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Kissから始まる魔法学園  作者: 栗間屋 ラヒ
第3章 Kissから始まる魔法学園競技大会 春の部
29/95

第29話「怪物」

そろそろ本気を出す。

そう宣言したオレと同じく、少しづつ本気を出してきたのは高田さんもだった。


でも、そのおかげで高田さんの属性が分かった。

彼の属性は爆発属性だった。


爆発属性とは言葉の通り、物体を爆発させる属性魔法だ。

そのため、破壊力において爆発属性は他の属性を凌駕する。

だが、物体の爆発だけの力押しが基本的な戦い方であるため、かなり扱いが難しい属性でもある。

しかも、爆発させる距離と威力を間違えると自爆にまで繋がってしまうので、遠距離戦闘が基本的な戦い方で、1体1の勝負は基本的にせず、サポートや範囲攻撃といった攻撃に使われる。

そのため、爆発属性の魔法を近距離戦闘に使う者は少ない。


それだけに高田さんのような近距離戦闘での爆発魔法の使用者は珍しい。


そして、高田さんの頑丈さと爆発属性の魔法の相性は素晴らしいというほど良いため、高田さんはかなりの破壊力を誇る人物と言えよう。


しっかし、ついてねぇなぁ。

オレはスピードで相手を錯乱させ、テクニックで勝負するタイプの魔法使いだ。

力比べは得意分野じゃない。

でも、彼の防御力は彼の得意とする力比べ(ばしょ)で勝負しなきゃいけないレベルに反則的だ。


そんな彼とオレとでは、まず間違いなく相性が悪いと言っていい。


だが、オレは得意分野じゃないが、力比べは苦手分野じゃねぇ。

やってやろうじゃねぇか!


オレは転送魔法を使い、剣を手にする。

だが、オレはここで、あえて火炎砲(フレイムキャノン)を使う。


高田さんは当たり前のように、それを殴って粉砕する。

それによって、オレは高田さんの死角に移動する。

そして、雷属性の魔法を帯び、バチバチ言ってる剣で高田さんを斬りつける。


攻撃はヒットしたが、傷は見た感じさほど深くない。


「チッ。」


あまりの硬さに舌打ちをしてしまった。

予想よりも傷は浅い。そして、ダメージもさほど多くない。

でも、これでいい。


高田さんはすぐ立ち上がり、こちらに殴りかかってくる。

だが、先ほどよりもまったくといっていいほど、スピードが出ていない。


当たり前だ。

だって、さっきの一撃は単なる斬撃ではなく、高田さんの身体を麻痺させるための一撃だったんだから。

そのために、わざわざ身体を斬って、身体の内側から麻痺させているのだから。


これで準備は整った。

オレのような魔法を使い始めたばかりの魔法使いが詠唱魔法を使うには、それなりに魔力を集中させなければいけない。

そのため、肉体強化の魔法も少ししか使えない。

だから、高田さんを麻痺させて、行動を鈍くした。

オレが肉体強化の魔法を使わなくても背後を取れるくらいにな。


そして、背後に回り、オレは詠唱を開始する。


「火炎の龍よ、我に力を貸せ。我は求む。汝が牙と炎によって、敵を葬り去り、我が敵を灼熱へと誘うことをッ!」

火炎龍砲(ドラゴンキャノン)ッ!」


こちらを振り向く寸前の高田さんの背中にA級魔法「火炎砲龍(ドラゴンキャノン)」が炸裂する。


高田さんは吹っ飛び、周りの岩を何個かを吹っ飛んだ自身の体で砕き、やがて一つの岩に打ち付けられた。


これでオレの勝ちだ。


って、え!?

嘘、だろ?


高田さんは確実にダメージを負った状態で、だが、それでも立ち上がった。


「なん、で?」


思わず、オレから声が漏れる。


あのゼロ距離からの攻撃に耐えることのできる人間がいるのか?

いや、いないだろう。


だから、もうアレは人間じゃない。

すでに、怪物の領域に達している。


オレはそんな怪物を眼と鼻の先で捉え、戦慄していた。

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