第53話「結末」
「ここで!ボクが戦闘不能になろうとも、君を!ボクはここで倒す!!」
真剣な表情で言った滝川紫龍の言葉にオレは息を呑む。
が、オレは不敵に笑い、
「倒されねぇよ。この勝負はオレがもらう。」
と、返してやる。
そして、しっかりと魔力を身体中に行き渡らせる。
そして、自分の人生で初めてといってもいいくらい、肉体強化の魔法に集中する。
「では、そろそろ、いこうかな。ボクの体も血が足りなくて倒れそうだしね。」
そう言って、ゆらりとした動きで刀をオレの方に向ける。
そして、突っ込んでくる。
身体中の魔力を肉体強化魔法に注いだのだろう。
先ほどまでとは桁違いのスピードだ。
が、やはり、スピードにだけは自信があるオレには、追いつけない。
1メートル以内に入んなきゃいいんだ。
バックステップや横っ飛びをし続けるだけでなんとかなる。
だが、ことは大して簡単ではなかった。
たしかに、1メートル以内に入らなければいい、ただこれだけのことをし続けるのは、簡単な話だと思う。
実際、最初の方は、オレと滝川紫龍の距離も段々と離れていった。
が、相手は、天才である滝川紫龍だ。
そして、アイツ自身、土属性の魔法使いであるため、今、このフィールドとは相性がよく、地形を変えることだって可能だ。
つまり、天才相手に完璧に地の利を取られている。
実際、現在のオレは、徐々に追い詰められ続けている。
それも、ヤツが完璧にオレの行く先々の地形を変え、オレの逃走経路を少なくしたり、オレのスピードを徐々に減速させているのが原因だ。
さすがに、マズいと感じる。
これじゃ、オレの体が滝川紫龍の1メートル以内に入るのも時間の問題だ。
オレも対抗して、鋼鉄砲で牽制したりしているが、滝川紫龍の1メートル以内に入った途端に斬り伏せられる。
それは、大した減速を必要としないほど速く、鋭い。
が、突然、徐々に追い詰められ続けるオレは思った。
オレから攻撃すればいいじゃないか、と。
一見すれば馬鹿な意見かもしれない。
が、多段攻撃や範囲攻撃ならどうだろう?
「試してみる価値はありそうだな。」
オレはいつものように笑って、詠唱を始める。
「我が従える無数の剣よ。今から、我が敵である彼の者に敬意を持って剣を振るう。汝、我が敵を切り裂き、最高の敬意を与えよ!!」
「無数の剣舞!!」
詠唱が終わり、魔法が発動する。
すると、滝川紫龍の全方位360度を無数の銀色の剣が取り囲むように現れる。
そして、次の瞬間、剣は先端を滝川紫龍に向け、次々と滝川紫龍に向かっていく。
そして、それから、滝川紫龍の妖刀『血塗らし』とオレの魔法、無数の剣舞が火花を散らす。
最初の方は、滝川紫龍の1メートル以内に入った途端に弾かれる剣たちだったが、次第に滝川紫龍はかすり傷を作っていった。
そして、ようやく、滝川紫龍に大きな傷を作る。
が、それでオレの魔法の剣たちは打ち止めになった。
が、滝川紫龍は倒れる。
さすがに天才でも大量出血には耐えられない。
「負けてしまったか。」
と、言い残すと、すぐに戦闘不能とみなされ、光となって消えていった。
こうして、オレは滝川紫龍に勝利し、また、敵陣へと向かっていった。




