022 空を統べるもの
GM「おいボス戦しろよ」
ミオ「だが断る」
ジェード「まぁガチでやったら瞬殺ですしね。レベル220とかどうしろと」
あのあと、鳥さんと別れて街の宿屋へ戻って寝た。そうそう、久遠シリーズの装備を全部揃えたおかげか《久遠の支配者》っていう称号を得たよ。称号って言うのは手に入れれば手に入れただけ重複して能力を発揮する便利な装備品みたいなもの。ちなみに久遠の称号の効果は、時間の短縮と延長。熟練度をはやく獲得してスキルレベルが上がりやすくなったり、強化効果の時間が伸びたりするらしい。効果があいまいでいまいち使いどころも有用性もわからないね。
にしても支配者ってなんかやな称号。もうちょっとこう柔らかい表現はなかったのか。一般的な女性プレイヤーのことあまり考えてないのかな。
さて、朝ご飯を食べて、今日はどうしようかと考えて、鳥さんのことが頭に浮かんだ。きっと話相手いないぼっちなんだよね。なんとなーく、ほっとけない。ジェード君には反対されたけど、やっぱり行ってみよう。
思い立ったら行動は早いのがわたし。ちゃちゃっと街で買い物を済ませてお昼前には《久遠の彼方》へとたどり着く。ほらジェード君嫌がるんじゃありません。引きずってでも連れてくからね。君がいないとわたしは弓使えないんだから。
ダンジョンの道中は随分と楽になったからすぐに鳥さんの部屋までは行けた。
なにせもう新しい武器、【久遠の閃き】の効果が半端ない。遺跡攻略後にもらったって飛行大特効の使い道ないじゃんと思ってたけど、再び遺跡に潜るならこれ以上に強い武器はない。だってこの遺跡に出てくる魔物ってほとんど全部飛行系か浮遊系なんだもの。それらの魔物のほとんどに特効。コウモリとか、レイス(幽霊みたいなの)とか。遺跡だから幽霊系が結構多かったけど、浮遊系にも特効が入る。
ちなみに幽霊系の魔物はジェード君に普通にダメージを入れられるはずなんだけど、状態異常とかのスキルばっかり使ってくるからなんの問題にもならなかった。レベル40以上のスライムは《状態異常耐性》って種族特性得るんだもの。
お、扉の前、最後の一匹かな。相手は同じいつぞやと同じ《毒霧コウモリ・レベル53》。
《システムロール:命中判定。DEX&1/2LUC対AGIの対抗ロール (70+92)×3-122=364 自動成功》
《システムロール:ダメージ判定。2STR&スキルレベルボーナス対VITの対抗ロール (66+19)×3-88=167 基準値150~200により3d100+100のダメージ。ロール 30+87+100+100=317》
こないだまで命中率40%だった敵に364%命中、1ダメージだったのが317ダメージ。なにこれこわい。
コウモリはジェード君が攻撃するまでもなく爆散。あとには【毒霧コウモリの羽】【毒霧コウモリの牙】というアイテムだけが残る。すさまじいなぁ、3倍特効。確かにこれなら鳥さんを倒すこともできると思うんだけど。
というか矢が命中して貫くとかじゃなく爆散って、物理現象どこ行ったのって感じ。ゲームの中だから仕方ないか。
「こんにちはー」
『また来たのか。何用だ、小さきものよ』
その小さきものっての、やめてほしいんだけどなー。わたしが身長低いこと気にしてること知らないだろうから、怒らないけど。というか体長数メートルあるこの巨大な鳥さんからしたら人間の身長差なんて誤差の範囲内っぽい。
「いや、特に用事って程のものでも。暇ならお茶でもどうです?」
今日は街の雑貨屋でティーセットを買ってきたんだ。お湯とかお茶っ葉とかをメニュー画面のアイテムボックスに入れておけるというのは便利だ、ゲーム世界。お湯も冷めないしね。
ちなみにアイテムボックスの容量は変わらず13だけど、こういう雑貨アイテムとかは容量を消費せずに持ち歩ける。容量喰うのは装備してない装備品とドロップアイテム、ポーション類とかだね。
さて、案の定暇していた鳥さんはわたし達とお茶することを了承してくれた。わたしたち、というのはもちろんジェード君もだ。変形スキルが上がったからか、いまでは器用にティーカップを持つことくらいは余裕。そしてジェード君は究極的雑食なのでお茶もいける。
暇なときは割と二人でお茶してたりするのよ。
『ところで、小さきものよ。お茶とはなんだ。人間が飲む飲み物のことではないのか?』
え、知らないのに了承したのかい。わたしはお茶とは飲み食いしながらお喋りすることだと大雑把に説明した。よくわかっていないようで首をかしげていたけど。この鳥さん、結構動きが人間臭い。
そうして、談笑タイム。話してみると鳥さんは結構気さくないい人(?)だった。
なんでも数百年前(スケールが大きい)、大空を支配していた鳥さんは強くなりすぎたせいでとある神の怒りをかって、雷を落とされた。雷って言うのは神の使う魔法みたいなものらしい。それで弱ったところを時の勇者に封印されたそう。鳥さんは空の王らしく日の光を浴びると強くなるため、わざわざこの遺跡の地下に万が一の時に鳥さんを倒せる装備と共に封印。その後数百年、今に至るまでこの遺跡には誰も訪れなかったそうだ。
なんか神とか勇者とかそもそもこの世界が数百年前からあったのかとかいろいろ疑問も出てきたけどオール無視。細かいことは気にしない方が人生楽しめるよ。これ、わたしの人生訓。
「今日は楽しかったよ。たくさんお話してくれてありがとね」
『我もなかなか新鮮なひと時を過ごさせてもらった。我はいつでもここにいる。また暇なら訪ねて来るがよい』
ちなみに、鳥さんは流石にティーカップ持てなかった。それ以前に鎖で縛られてたしね。なんか方法考えなきゃな。
そもそもティーカップじゃ2メートル超の鳥には小さすぎるという問題もあるけど。
武器の性能が良かったり宝箱が簡単に開いたのはこのダンジョンに来た人にボスを討ってもらうためだったから、という簡単な理由説明。いつかもっと詳しい理由あかせるといいなぁ。雷落とした神の名前とか。
でもそんなことおかまいなしにボスとお茶し始める我らがミオさん。かっこいーっす。




