第92話「再会」
声がする方に振り向いたオレは、懐かしい顔を見た。
(と言っても、3ヶ月前に見た顔が今のところ、初めてかつ一番最後なのだが。)
それは、長い茶髪を後ろで束ね、メガネを掛けた美少年だった。
彼は、今まさに殴りかかろうとしていた男たちと同じ制服を着ていて、明紅の生徒であることが一目でわかる。
いや、そもそも彼ほどの有名人ならば、顔を見ただけで明紅の生徒であることはわかるだろう。
「すまなかった。ウチの未熟な1年生たちが迷惑をかけたみたいで。」
唐突に彼が謝罪の言葉を並べる。
その事にオレが殴りかかろうとしていた男たちは目を見開くほど驚いていた。
「あぁ、別に気にしちゃいない。」
驚いていた明紅生を気にせずに、オレは彼との実力が対等であることを醸し出しながら喋る。
その事に、明紅の生徒たちは更に驚いていた。
「それにしても久しぶりだね。神谷慧。」
「あぁ、そうだな。 瀧川紫龍。・・・それにしても、どうしてお前がウチの高校にいるんだ? 明緑の文化祭といっても、お前が見たくなるような大したモノはないはずだが?」
「たしかに、明緑の文化祭には興味はないね。」
「じゃあ、なにが目的だ?」
「それはもちろん、キミに会いにきたんだよ。神谷慧。」
「そうか。だが、悪いな。オレはストレートだ。そういうことなら、他を当たってくれ。」
「いや、別にそんな意味で言ったんじゃないんだ。ただ、キミがこの前の魔法学園競技大会の会場にいなかったからね。だから、いなかった理由とか色々と聞いてみようかとわざわざ訪ねてきたわけだよ。」
そして、オレと明紅の生徒を追い払った瀧川紫龍はその場で話を始めた。
「じゃあ、聞かせてもらおうか。キミがこの前いなかった理由とやらを。」
「別に言ってもいいが、それぐらいの情報、お前なら仕入れてんじゃねぇのか?」
「いいや、高尾響弥に聞いたんだが、霧島鬼龍に連れていかれたということぐらいしか聞いていない。・・・まぁ、なんとなく察しはつくけどね。」
「そうか。じゃあ、言ってやろう。オレは、霧島鬼龍に一ヶ月の間、みっちりと鍛え上げられた。それはもう、何回も天使の迎えが見えたくらいにみっちりと。」
「ふむふむ、そうか。じゃあ、また強くなっているということでいいのかな?」
「それはどうかな? やってみなきゃわかんねぇだろ?」
「じゃあ、模擬戦をやろう。・・・と、言いたいところだが、生憎、まだまだ話したいことがあってね。」
「ふぅん。そうか。じゃあ、なんのことを話したいんだ?」
オレの質問に瀧川紫龍は今日初めて、間を空けた。
そして、先ほどまで会話をしていたときと違う雰囲気になってから口を開いた。
「──それはもちろん、四獣学院についてだよ。」




