第51話「推測」
オレのストレートな質問にどう答えるか?
それの答えは、このどうしようもない戦況を変えるモノかもしれない。
だから、聞き逃しなどないようにオレは耳に全神経を集中させて聞いた。
「なんで? ですか。 その答えとしては、君の攻撃が予想以上に速かったから、ですかね。」
「いや、ウソつけ!」
オレは本気でツッコミを入れる。
そして、言葉を続ける。
「つか、お前のその危ねぇ刀の範囲内に入ったら、途端に斬られんだろ? 速いも遅いも関係あるか!」
「ふむ。意外と頭がキレるようだね。
たしかに、ボクの『血塗らし』には、斬る対象の速度は関係ない。」
「じゃあ、なんで、お前はオレの初撃でオレを斬らなかった!?」
「だから、言っただろう? 君が速かったからだと。」
「は? 意味わかんねぇよ!」
「・・・そうか。なら、仕方ないな。 早く続きを始めよう!」
滝川紫龍は、一方的に斬り掛かって、会話を終わらせる。
あの刀の能力を知ったオレは、迂闊には近づけず、一定の距離を取ったまま後退していく。
オレはどうすればいい?
どうすれば、アイツの刀の能力に勝てる?
アイツの言葉は、どういう意味があるんだ?
そもそも、アイツの言葉は真実なのか?
じゃあ、真実だとしたら、どういうことだ?
考えてもわからない・・・では、あれはハッタリだったのか?
ハッタリだとしても、なぜ、初撃でオレを斬らなかった?
そもそも、なぜ、アイツはハッタリを言ったんだ?
こんなたくさんの疑問が頭を駆け巡る。
考えすぎて頭がパンクしそうだ。
クソッ!
なんか、ねぇのか! なにか!
そして、オレはあるモノを見て、閃いた。
この妖刀がなぜ、オレを初撃で斬らなかったのかを。
いや、斬ることができなかったのかを。
そりゃ、わかんねぇわけだよな。
オレは思い違いをしていたんだから。
いや、こうであるはず、という認識、ただの予想に過ぎないことを過信していたんだから。
そもそも、アイツはオレにヒントを出してくれてたんじゃねぇか?
何度も何度も同じことを言ってさ。
「どうしたんだい?」
急に変わったオレの様子を見て、滝川紫龍が尋ねてくる。
いや、戦闘中に敵を心配してくるとか、なにやってんだよ!
とか、ツッコミを入れたかったが、今はそんなことよりもこっちの方が重要だ。
「なぁ、お前、さ。・・・さっきの会話で嘘はついてないよな?」
「あぁ、誓おう。今までの君との会話の中で、ボクは1度も嘘なんかついてない、と!」
「そっか。なら、わかったぜ。」
そう、おそらくだが、コイツは嘘をついてない。
コイツが早く敵陣に戻りたい理由。
初撃にオレを斬れなかった理由。
さっきの会話に対するしっかりとした説明がない理由。
そして、会話を急に終わらせた理由。
じゃなきゃ、オレの疑問全てに答えが当てはまるモノがない。
そして、オレの推測が正しいのなら、
「お前、オレがこのまま逃げ続けたら、負けんだろ?」
オレはこの戦闘の中で出た最後の推測をぶち込んだ。




