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Kissから始まる魔法学園  作者: 栗間屋 ラヒ
第3章 Kissから始まる魔法学園競技大会 春の部
34/95

第34話「鋼属性」

オレは、この狭い部屋の中で、戦っている。


それは、スピードを活かした戦いをするオレにとって、最悪の状況ともいえる。


だが、オレはそんなこと気にしない。

どうせ、こうなることは分かっていたし、こうしなきゃいけないことも分かってた。


だからこそ、オレはこの作戦に出た。

・・・いや、正確には出るしかなかった。


でも、予想外のラッキーが一つだけあった。


それは、オレがこの部屋に入って数分後、すでに起こっていた。


今からの作戦には、ソレが必須だった。

じゃないと、作戦自体に遅れが出る。


オレは、避けた鎖が自分を襲う前に、愛に突っ込む。


ヤツが体の正面に鋼属性の魔法によって防壁を作るが、それを炎属性の魔法ですぐさまぶち壊す。


そして、そのまま、愛の体を押し倒した。

そして、そのままキスをする。


「・・・え?」


愛の声が漏れる。

そして、その声は、衝撃で飛び起きたと思われる愛自身のモノだった。


だが、オレはそのとき、もう一つあることをしていた。


オレは、鋼属性の魔法(・・・・・・)で愛を拘束させてもらったのだった。


愛とオレはもともと魔力の相性が良く、オレとの相性は95%という高さを誇っていたので、オレは愛とキスをすることで、鋼属性の魔法が使えるようになっていた。


だからこそ、オレはラッキーだと思った。


だって、(アイツ)は自分から、オレが有利=自分が不利になるようにしていたんだから。


そして、この作戦はまだ半分しか成功していない。


というか、ここからが正念場だ。


「なぁ、愛。やっぱり、学校に行く気にはなれないか?」


オレはなるべく優しい声で聞いた。

ちなみに、押し倒した状態の上、鋼属性の魔法で拘束しているため、絵面的には最悪だ。

そして、そのため、オレと愛の顔が異常に近い。


それは、この作戦のもう半分である説得をやりやすくするためなのだが、やっぱり恥ずかしい。

それは、向こうも同じようで、向こうの顔がかなり赤くなっている。


「・・・そうですね。まだ行く気にはなれませんね。」


「・・・そっか。」


落胆するオレだったが、このくらいは当たり前、と考えていたので大してショックは受けなかった。


が、愛は落胆した返事をしたオレに対して言葉を続けた。


「でも、慧君といつでも一緒だったら、まぁ、行ってもいい、ですよ?」


いつもの愛だったら、恥ずかしがらないところで恥ずかしがった。

やはり、顔が近くて、照れてるのだろうか?


さすが、攻撃は最大の防御と言わんばかりに恋愛においてアタックだけを繰り返した少女。

オレからなにかしたときに、こうなることは予想済みだったのだよ。


・・・なんか、相手の好意を利用するって最低だな、と、本気(ガチ)で落胆したオレだったが、愛のためと思い、すぐ気を取り直した。


「お、おう。じゃあ、部屋を出ようか。」


「そ、そうですね。」


今の体勢を思い出したオレたちは、なんとなくよそよそしい会話をしながら、部屋を出た。


「ようやく部屋から出てきたか。このロリ。」


せっかく、部屋を出てきた愛に高尾さんが声をかける。

って、本人の前でもロリ呼びなんかいっ!


「うん、まぁね。」


「よし、じゃあ、あとは慧、コイツのことはお前に任せた。正直、お前以外に任せられないからな。できれば、同じ家で暮らしてくれると助かる。・・・コイツがまた引きこもるかもしれないからな。」


それを聞いた愛が、キラキラした目でオレを見てくる。

そして、高尾さんに向かって、親指を立てている。


「じゃあ、慧君のお家に行ってもいいですか?」


「んー、狭いけど、まぁ、いいよ。じゃないと、また引きこもるかもしれないし。」


「やった。ありがとうございます。」


嬉しそうにそう言うと、急に腕を絡ませてきた。


それを解かずにしていると、「オレは先に戻る。お前らは少しイチャイチャでもしてから来い。」と言って、去っていった。


そうすると、愛がなにかを思い出したようにしたあと、急に喋りかけてきた。


「・・・そういえば、さっき、鋼属性以外の魔法を使ってましたよね?誰とキスしたんですか?」


その声はいつもの愛と変わらない声だったが、妙に鬼気迫るなにかがあった。

オレの正念場はここからが本当の正念場なのだろう。

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