離れていても発動するなど優秀なスキルである。問題は、このスキルが先ほどからずっと発動し続けているということであった。


 つまり、何者かが我が主に致死性の攻撃を加え続けているということ。


 それを悟った瞬間、我はすぐに外へと飛び出し、我が主人を探そうとした。しかし今度は逆にジェードに止められる。先ほどとは逆の役割であるが、話をし、時間がたったことで奴も落ち着いたらしい。我も冷静ではなかった。飛び出したところでどこを探せばよいかもわかってはいないのである。


 「いい話と悪い話がある。どちらから聞きたい、オニキス」

 「回りくどいことはやめよ。順に話せ」

 「わかった。じゃあいい情報からだ。俺の“挺身”はパッシブスキルだが、発動には媒体が必要になる。つまり分体が対象に接触している必要がある。俺はあらかじめマスターに許可を取って分体を一体だけ貼り付けさせてもらっていた。分体は発動と同時に消滅する。そして本体の俺は分体の居場所を感知できる。マスターが帰ってこなくても俺が心配していなかったのはこの能力があったからだ」

 「我が主の居場所がわかるのか!」

 「落ち着け、オニキス。さっきまであんなだった俺が言ってもしょうがないが、焦っても仕方がない。――場所がわかるのは分体が消えるまで、途中までだ。俺が感知できた範囲では、最初の攻撃があった時点でマスターは移動中だった。西の方角にあるフィールドダンジョン、“試練の森”の方へと移動していたことしかわからん」

 「……悪い情報は」

 「……“挺身”の発動には分体が必要だ。一度発動した“挺身”はスキルレベル/10日で能力が切れる。俺の“挺身”のレベルは87。つまり、8日後には能力が切れる」

 「タイムリミットは8日。それまでに我が主を見つけられない場合は……」

 

 我が主はいまも断続的に致死性の攻撃を受けているのだ。

 死、という単語を飲み込む。この世界で生物が死ぬことは珍しくはない。しかし、それが我が主に起こった場合、我は耐えられない。おそらくは、ジェードも。

 状況を整理し終わったところで、依然として青い顔のジェードが苦しそうに呟いた。


 「オニキス、確か治療魔法持ってたよな」

 「う、うむ。“上級光魔法”の中に治療効果を持つものはある」

 「俺に頼む。そろそろ挺身のダメージがやばい。俺のHPは500だが、もう半分もない」


 それはつまり、我が主人が250以上ものダメージを受けているということ。我が主のHPは15だからして、すでに16回もの回数殺されていることになる。

 再び全身が沸騰するほどの怒りを感じる。

 

 「ジェード、何が原因であろうと、我は我が主を害したものを許す気はないぞ」

 「俺だってそうさ、オニキス。――何があっても、マスターを助けるぞ」


次は囚われのミオさん視点。ちょっと表現きついかも。雰囲気的にあわないのでしばらく前書きのGMさんにはお休みいただきます。

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