第76話「再戦」
模擬戦が始まった。
そして、オレはそれと同時に駆け出す。
それも肉体強化の魔法を使っているので、かなりのスピードでだ。
そして、右手に握られている剣を振り抜く。
氷の壁を作ってくると思ったので、炎属性の魔法を使い、炎で剣を覆っている。
だが、レインが作ったのは水の壁で、炎は消火され、オレの剣は遮られてレインには届かない。
そして、それを気づくと同時に、オレは剣を抜く。
いや、抜こうとしたつもりだったのだが、レインの水に絡め取られてしまった。
そしてお返しに、オレには大波という水属性の魔法をくれやがった。
そして、オレはそれをバックステップで避けようとして気づく。
──コレ、至近距離で放たれたら、避けられなくね?
その疑問の通り、避けられなかった。
オレは回避方法として、バックステップを選択したが、横に跳んでも避けられないと思う。
そう考えると、至近距離からの波系の魔法ってすげー効果あるんだなぁ、と思う。
そして、こんなことを瞬時に出来たレインに関心する。
今ので、レインが成長していたことがわかったからだ。
そう考えると、すごい楽しくなりそうだ。
レインとの模擬戦を忘れていた過去の自分を怒りたくなるほどに。
そんなことを考えると、つい笑ってしまう。
だが、オレはふと一つのことに気づいた。
そして、オレの笑いが止まった。
なぜなら、氷で作られた巨人が目と鼻の先に立っていたからだ。
もちろん、レインが魔法で作ったのだろう。
──オレが一人で笑っているときに。
突然、氷の巨人がオレに右ストレートをぶち込もうとしてくる。
それは、当たったら痛い、じゃ済まないくらいの威力を伴っていることがわかる。
だから、オレは受け止めるなんてバカな真似はせず、普通に避けた。
そして、鋼属性の魔法で剣を作り、氷の巨人に切りかかる。
愛のように綺麗な剣でもないし、切れ味も悪いだろうが、炎を纏っているので、氷の巨人にダメージを与えることは十分可能なはずだ。
氷の巨人はあっさりと切れた。
が、すぐに再生した。
再生速度は前に戦ったときよりも早い。
だが、オレは同じ箇所を何回も切り続けたので、今は修復が遅れているようだ。
そうやって、氷の巨人の相手だけをしていると気づいたことがある。
以前のように、レインが魔法を放ってこないことだ。
なので、氷の巨人のパンチを避けているときにチラッと、レインの方を見た。
そして、オレは驚愕するものを目にした。
それは、詠唱しているレインの姿だった。
氷の巨人2体を相手にするのは、流石に厳しいと思ったオレは、レインに全速力で向かう。
だが、遅かったようだ。
オレがレインに向かって走ってから、ほんの数秒後、レインの背後には水の塊が現れた。
否、ただの水の塊ではない。
周りに冷気を放っていて、とても危ない香りのしそうなモノだ。
そして、そこから龍の頭がオレに向かって伸びてきたのだった。




