第43話「怪物たち」
まず最初に動いたのは、相良優人の方だった。
彼は炎属性のC級魔法、炎槍を繰り出してから、高尾に斬り掛かる。
それらを高尾はあっさりと躱し、左手に持つ拳銃の引き金を引く。
だが、それは、相良優人の剣に弾かれた。
「相変わらず、速いな、高尾。」
攻撃を止められたはずの相良優人が笑って言う。
「だが、負けないよ!」
そして、こう言ってまた高尾に斬り掛かる。
それを冷静に高尾は捌く。
そして、カウンターにまた銃弾を叩き込む。
だが、それはまたことごとく剣に弾かれる。
が、銃弾が弾かれるタイミングを狙って、高尾は駆ける。
目的地は相良優人の懐だ。
そして、タイミングよく相良優人が剣を振り抜いたタイミングで懐に飛び込めた高尾は、音属性の魔法を纏った右足で相良優人の胴体を蹴る。
感触的には、微妙といったところ。
それを高尾は感じていた。
そして、それだけでは相良優人が倒れないとわかっていた。
「チッ。 蹴った瞬間、魔力を腹部に集中させたか。」
高尾が舌打ちをして、不機嫌そうに言う。
「その通りだよ。やっぱり、高尾くんはすごいね。」
高尾の蹴りで吹き飛ばされた相良優人が立ちながら言った。
表情は笑顔を崩していなかったが、目つきが真剣なものになっている。
そして、また高尾に斬り掛かる。
今度は、相良優人の体の周りに炎の玉が浮かんでいる。
そして、炎の玉と相良優人の剣が高尾を交互に攻めていく。
だが、高尾は音属性のD級魔法、衝撃で炎の玉を打ち消し、相良優人の剣は、何発もの銃弾を相良優人の体に叩き込むことによって、剣で防御させ、相良優人に攻撃させることなく距離をとった。
が、相良優人が体勢を立て直し、また斬り掛かる。
今度はフレイムカッターというC級魔法を使いながら。
フレイムカッターと相良優人の攻撃は先ほどの2回の攻撃よりも速く、そして鋭く、高尾に向かっていく。
それを高尾は先ほどと同じように捌く。
が、フレイムカッターを1発かき消せなかったため、掠り傷を負った。
それは、ほんの数秒の出来事だったが、2人の戦いが他とは高次元の戦いであることが、闘技場の観客席にいる一般の人々にもわかった。
そして、観客たちは2人の魔法がぶつかり、銃弾と剣が火花を散らす度、歓声を巻き起こす。
そして、その歓声を起こさせている2人、高尾響弥と相良優人はすでに十分経っているにも関わらず、戦い続けていた。
彼らはどちらも先ほどより掠り傷が増え、少なからずとも少しずつダメージを与え合っていた。
が、高尾の方が有利であることは、明白であった。
さっきから、高尾の攻撃の方がヒットしているし、相良優人の攻撃がヒットする回数も少ない。
なにより、さっきから相良優人の方から攻めているにも関わらず、彼は吹き飛ばされて攻撃を終わらせていた。
が、相良優人は何度吹き飛ばされても倒れなかった。
それは、最初の攻撃のように高尾の攻撃がヒットする箇所に正確に魔力を集中されているからだ。
だから、彼らの差はわずかとはいかないが、高尾が相良優人を倒しきれるほど広がってもいなかった。
だから、相良優人は詠唱を始めた。
この戦いに勝つために。
「我、汝を呼び覚ます者。汝、燃え盛る太陽よ。我が願いを聞き入れ、この世界に顕現し、大いなる太陽の裁きを与えよ。全てを燃やし尽くし、この世界に汝の大いなる力を示せ!」
「破滅の太陽ッ!!」
相良優人が放ったその魔法は、大きな爆発を起こし、周囲を焼き払った。




