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Kissから始まる魔法学園  作者: 栗間屋 ラヒ
第3章 Kissから始まる魔法学園競技大会 春の部
52/95

第52話「代償」

オレの言葉に、これまでの余裕がある笑みを崩した滝川紫龍は引きつった笑みを浮かべる。

だが、少し深呼吸して先ほどと同じような笑みを浮かべた。


「どういうことかな?」


そして、こう聞いてくる。

そんな動作にオレは、


「いや、隠そうとすんなよ。ムリありすぎだから。」


こうツッコミを入れてやる。


「つか、いいのか?こんな悠長に会話なんかしてさ。お前、早く回復魔法かけなきゃじゃねぇの?」


「フッ。やはり君は頭がいいんだね。」


オレの言葉にこう返してくる滝川紫龍に


「うっせ!皮肉にしか聞こえねぇよ。」


と、オレは返してやる。


「いやいや、90%賞賛だよ。」


「あと、じゃあ、10%は皮肉かよ。」


「いいや、尊敬、といったところかな?」


「チッ!」


なんか恥ずかしかったので、舌打ちをしてやった。


「じゃあ、君を追い詰めながら、話そうかな。」


と言って、滝川紫龍は急に斬り掛かってきた。

もちろん、ちゃんと斬り掛かりながら話しかけてくる。


「君の考えを聞かせてくれないかな?」


「あ? まぁ、いいか。 お前も色々と聞かせてくれたしな。・・・まぁ、大事なところはちゃんと隠してさ。しかも、オレの意識がある場所にいかないようにするために、わざわざ全部ストレートに言ってちゃってさ。」


だって、そうだろう?

アイツはたしかに話してくれた。

それにヒントのようなものもくれていたんじゃないかな?


でも、オレはコイツのストレート過ぎる言葉に惑わされた。

だから、オレは考えた。

でも、答えは出てこない。


「だってさ、さっきのお前の言葉はさ、能力を発動するための『代償』を払えなかった、って意味なんだろ?

そう、決してお前の刀がオレのスピードに追いつけなかったんじゃなく、お前自身がオレのスピードについてこれなかった、だろ?」


「ふぅん。で、続きは?」


「お前の妖刀の名前さ、『血塗らし』って言うんだろ?

それで、なんとなくわかった。つか、その前にさ、お前、その腕の傷、キレイに隠してたけどさ。チラチラみえたんだよね。」


「あぁ、これかい?」


と言って、先ほどまで隠してた傷をオレに見せる。


「あぁ、それ。でもさ、その傷って、誰がつけたんだろうな・・・・・・・・・・?」


「君がつけたんじゃないかな?」


「いや、ここまで言わせてしらばっくれんなよ。

それは、お前自身が自分でつけた傷。そして、それこそがお前の刀の代償なんじゃないか?」


「あぁ、半分は、その通りだね。」


「あぁ、半分はな。で、お前の妖刀の『代償』は、使用者自身の血で刀を濡らすことだろ?『血塗らし』とはよく言ったもんだぜ。」


そう。

おそらく、コイツの刀の代償は自分の血で刀を濡らすこと。

そして、その血は自分でつけた傷から出た血であること。

これが、あの刀の2つの代償。


「完璧だね。素晴らしいよ。」


オレの考えは完璧だったらしく、先ほどのように滝川紫龍はオレに賞賛を送る。


「ったく、刀の名前っていうヒントまで貰ってんだから当たり前だろ!」


そう。オレは何度も何度もヒントを与えられていた。

が、気づかなかった。


「いやいや、でも、ボクはそれ以上に君を惑わせようとしたんだがね。・・・わざと自分の能力だけを教えて、代償については教えないとか、わざわざストレート過ぎる言い回しをして、君を混乱させて、そもそも『代償』に注目させない、とかね。」


そう言って、笑いかけてくる。


「でも!お前は自分の刀の能力だけ言えば良かっただろ?なんで、ヒントを与えるようなマネしたんだよ?

いや、そもそも、なぜ、オレに能力についても教えた?

言わなければ、オレがお前に近づいたのを見計らって斬る。

これだけで終わりのはずだ。」


「ここまで、ボクは戦ってきた者全員に同じことを言った。・・まぁ、最初は、自慢したかったんだろうね。まぁ、減るもんじゃないし、名前と能力ぐらいは教えてもいいかなって。

でも、ここで普通に言うの飽きてきてさ。


ボクに勝とうとする人たちを見て思ったんだ。

名前を先に言って、能力は聞いてきたら聞かせる。で、少し、相手を惑わせて、少し頭脳戦みたいなことをして楽しもうかな、って。

まぁ、ボクの頭脳戦たたかいはいつも本陣でやってたから、本陣から離れた時点で危ない賭けだったんだけどさ。

でも、ここでもやってみようとしてさ。

で、頭脳戦に負けた、ということさ。

そのおかげでボクはこの戦いには勝てない。・・・まったく、バカもいいところだな。」


「お、おう。」


急にめちゃくちゃ喋る滝川紫龍にオレはこれしか言えない。


「たしかに、この勝負は多分、もうボクは勝てない。でも、君を勝たせるわけにもいかないんだよね!だから!」


そう言って、先ほどのまでの笑みは消えた。

そして、オレに真剣な眼差しでこう言った。


「ここで!ボクが戦闘不能になろうとも、君を!ボクはここで倒す!!」

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