第64話「めんどくさいことになってきた」
オレは桜との模擬戦を初めてやったあの日から一週間、毎日のように模擬戦をやり続けていた。
それは、剣技だけの戦いもあったり、魔法ありなんでもありの勝負もあったりした。
そして、狂ったように戦闘という共通の楽しみを終え、毎日のように愉悦に満ちた表情で家へと帰っていく。
もちろん、今日もそうしたのだが・・・
「慧君!毎日、毎日、遅すぎます!しかも、なんでここに帰ってきてるんですか、この人ッ!」
と、愛に強く突っ込む。
が、
「ボクがここにきたのは、慧君が『今日は泊まっていくといい。』と、言ってくれたからだよ。」
と、冷静に桜が返す。
それに、
「今日はですって!?あなた、ここ最近、普通にここに泊まってますよねッ!?」
愛が激昂した様子で更に突っ込む。
そして、更には
「もういいですッ!慧君!明日、愛も闘技場に行きます。」
などと言ってきた。
それに、思いっきり抗議を入れる。
「おい、ちょっと待て。なんでそうなるんだ?」
「愛だって、慧君を楽しませられることを知ってもらうためです。もちろん、慧君に拒否権はありません!」
「ボクもちょっとだけ待って欲しいな。キミも慧君を楽しませられることを知ってもらうにはどうするんだい?」
「もちろん、愛があなたと戦うんです。そうすれば、愛はあなた以上の実力者であることが証明され、慧君と毎日のように遅くまで一緒にいられます。そうすれば、あんなことや、こんなことも・・・」
「・・・そうか。キミがボクと・・・
いいね。面白そうだ。やってみよう。」
「当たり前です。ぶっ潰してやりますよ。」
・・・やべぇ、なんかめんどくさいことになってきた。
──そして、次の日の放課後。
闘技場には、愛と桜が立っていた。
もちろん、昨日言ったように模擬戦をやって、オレに自分の力を見せるためだ。
だが、オレはその試合を見れなかった。
それは、なぜかというと・・・
「私だって、弱くないんだからッ!」
と、桃香が名乗りを上げ、オレに挑んできたからだ。
そして、更に・・・
「私もやる。」
「私もやらせていただきます。」
と、魅月とレインまで名乗りを上げてきたのだった。
・・・だが、
「私はパス。」
と言って、姫依は一人だけ帰ってしまった。
どうしたのだろうか?
姫依はいつも周りから1歩引いた視点からみんなを見ている。
つまり周りの空気をよく察して適当な受け答えをいつもしているのだ。
それが、『今回はパス。』と言って帰った。
なにかあるとしか思えない。
が、オレが考えてもなにも出てこない。
だが、今はそれよりも、桃香との模擬戦の方に集中しなくては。
桃香はたしかに強い。
それも、かなりのレベルでだ。
そんな相手に考え事をしていたら勝てるわけがない。
だから、オレは一旦、姫依のことを忘れ、集中して前方に立つ桃香を見た。
そして、それからまもなくしてから、模擬戦が開始される。
オレは模擬戦が始まった途端、桃香にフルスピードで突っ込む。
そして、懐に飛び込んだと同時に右手に持つ剣を振り抜いた。




