第24話「雷属性」
戦闘狂が狂ったように笑う。
「いやァ、楽しいッ!楽しいですよッ!」
そう言いながらもオレと互角に戦ってやがる。
あっちはまだまだ余裕ってことかよ!
「チッ」
さっきよりも数が増えた水の腕を避けながら舌打ちした。
それにしても、水の腕が多すぎる。
これじゃ、近づくのも困難だぜ。
とりあえず火炎砲を使いながら、遠距離攻撃もしてるがダメージを与えられねぇ。
やっぱ、近距離攻撃しか効かねぇか。
そんなことを考えていると、後ろから声が聞こえてきた。
姫依の声だ。
だが、さっきと違い、息切れが激しくなっている。
「ねぇ、慧。私達の相性って何%か知ってる?」
そんなことを言ってくる姫依にオレは困惑した。
「は?急に何言ってんだ?」
「魔力の相性の話よ。」
「いや、意味くらい分かるけど。んなもん、知るわけねーだろ。」
当たり前だ。
だって、オレ達は最近、初めて会ったばかりなのだから。
「うちのお父さんがね。慧の魔力データを持ってきて、私の魔力とのデータを測ったの。」
「ふーん。それで結果は?」
なぜ、こんなことを言ってきたかわからず困惑するオレは聞いた。
「驚きの92%だってさ。」
「なッ!?」
オレは戦闘中にも関わらず、完全に驚いた。
だって、90%越える数値なんてそんなすぐ見つかるモンじゃねぇ。
「だからさ・・・」
間を置いて、姫依は覚悟を決めたように言う。
「私とキスしよ?」
「・・・」
オレは困った。
確かにオレがもう一つの属性魔法を使えるようになったら、このピンチも脱することができるのかもしれない。
でも、そんな時間をヤツらがくれるのか?
不意に灰原アレンが声を出す。
さっきまで戦闘を全力で楽しみ、手を止めること無く魔法を使っていた戦闘狂があえて、手を止めてまでオレ達の話をきいていたという事実と、灰原アレンが言ったことに対してだ。
「あぁ、そういうことでしたらどうぞ。」
「って、ハァ!?」
さすがにマヌケな声が出てしまった。
でも、仕方ないだろ?
急に敵の戦力増強を勧めるなんて。
しかも、戦力増強の手段がキスすることなんだぞ。
「いや、ちょっと待て。お前らがそんな時間をくれるとは思えないんだが?」
いや、待つのは自分の方もだろ?
いくらなんでも戦闘中に敵とこんなことを話すか、普通?
と、心の中で自分にツッコミを入れる。
「ええ、いいですよ。死にゆく男女を最後なんですからそれくらいの時間は取って差し上げますよ。あっ、羽鈴社長もいいですよね?」
気づいたように羽鈴社長にも意見を聞く灰原アレン。
羽鈴社長も頷き、
「まぁ、どうせ嫁にやろうと思っていたんだ。いいではないかな?」
「「・・・」」
さすがにオレと姫依は驚きを隠せない。
いや、お前もかよ、姫依!
内心でツッコミを入れる。
「まぁ、いっか。後悔しないでよね?父さん?」
そう言ってから姫依は瞳を閉じる。
いや、マジかよ!?
でも、こうしていても仕方ないか。
仕方ないので、オレは姫依に唇を合わせた。
柔らかい感触が唇に伝わる。
そして、なにか熱いモノがオレの中に流れ込んでくる感覚があった。
この感じ、前もどこかであった。
どこでだっけ?
そんなことを考えながら、姫依の唇の感触を味わったあと唇を放し、姫依を見ると、顔が真っ赤に染まっている。
あ。
今、思ったんだけど、オレ、キスした子の親の前で思いっきりキスしたんだよな。
やべ。
オレも恥ずかしくなってきた。
オレが姫依と二人で恥ずかしがっていると、声が聞こえた。
「もう終わったのなら、そろそろ決着を着けましょう?」
「オイオイ、娘たちのいいムードを壊すなよ。」
そう言って、ムードをぶち壊した灰原アレンに羽鈴社長が笑いながら突っ込む。
そう言われると、もっと恥ずかしくなってくる。
だが、恥ずかしがっているヒマはない。
オレは自分に言い聞かせる。
そして、オレは深呼吸をして、心を落ち着かせた。
そして、眼前に立つ二人の男を見る。
「じゃあ、そろそろお望み通り終わらせてやるよ!」
オレは右手で雷属性の魔法の魔法を使いながら、二人に宣言した。
すみません。
6月14日、姫依とのキスシーンを少し編集し直させていただきました。




