024 その名は
GM「あなたはダンジョンのボスである巨鳥と1か月を過ごし、ある思いを抱きました。そして今日、それを伝えることを決意しました」
ミオ「はい。思いを伝えてきます」
『外に出たいか、だと。なぜそのようなこと聞くのだ、ミオ』
「んー、いや、なんて答えるかはわかるけど、一応ね。最初に会った時殺してくれーみたいなこと言ってたし」
『あれは気の迷いだ……。蒸し返さないでくれ。数百年も一人で封印されていては気も狂おう』
「あはは、ごめんごめん」
よし。
この一か月鳥さんとはたっぷりお話をして、わたしはいろいろ考えた。何をどうするのが誰にとっての幸せなのか。多分、とてもたくさんの答えがあるんだろう。
それでもやっぱり、わたしは自分のしたいようにするんだ。
「うん、じゃあひとつお誘いがあるんだけど。――わたしのモノにならない?」
童顔なわたしには似合わないかもだけど、できるだけ妖艶な笑顔で。こういうのって意識と雰囲気が大事だよね。
そう、わたしの今日の目的は、鳥さんをここから出すこと。今はもう友達だから、ジェード君のように仲間になってくれなくてもいい。ただ、一人ここで寂しく過ごさせるのがいやなんだ。
昔のわたしを――思い出しちゃうから。
『ミオは魔物使いだったな。しかし、我は封印されているとはいえ“空を統べる者”。従えることは我の意志を抜きにしても難しいと思うが』
「難しいかもね。無理かも。――でも、可能性があるかもしれないならやってみない?」
『ッククク、やはり汝は面白い。そうさな、この遺跡を突破できる実力はあるのだ。試してみるのも一興。我が体と魂、汝の好きにするがいい。だが、仮に我を従えたとして、封印は解けぬのではないか?』
「ん、そこは一応考えてはある。でもまずは、君を隷属させるロールに成功しなきゃね」
さあ、ダイスの女神様、お願いだよ。
《システムロール:“隷属の調べ”によるPOW+1/2LUCの対抗ロール。楽器演奏スキルレベルをボーナス加算。判定。(70+690+132)-(420+190)=280 自動成功。“空を統べる者”の隷属に成功しました》
え……結構、予想よりも簡単に……。成功率280%までいっちゃった。まぁ、封印されてなかったら鳥さんのステータスは10倍になるからPOWは4200、LUCは3800以上あっただろうし、とても無理だったんだけど。
『なんと……驚いたな。その精神に対して幸運とスキルレベルが高すぎはしないか。まさか成功するとは思わなかったぞ』
むー成功すると思ってなかったとかちょっとだけ心外。そこは嘘でも成功すると信じていた、とか言えないの。
「うん、まぁ、第一段階はクリアかな。さて、名前付けていいかな。もし自分の名前使いたいならそれでもいいけど」
『このあと封印を解く気でいるのに、名を付けるだと、正気か!?』
「うん、もちろん」
ペットを飼ったときに自分で名前付けるのは大事だと思わない?
わたしは血統書付より雑種の方が好きだなぁ。あの鼠も雑種だったっけ?
『はぁ……汝の奇特さには呆れて何も言えぬ。――――ふむ。だが、よい。その高潔な魂気に入った。我が差し出せるものはこの身と魂のみ。我が生涯の忠誠を汝に捧げよう。受けてくれるならば、名を与えてくれ』
「わかった」
さてさて、名前は実はもう決めている。ジェード君が宝石の名前だったから、鳥さんも統一性を持たせるつもりで考えてみた。上半身は鷲のような猛禽の巨鳥。曲がった嘴と、綺麗な毛並みの羽を持つ(一か月の間に結構ブラッシングとかもした)。下半身は獣の四足。薄い体毛と鋭い手足。良く見ると意外とつぶらなその漆黒の瞳。
そんな君にぴったりな宝石がある。ギリシャ語で“爪”の意味を持つ漆黒の宝石。古くから魔除けとして用いられたそれはきっと君に降りかかる災いもはねのけてくれる。そんな力のある名前になることを願って、君にこの名を贈ろう。
「オニキス。君の名前は今日からオニキスだよ」
なんだか嬉しくて、自分でもよくわからずオニキスに笑いかけた。巨鳥はゆっくりとこうべを垂れた。
『オニキス。確かにその名、受け取った。代わりに我が身と魂を貴女に捧げよう。我が主よ』
仲間2人目(2匹目)ゲットです。今度の仲間は最初からチートステータス。ボスを配下にしちゃうとかミオさん流石です。
次回は封印解除。ダイスは多少シビアかも。




