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Kissから始まる魔法学園  作者: 栗間屋 ラヒ
第1章 Kissから始まった高校生活
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第5話「模擬戦」

模擬戦が行われる闘技場はとてつもなく広く、魔法によっていろいろな姿に形を変える。


例えば、今までコンクリートだった床には草が生え、密閉されていたはずの闘技場に風が吹いている。

そして、天井があり、見えなかった青空が今は見えている。

完全に草原だ。


その広大な草原にオレは、キレイな女の子と向かいあって立っている。

愛用している剣を持って。


魔法使いというのは、杖を持って魔法を使うだけしかできないと思われがちだが、

身体能力が高く、肉体強化もできるため、接近戦もできる者も少なくはない。


そうこうしてるうちに、模擬戦開始のカウントダウンが始まった。

5、4、3、2、1…


模擬戦開始のアナウンスとともに、レインが水属性の魔法、アクアボールを打ち出してきた。


水弾(アクアボール)はE級魔法のため、さほど威力があるわけではない。

さほど早くもないため、回避した。


すると、レインは違う魔法を使った。

氷で作られた狼が何十匹も姿を現し、オレに襲い掛かってくる。

先程より速かったが、オレのスピードに比べるとかなり遅い。

なので、持っていた剣で葬っていった。


そろそろこちらから、仕掛けるか。

肉体強化の魔術を使い、レインへの接近を試みる。


だが、失敗した。

なぜかというと、レインの姿が消えていたからだ。


どこへ行ったんだ?

そもそもこのオレが、見失うだと!?


あのお姫様、意外にできるようだ。

これは、少し楽しめそうだ。


そう思っているオレに新たな魔法が降り注いできた。

氷の槍だ。

D級に属するアイスランサーだろう。


数は多いが、さっきの狼と同じで一つ一つは大したものじゃない。

狼と同じように剣で粉砕していった。


そんな風に数だけの魔法が何回も飛んできた。

もちろん、その程度の魔法ではオレを倒せるはずもなく、全てを粉砕していった。


だが、おかしすぎる。

確かに少し油断はしてたし、狼との戦いで気をレイン自身に向けてなかったのもあるが、レインはオレが見失うほどの実力者のはず。

そんなやつが、意味もない魔法を何発も無駄打ちするはずがない。

なにかあるはず。


そう考えているオレの前に、堂々とレインは姿を現した。


なぜ、今なんだ?

だが、正解は簡単だった。

周りは氷に囲まれ、ふくらはぎのところに浸かるところまで粉砕した氷が溶けていた。

そう、向こうはこの草原のステージを、何発もの氷の魔法の連発によって、

オレに気づかれることなく、水属性の魔法使いが得意とするステージ、いわば、自分のホームへと作り変えていたのだ。


そうすると、アウェイのオレは完全に不利だ。

まずいな。戦略的には大敗北した。

だが、オレは声を上げて笑っている。


どうしてかって?

だって、久しぶりに頭の勝負で負けたんだ。

面白すぎんだろ!

この勝負、少しどころじゃないくらい面白くなりそうだ。


笑ってるオレに、魔法で作られた水の龍が襲い掛かってくる。


オレは先ほどとは段違いのスピードでそれを避けつつ、レインに突っ込む。

レインは氷の壁を展開しながら、後退していく。

だが、甘い。そんなスピードではオレから逃げるなど不可能に近い。


が、肉体強化の魔法を使ったのか、レインのスピードが上がっていく。

それでも、オレから逃げるのにはまだ足りない。


だが、オレはレインには追いつけなかった。

オレの足が止まっているからだ。

だが、目と鼻の先にはレインがいる。


じゃあ、どうして止まったんだ?

