第71話「無茶」
魅月とキスしたことの違和感の正体。
それは、いつものような感覚が訪れないことだ。
そのいつものような感覚とは、キスしているときに、体に流れ込んでくるなんだか熱いモノのことだ。
オレは、あの感覚についてはすでに理解している。
アレは、おそらくだが、キスした相手の、オレの魔力の錠を外すための鍵の魔力が流れ込んでくる感覚だ。
だからこそ、それを確かめる方法がある。
その方法とは、簡単なことだ。
魅月の使える属性魔法、闇属性の魔法が使えばいいのだ。
それでもし、使えなければ、オレの考えは正解となる。
だが、その場合は・・・
いや、使えればいいのだ、使えれば。
使えればなにも問題は起きない。
ただ、オレの考えが間違っていただけのこととなる。
そっちの方がいいに決まってる。
使えてくれ。
そう願い、オレは魔力を込める。
そして、たしかに、オレは、闇属性の魔法を使おうとした。
──だが、結果として使えなかった。
その結果にオレは唖然とする。
なぜなら、オレと魅月の相性は90%以上だ。
つまり、オレは魅月とキスをすれば闇属性の魔法が作られ使えるはず。
でも、オレは今、使えなかった。
これはどういうことか。
可能性としては、2つある。
1つは、魅月との相性が90%以下になってしまった可能性。
以前、愛する相手との相性が低くなって自殺したというヒステリックな女性がいた。
今回も、そのヒステリックな彼女のように、相性が下がってしまったという可能性が無くはない。
だが、オレはこの可能性は低いと踏んでいる。
なぜなら、相性が変動したということは、魔力自体が変わったということだからだ。
このことについて、具体的に言おう。
魔法使いの相性とは、2人の魔力の性質の相性によって決まる。
そして、魔力とは魔法使い本人になんらかの事情がなくては、魔力の性質は変わらない。
だから、魅月が以前、オレとの相性を測ったときから今までにかけてなんらかの事情がなければ魔力の性質が変わることはないのだ。
そして、魅月とオレの相性を最後に測ったのは、中学の卒業式の前日。
そして、春休みの間に魅月になんらかの変化があったらオレに連絡がくるはず。
となると、魔力が変化が変化したのは高校生になってからということになる。
だが、オレは高校生になってからほとんどの時間を魅月と一緒にいるが、なにか変化が起こるようなことは無かった。
だとすると、2つめの可能性になるが、これが正解だとすると、大きな問題が起こることになる。
なぜなら、2つめの可能性とは、今、魅月が使える魔力がオレに流すことができないくらい少ないということだ。
となると、魅月の魔力は本当にギリギリのところまできている。
「そのことのなにが問題なのか?」と、言われると、魔法使いを含む、人間という生き物は魔力が枯渇すると体が危ない状況に陥るからだ。
つまり、魅月の体は今、命に関わるほど、恐ろしいくらい無茶してるのだった。




