第26話「ウロボロス」
オレが起きたのは、8時過ぎだった。
今日は日曜日、いい天気だ。
だが、オレは動けずにいた。
なぜって?
そりゃ、大して大きくないベッドに5人で寝てたら真ん中のヤツが動けないのは当然だろ?
いつものように誰かが起きるのを待つ。
桃香が起きてきたのでみんなを起こしてもらい、オレもベッドから出ることにした。
そこから数分後、オレは父さんから着信がかかってきた。
それは驚くべき内容だった。
オレは姫依を連れてすぐに学校に向かった。
学校に着き、オレは爺さんの姿を見つけると同時、オレは爺さんに声をかけた。
「オイッ!さっきの話はどういうことだ!?」
「さっき話した通りだよ。」
「それを説明しろよ!」
「そうは言ってもなぁ。オレにもなにがあったかよくわからんのだ。」
「・・・」
「そんなに説明しろっていうなら、さっきと同じことを言うが。羽鈴社長、いや、羽鈴政宗には魔法的な処理が施されていた。」
「? どういうことですか?」
事情を話していない姫依が口を挟む。
「つまりだな・・・羽鈴社長はウロボロスの何者かによって操られていた、ということになる。」
「なッ!?」
姫依の困惑していた顔が、驚愕の表情へと変わる。
「あれほどの魔法だと、かなりの実力だと見て間違いない。おそらく、幹部クラスの人間だろう。」
「・・・確かに、少し前から父さんの様子がおかしかったような・・・」
「それはいつぐらいからだい?」
「確か・・・半年前からです。そのときからです。慧との政略結婚をしろと言ってきたのは。」
「・・・うーん。半年前か。確かに、それくらいからHASUZUグループは有り得ないほど、新たな製品を発表し続けていたね。ウロボロスが関係していたとなれば、それも有り得るか。」
爺さんは少し考える姿勢をとったあと、こう言った。
「それで、父さんは大丈夫だったんですか!?」
不安そうに姫依が聞く。
そんな姫依に、爺さんは微笑みながら答える。
「あぁ、羽鈴社長にはなんの異常も見られなかったと聞いている。」
「そうですか。良かった。」
それを聞くと、姫依はホッとした顔になった。
それから少し話したあと、オレ達は家へと帰っていった。
家では、魅月とレインと桃香が心配そうな顔で待っていた。
オレは、3人に爺さんから聞いたことを話し、3人を安心させた。
「チッ、羽鈴社長が捕らえられたか。」
ウロボロスのアジトでは、傲慢が不満をむき出しにしながら、そう呟いていた。
「これで私が所有する有能な部下がまた1人消えることになった。羽鈴社長にはかなり金も作らせたし、魔法道具も完成させているからまだいい。それよりも、私の支配魔法による処理が行われていることがバレたのが、厄介だな。」
羽鈴社長を魔法道具と支配魔法で操っていた張本人である傲慢は考える姿勢のままそう呟いた。
確かに、彼の支配魔法によるコントロールは恐ろしい完成度だ。
しかも、その魔法は彼自らが作ったオリジナルの魔法であるところが彼の恐しさを物語っている。
でも、その魔法が研究され、無効化される魔法が完成したとき、彼はとてつもなく困ることになる。
なぜなら、彼の手足たる部下たちのほとんどがコントロールされた人間たちだからだ。
「仕方ない。また違う支配魔法を考えるか。」
彼はため息をつき、またオリジナルの支配魔法を作るため、自身の部屋に入っていった。




