第70話「笑って剣を振るう」
突然キスをされたオレは硬直してしまった。
だが、すぐにこの状況を理解し、とりあえず魅月から体を離した。
だが、魅月は迫ってくる。
が、
「いや、今、模擬戦の最中だから、そういうのはダメだろ!」
オレはそう言って、魅月を止めた。
それを見た魅月は、ニコッと魅月らしからぬ笑顔を作る。
そして、
「はぁ・・・そうだね。まったく、慧は真面目なんだから。
でも、いつもみたいな慧の感じに戻ったからいいや。」
と、ため息をついたあとにそう言って、オレに背を向けた。
そして、来た道を戻っていこうとする直前で、
「私、今からさっきまでいた場所に戻るから、攻撃しないでね。
あ。あと、二つだけ、お願い聞いて欲しい。」
と言って、立ち止まった。
それに、オレはいつものように聞いてやった。
「なんだ?言ってみろ。」
「一つめは、模擬戦の最中にキスするのがダメなら、終わったらキスして。」
「って、おい!待て!なんでそうなるんだ!?」
魅月の発言にいつものようにツッコミを入れる。
それに、魅月は真面目な顔で聞いてきた。
「え?ダメなの?」
おいおい、それを言っちゃダメだろ。
今、お前はオレが大事にしなくちゃいけない人になったんだから。
だから、
「いいよ。わかった。」
と、言ってやった。
それを聞くと、魅月はオレに笑ってから、背を向けた。
そして、
「じゃあ、二つめ言うね。
私との戦いをめいいっぱい楽しんで。・・・それが1番、慧らしいってことだから。」
そう言って、魅月は歩き出した。
──魅月が見えなくなってから数分後。
オレは考えごとをしていた。
魅月の言う通りだ。
オレは最近、桜に勝ち続けていて天狗になっていたのと、負けたくないというプライドから、いつもみたいに戦いを楽しめていなかった。
でも、今からは違う。
本気でこの勝負を楽しもうと思う。
だから、どれだけ力の差があろうとも、諦めず、笑いながら、剣を振るう。
と、考えていたことはそんなことだったたが、他にもう一つ考えていた。
それにしても、あのキス、どこか異変を感じた。
それがなにかはわからない。
でも、なんかおかしいのはたしかだ。
いや、あんな言葉を言われたあと、しかも、キスをされているあとに考えることとしてはおかしなことだ。
だが、なぜかオレはいろいろと考えてしまった。
そして、異変の正体に気づいた。




