第72話「献魔力」
魅月がどれだけ無茶してるかを考えていると、魅月の方から闇色の銃弾が飛んでくる。
魅月が先ほどまでいた場所に戻って、狙撃を再開したようだ。
つか、魅月はバカか!?
自分の魔力がどれくらい少ないかわかってるはずだろ!?
なのに、なんでこんなに無茶するんだよ!
いや、理由は分かっている。
魅月は見たいのだ。
戦いを楽しむ、笑顔でいるときのオレを。
魅月はそのためなら、自分がどうなっても構わない。
そういうヤツなのだ。
ああ!わかってた。いや、今でもそんなの今でも十二分にわかってるよ。
だからこそ、魅月は止めないであろうことがわかる。
実際、今だって止まらないどころか、先ほどまでと同じスピードでオレを狙撃している。
だが、オレはもう諦めたりはしない。
それが魅月の好きなオレだから。
こんなヘタレな自分を好きでいてくれる物好きに報いるためにも、オレは魅月の弾を剣で弾きながら全力で進んでいく。
弾が髪に当たり、髪を散らしていく。
だが、そんなものまったく関係ない。
弾が頬を掠める。
だが、そんなものまったく関係ない。
弾が腕に当たり、出血する。
だが、そんなものまったく関係ない。
オレはすべてを気にせず走った。
弾がどこに当たろうとも。
オレは魅月を気にして走った。
今、弾がいろいろなところに掠り、当たり、貫いたりして、出血が酷く、血で服を濡らしているオレの体よりも無茶している銀髪の少女のことを。
オレを笑わせてくれるために頑張っている優しい少女のことを。
そして、辿り着く。魅月の下へと。
そして、魅月を見据え、駆け抜ける。
そして、魅月の懐へと入って、右腕を振り抜いた。
そして、魅月は倒れ、模擬戦の勝敗はオレの勝ちということになった。
模擬戦が終わった。
先ほどまで森林となっていたこの闘技場の真ん中には魅月が倒れていた。
オレは急いで魅月を保健室まで運んだ。
そして、保険室の先生のいうことを聞いて、また魅月にキスをした。
──数分後、魅月は意識を取り戻した。
魅月の場合は、もともとの魔力回復力がすごかったので大したことにはならなかったらしい。
あと、オレのキスも良かったようだ。
なぜ?と思う人が大勢いるだろうが、理論上は簡単なことだ。
キスによって、鍵の魔法使いの魔力を錠の魔法使いに渡すことが出来るのなら、その逆も可能というわけだ。
まぁ、簡単に言うと、献血のようなものだ。
渡すのが、血ではなく、魔力だっただけだし。
もちろん、献血のように同じ血液型でなくてはいけないみたいに、渡す魔力は同系統の属性ではいけないとかいろいろなルールもある。
まぁ、なにはともあれ、魅月も帰る頃には元気になった。
なので、オレと魅月は久しぶりに2人で帰った。
・・・手を繋いだりしながら。




