第57話「制圧」
「なぜ? 笑わせてくれるな。そんなこと、オレがわざわざ教えると思っているのか?」
と、漠然と高尾を見つめる榊戒人の口から自然と出た言葉に対し、高尾響弥は言葉を発する。
そして、また右手に持った銃から弾丸を撃ち出す。
それはまた榊戒人の幻を貫いたのだった。
そして、高尾は今度は違う方角に左手に握る銃を向ける。
そして、銃弾を撃ち出す。
その弾は当たったらしく、誰の眼にも見えるようになった榊戒人が血まみれになった腕を止血していた。
「なぜだ!?まったくもって、理解、できない。
だって、ありえないはずだ。ワタクシの幻属性の魔法が魔眼も無しにこんな簡単に破らるなんて!」
悲鳴にも取れる榊戒人の叫びが聞こえる。
が、それを高尾響弥が気にするはずもなく、容赦なく左手の銃の引き金を引く。
そして、それは榊戒人の怪我をしていない方の腕を貫く。
それを見て、高尾は
「チッ。めんどくせぇな。今、お前が避けなきゃ、お前の心臓を貫いてたはずなのにな。」
と、自分の放った弾丸を避けて、致命傷を免れた榊戒人に言葉を投げかける。
「まったく、まったくぅ。あくまでも、ワタクシは本陣を任されているのですよ?最悪、この勝負、勝ち目がなくても、諦めるつもりはありません!」
投げかけられた高尾の言葉に対して、榊戒人が言う。
それを見て、高尾響弥が珍しく笑った。
それは、笑顔というには程遠いものだったが、たしかに笑った。
そして、
「その態度、少し気に入った。
オレが貴様を戦闘不能にする前に話してやる。・・・お前の疑問の答えをな。」
高尾響弥が口を開いたのだった。
そして、高尾響弥は榊戒人の魔法が破った方法を淡々と話した。
が、聞いてみれば、それは簡単なものだった。
高尾は、必ず最初に榊戒人の幻を貫く。
そして、着弾と同時に貫いた弾丸に込めてある魔力によって、魔法が作動する。
それは、音属性の魔法で、「微振動」という音属性の魔法使いなら誰でも使えるような簡単な魔法だった。
なぜ、「微振動」がそんな簡単に使える魔法かというと、文字通り、その効果が周囲に微振動を送る、ただそれだけのことだったからである。
だが、この魔法には他に使い道がある。
それは何回もこの魔法を使っていると、その使用者はどこがその魔法で振動しているかがわかること。
そして、「微振動」が送る微振動は、なにか物体に当たると、その物体を微かに振動させること。
この2つによって、索敵を行えるのだ。
それを高尾響弥はこの戦いで使用した。
ただ、それだけのことだった。
そのことを告げ、高尾響弥は今度こそ、榊戒人の体を貫き、戦闘不能にさせる。
そして、視界に入っている数人の敵をいつものように蹴散らした。
(ちなみに、敵が数人だけだったのは、吹っ飛ばされた魅月たちが敵を倒していったからだ。)
こうして、敵陣の制圧は完了したのだった。




