第89話「義妹と書いて『いもうと』と読む」
「疲れたー!」
そう言って、疲れたオレはベッドへとダイブする。
それにしても、文化祭の準備があんなに大変だったとは。
(まぁ、疲れた理由の多くは田中にあったような気がするが。)
ん?
それにしても、なんとなくこのベッド、暖かいような。
まるで先ほどまで誰か使っていたような・・・
いやいや、家の鍵は閉まってたし、オレが一番早くに帰ってきたはず。
(田中とオレがいると作業が進まないとかなんとか言われて)
それにしても、なんだか最近のオレは避けられている気がする。
田中の件を抜きにしてもそうだ。
前はオレにとても喋りかけてくれていたクラスメートたちに話しかけると、よそよそしい返事が帰ってくるだけ。
それに、最近ではなんだか姫依もそんな感じになっている。
というか、正直、オレから話しかけずともオレと会話をしている人間がもう限られてきている。
(それが、同居している人間たちと、田中と森川さん、そして、擬似魔法戦争に出ていた先輩たちぐらいなのが更に痛い)
「んー?なんでかなー?」
声に出しても答えは出ないし、返事は返ってこない
「なにがー?美希たちで解決できることなら協力するよー!」
・・・と思ったのだが、なぜか返ってきた。
それは、とても聞き覚えのある声だった。
そして、声のする方を見ると見覚えのある姿があった。
それは見るからに双子の少女たちで、二人とも同じ水色の髪をしていた。
だが、片方少女は元気が有り余っているようなほど元気そうな体育会系のようなツインテの少女で、もう片方は見るからに静かそうで、髪を下ろした少女だった。
その少女たちに向かってオレは話しかける。
「なんでお前らがいるんだ? 美佳、美希?」
「んー?明緑の学園祭が近いから、行ってこーい、ってお祖母様に言われたからかな?」
オレの質問に答えたのはツインテの方、美希だった。
そして、美佳の方は沈黙を貫いている。
「そうか。で、なんで鍵の掛かった家に入れたんだ?そこんとこ、じっくり聞かせてもらおうか?・・・お兄ちゃんとして!」
「コレ使ったら入れちゃった。」
そう言って美希が上げた右手に掴まれていたモノ、それは針金だった。
「って、オイオイ!?お前らピッキングしたのかよ!?」
「んー?『ぴっきんぐ』ってよくわかんないけど多分したー。」
「・・・それは本当か?美佳?」
正直、美希なら本当にやりかねんので、真偽は今までなにも喋らず、沈黙を貫いていたもう一人の妹に聞く。
「・・・嘘です。美佳たちはコレを使って入りました。」
美佳の手にはこのマンションのマスターキーが握られていた。
「もうなんで言っちゃうの、美佳!つまんないじゃん!って痛ッ!」
しょうもない嘘をついた美希にゲンコツを食らわせてやった。
「痛いよ!慧にぃ!美希たちは『義妹』と書いて『いもうと』と読むちょーレアな存在だよ!?
いいの!? こんなレアな存在にそんなことしていいの!?」
たしかにコイツらは色々な事情があって、一部の人種が喜びそうな存在だが、
「別にお前はいい。美希がいなくたって美佳がいるし。」
こう言い放つ。
「なッ!?今のは本気で傷ついたよ!?美希のガラスのハートがブロークンだよ!?」
「なに言ってんだ?お前?頭おかしくなったのか?」
「これでも美希は正常だよ!結構、成績もいいし!」
「あっそ。オレは疲れて眠いから寝る。」
「えっ!? 嘘!? 嘘だよね!? かわいい義妹をほったらかして寝ないよね!?」
オレは気にせず眠りにつこうとする。
「いいもん!イタズラするから!」
「あっ、そうだ。イタズラしたらあとでゲンコツな。」
「えっ!?」
美希のその声を聞いてからオレは眠った。
そして、こう思った。
また我が家が騒がしくなりそうだ。




