012 事後
ミオ「これタイトルどうにかなんなかったの?」
GM「心が汚れているからそう思うのです。別にやらしい意味はありません」
ミオ「やらしいなんて言ってないけど」
GM「」
すっかりおとなしくなったジェード君を横目に、わたしは持っていたポーションを飲んでみた。うー、まずい。苦い草の味がする。HPは回復するけど、これはできれば飲みたくないなぁ。
ちなみに初級ポーション1本でHPが15回復する。わたしのHPは15だから全回復。一応初心者の救済アイテムってことなんだね。
そういえばこの世界の物価は1G=100円くらいらしい。宿代50Gが5000円で食事一回10G1000円とか。そう考えるとプレイヤーの手持ちが初期で1000Gあったから10万円、宝箱から3000G30万出てるよね。色々と手厚いよなぁ。
それにしてもジェード君だ。なぜあんなことをしたのか、何度聞いても絶対に口にしない。ごめんなさいごめんなさいと壊れたオーディオプレイヤーのように震えるだけだ。
もっとも、自分のしたこともちゃんと自覚して反省したみたいだし、若い時の過ちは誰にでもあるわけで。
わたしだって、取り返しのつかない失敗をしたことはある。だから、そこまで気にするのもよくないと思う。
まぁ、2度目がないことは、分かってると思うけど。
ね、と微笑みかけるとジェード君は激しく上下に揺れた。うなずいているつもりなのかな。可愛いなぁ。
そういえば、レベルアップしてもジェード君は弱いままだった。スライムの特性かもしれない。
個体名:ジェード (レベル15)
状態:正常、ミオの眷属・魂の隷属 (主人:プレイヤー“ミオ”)
種族:粘性生物
称号:魂を捧げし者
HP:30 MP:30 STR:1 POW:1 VIT:1 DEX:1 AGI:1 LUC:1(+36)
スキル:吸収 (レベル12)
変形 (レベル12)
上がってるのがHPとMPだけって可哀想な。ちなみにボーナスのLUCが2上がったのはわたしの《魔物使いの心得》と《戦慄の調べ》がさっきそれぞれレベルアップしたせい。
「まぁいいや。さー帰ろうか」
日が暮れかけたところで帰ろうとしてさっきのことがあって、それから“お話”をしていたものだから今はすっかり夜のとばりが降りている。
その日は帰ってすぐに寝た。ジェード君を抱いて寝たので、この世界で初めて誰かと一緒の睡眠タイム。
腕の中でずっとふるふる震えてるジェード君が可愛かった。君は全身癒し系だねぇ。ぷにぷに。
翌日、起きてまず思ったのは。
「おなかすいたー」
気づけば昨日の朝に食べたっきりで、森の中を一日歩いていたんだから空腹になるのも仕方ないだろう。
「ジェード君、ご飯食べに行こう」
ジェード君はなんだかぐったりしているようだったけど、一晩抱き枕にされるのがそんなにいやだったかな?
わたし胸ないし苦しくはなかったと思うんだけど……う、自分で言ってて虚しくなるなぁ。
体の成長についてはハタチを超えた時点で若干あきらめたけど、せめてBは欲しかったなー。身長も150くらいは欲しかったなー。体重は……うん、同年代では飛びぬけて軽いけどさ……。
今も背が伸びているという我が弟がうらやましい。まぁ高校生なら成長期だし当然なんだけども。
「その点ジェード君は成長期(笑)だもんねー。うんうん、いい子いい子」
突然ご機嫌になってなでなでするわたしに戸惑ったのかジェード君は若干後ずさった。そんなに怯えないでよ。
そうして街の食堂に入り、食事をとる。いまなら軽く3人前はいけそう。さあさあ、ジェード君も遠慮せずに食べていいんだよ。経験値以外も食べるんでしょ、君? なにせわたしを食べようとしたんだから。
わたしが3皿目を半分ほど平らげたころ。
店の中の人たちの視線が妙にとげとげしいのを感じた。
殺されかけた相手を抱いて一晩寝るとかこのヒロイン尋常じゃない神経の太さしてる。
現在まで判明しているヒロインの属性。
《姉》《ドS》《見た目幼女》《でも社会人》《もちろん貧乳》《面倒くさがり》《だけど割とブラックな職場勤め》《重い過去持ち》
このヒロイン需要あるのかしら……。