答えは簡単。

レインが魔法の詠唱を終え、S級であろう魔法を完成させていたからだ。

そのため、目の前には魔法によって出現した氷の巨人が立ちはだかっている。


魔法は、基本、詠唱が無くても使うことが出来る。

だが、S級、SS級の魔法とA級の魔法の一部は強力すぎて詠唱しないとコントロールができない。

しかも、魔法を完成させること自体が難しいはずだ。


それを簡単に出来ちまうってことは、すごい実力の持ち主だ。


あー、面白ェ。こんな強いやつと戦えるなんてな。

これなら、本気で戦っても大丈夫そうだ。


目の前にいる10メートルあるであろう氷の巨人が、殴り掛かってきた。

当たったらひとたまりもないだろうが、そんな遅いパンチをわざわざ当たってはやらず、普通に避けた。


いや、さほど遅い訳ではないな。

実際、さっきの水の龍よりは速かった。

自分で言うのもなんだが、オレが速すぎるのだ。


パンチを避け、剣で攻撃をする。

だが、巨人が硬すぎて、さっきの氷のように砕けない。

さすが、S級魔法だ。

そうじゃなくちゃつまらない。


今度は、剣に魔力を込めて攻撃した。

今度は、腕を破壊した。


この程度かー。なんか萎えるなぁ。

そう思っていると、氷の巨人は再生した。


実に面白い。これなら、何度壊しても楽しめそうだ。


数十秒後、オレは氷の巨人をぶち壊した。

さすがに本気でやり過ぎたようだ。


まぁ、いいや。楽しめたし。

じゃ、模擬戦を終わらせるか。


崩れた氷の巨人の近くにいるレインに向かって、全力で突っ込む。

レインがいろいろと魔法を使ってきたが、すべて回避し、レインに剣を振り下ろす。

剣はレインを肩から脇腹にかけて切り裂き、レインの命を奪い取った。


こうして、模擬戦は終了した。


そして、オレたちはさっきまでいたコンクリートの闘技場に戻ってきた。


「慧様は、ものすごい実力の持ち主なんですね。

私の蒼氷の巨人(フローズン・タイタン)を破ったのはあなたが初めてです。」


と、興奮気味に言ってきたレイン。それに対し、


「そうなのか。それにしても、あれほどすごい魔法は久しぶりに見たよ。」


と、オレは思った通りの感想を言った。


ちなみに、蒼氷の巨人(フローズン・タイタン)というのは、先ほどの氷の巨人の魔法のことらしい。


それにしても、本当にすごい魔法だった。相手がオレだから、さほどすごいようには感じないが、普通の学生ならアイツ1体倒すのに50人は必要だろう。


少し話をしてから闘技場を去り、次に案内する場所を目指し始めたが、一つ気になることがある。


それは、レインの態度が先ほどとはまったく違うことだ。


先ほどはもっとよそよそしかったはずだが、今はオレの腕に自分の腕を絡ませてきている。


そのおかげでいろいろと当たっているんですが。


まぁ、仲良くなることはいいことなのだろう。

なので、気にしないことにした。


そこから順調に案内は進み、6時前にはマンションの案内を始められた。


ちなみに、爺さんがマンションの持ち主なので、オレはこの豪華なマンションにタダで住んでいる。


「そういえば、レインの部屋ってオレの隣の部屋って聞いたから、101号室でいいんだよね?」


「いいえ、私は100号室に住むことになりました。」


「え?悪い。よくきこえなかったから、もう一度言ってくれ。」


「だから、100号室です。」


「ちょっと待て。100号室ってオレの部屋なんだけど。」


「知ってますよ。でも、これからは私の部屋でもあります。」


「ま、待ってくれ。なんでこんなことになってるんだ?」


「私が慧さんのお爺様に頼みましたから。」


「な、なんで?」


「なんでって、好きな人の近くにいたいのは当然ですよね?」


「え?オレとレインはさっき知り合ったばっかだろ?それなのに、好きってどういうことだ?」


「慧様の模擬戦での姿がカッコよかったので、惚れてしまいました。」


「う、嘘だろ?」


どうやら、本当らしい。


玄関を開けたら、山積みのダンボールと不機嫌な顔の魅月が立っていた。


「ねぇ、慧。なんでお姫様がこの部屋に住むことになったか、もちろん説明してくれるんだよね?」


こうして、修羅場が幕を開けた。

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