第67話「侮れない」
このままじゃ、マズい。
そう感じながらオレは魅月に向かって走っていく。
だが、少し走ってからやっぱり止まることにした。
こうすると、魅月からしたら絶好の的だが、それでも構わない。
だって、ここさえ乗り切れれば、オレは魅月の狙撃を気にせず走れるようになるからだ。
そうすることができるであろう作戦がオレにはあった。
オレは魅月の狙撃を剣で弾きながら、詠唱を開始する。
「我が従える無数の剣つるぎよ。今から、我が敵である彼の者に敬意を持って剣を振るう。汝、我が敵を切り裂き、最高の敬意を与えよ!!」
「無数の剣舞」
この無数の剣舞は、鋼の剣を相手に向けて撃ち出すだけの魔法ではない。
この魔法は、無数の剣を生み出し、自在に操ることができる魔法なのだ。
それによって、攻守に分けて活躍ができる魔法である。
ただこの魔法にも難点はある。
それは、一本一本を動かすのがとても難しいことだ。
が、オレでも十本ずつ単位なら動かせる。
だから、魅月の放つ弾がいくら早かろうと、確実に魅月の狙撃を弾くことが可能だ。
だから、この魔法が完成した途端にオレは、魅月の狙撃を気にせずに走れるようになった。
よって、確実な有利を手にすることができたのだ。
例えば、今の約20秒程で、魅月の狙撃が10発はきた。
が、すべての弾はオレの体の周りに浮いている無数の剣に弾かれる。
この勝負は、もうすでに確実にオレのペースになっている。
オレが完全な有利のまま、魅月のところまで突き進んで勝利だろう。
と、思っている矢先、やっぱりそう簡単にはいかないか、と思い直した。
なぜなら、目の前から魅月のいる大きな木のある地点までの道に闇属性の魔法で作られた兵士たちが立っているからだ。
その数は、100は優に超えているだろう。
そして、兵士たちはそれぞれ、武器を持っていた。
それは剣や槍などから始まり、弓矢や銃を持っている者もいる。
魅月め、詠唱魔法の闇の兵士団を使ったようだ。
先ほどから少し狙撃が遅くなったと思ったら、ここでそんな小細工をしてくるとは。
やはりアイツは侮れない。
そう思いながら、オレは闇属性の兵士の山に突っ込む。
そして、近づくヤツから順に斬っていく。
が、数が数なので一向に減る気配がない。
なので、オレは狙撃から自分の身を守っている無数の剣を、兵士の山に解き放った。
そうすると、先ほどよりも兵士の数が減るのが早くなっていく。
だが、喜べるのも束の間だった。
自身の防御力を下げてまで、攻撃に回ったオレに、先ほど以上に早い狙撃が飛んできた。
つまり、オレは今、闇属性の魔法で作られた兵士たちと、魅月の狙撃が同時に襲われている状態にあるのだった。




