第47話「根性」
爆発属性の魔法使いである2人、カインと高田の殴り合いは、殴り合いが始まってから数分経ってもまだ続いていた。
「ハァ、ハァッ!」
またカインのカウンターが決まる。
だが、カインも疲労が溜まっていて、息が荒い。
そして、もともと弱いパンチの威力が更に弱くなっていた。
だが、どちらもダメージや疲労が蓄積していって、殴り合い開始よりも動きが鈍くなっていた。
闘技場では痛みは感じないが、疲労やダメージは残るし、疲れも感じる。
それは、今まで近接戦闘をせず、戦闘による疲れというものをよく知らないカインにとって、かなり大きなハンディキャップとなっていた。
だが、そうなってくると、もともと近接戦闘を得意としていた高田が有利になるが、ダメージが溜まっている高田の動きは、もともと速くはなかったのに、更に遅くなっている。
そして、だからこそと言うべきか、大の男同士の醜い殴り合いはまだ続く。
──そして、殴り合い開始から十数分が経ったとき、高田の体がぐらついた。
そして、もちろん、近接戦闘を教わったカインには、いいや、教わる前のカインでも、それが大きな隙であることは明白だっただろう。
そして、カインの拳が高田の腹部に炸裂する。
そして、カインはラッシュする。
何度も何度も高田には、カインの拳が入っていく。
そして、高田がようやく倒れ、カインが勝利を確信し、勝利の咆哮をあげたとき、カインの右手が掴まれた。
そのとき、カインは両の拳を天に掲げ、勝利の笑みを浮かべていた。
その振り上げていた右手が掴まれたのだった。
────高田の左手によって。
「ハァ、やっと、捕まえた、ぞ、カイン!」
高田は、荒い呼吸をしながら、その言葉を吐き、右腕を振りかぶる。
そして、スピードは遅いながらも、必殺の一撃が放たれる。
それは、今度こそ確実にカインの体を捉えた。
「うおおおおおおおおッ!」
そして、カインの体が吹き飛ぶ。
それを見て
「よッ、しゃァ!」
今度は高田が、さっきのカインと同じポーズで勝利の咆哮をあげた。
それは、高田の根性が、高田が倒れることをさせなかった結果だ。
だが、先ほどのカインと同じように高田もまた、右手を掴まれた。
それは、高田が倒したと思っていたカインの手によってだった。
「フッ、このまま、お前の1人勝ちにはさせねぇよ。」
言葉を吐き、カインは高田の右手を引っ張って自分の体の近くにカインの体を寄せた。
そして、自分を巻き込んでまで高田に爆発属性の魔法をぶつけた。
それは、高田と同じようにカインの根性がさせたことだった。
絶対に負けたくない、その思いがカインにここまでさせたのだ。
それは、カインは負けないために、自らの勝ちを諦めて、引き分けを選ばせた。
───プライドが高いカイン・アドルフという男に。
そして、、2人は倒れる。
そして、カインの狙い通りに引き分けとなった。
こうして、男同士のプライドを賭けた戦いは、互いが根性を見せて、幕を下ろしたのだった。




