第23話「増援」
羽鈴社長が襲われたと聞き、珍しく傲慢こと、カイリー・レーハメンズは焦っていた。
「今、羽鈴社長に捕まってもらうとウロボロスの計画に遅れが生じる。ボスの悲願が達成されなくなる可能性もできる。それほどあの男の経済力は我らに必要なモノなのだ。」
部下にそう言って、羽鈴社長へ増援部隊を送ろうとする。
だが、部下の1人がこう言った。
「確かにあの人の経済力はすごいですが、もう正体がバレています。会社から追い出されたら、我々に必要な資金が提供できるとは思えません。」
「いいや、あの男は稼げるさ。あの男は魔法道具のことにかけては天才だからな。最低でも、組織のメリットにはなるさ。」
「そうですか・・・」
「あぁ。だから、助けに行ってやれ。」
「了解しました。」
これは、神谷慧がまだHASUZUグループ本社へ着く前のお話だった。
魔眼を解放したオレは羽鈴社長に攻撃を仕掛ける。
オレの右の魔眼は魔見眼と言って、文字通り魔力の流れを見ることができる魔眼だ。
そのおかげでオレは、羽鈴社長に対抗できている。
が、羽鈴社長はオレが魔眼を使ってから魔法武器を使って攻撃している。
オレは魔力の流れを見ることができるため、傷を負うことはないが、魔法武器を避けることしかできない。
そのため、オレと姫依は、もう何十分も戦闘を続けている。
「チッ」
また攻撃を躱された。
そして、魔法武器による攻撃がくる。
そのため、攻撃したあとに後退するしかないため、ヒットアンドアウェイの戦法を取るしかなく、追撃ができない状態にある。
だが、その攻防の中で羽鈴社長の魔力がどんどん消費されていき、オレたちは戦闘が長引くにつれ有利になっている。
事実、羽鈴社長の魔法道具による攻撃は最初のころよりも少なくなっている。
だが、その戦闘の最中、予想外のことが起きる。
ウロボロスのメンバーが他にも現れたのだ。
「皆さん、ご機嫌よう。私、ウロボロスのメンバーが一人、灰原アレンでございます。以後、お見知り置きを。」
「ご丁寧にどうも。私は神谷宗一郎の孫が一人、神谷慧でございますよ。」
微笑みながら自己紹介する20代の男に皮肉気味に言ってやった。
それから、オレはバックステップで姫依に近づき話しかける。
「オイオイ、1人でも大変だってのに2人もいたらヤバいんですけど。」
「ええ、そうね。さすがに厳しすぎる。」
姫依がオレの意見に賛同する。
「さすがに戦う相手が少し悪いな。まぁ、頑張りますか。」
そう言って、オレは灰原アレンと名乗った男に剣を向ける。
「ほう。私とやる気ですか。受けて差し上げましょう。」
そう言って、灰原アレンは杖を構える。
次の瞬間、オレは全力疾走で灰原アレンに向かう。
オレの炎を纏った剣を、灰原アレンは水でつくった大きな手で受け止める。
そして次の瞬間、灰原アレンの周りに無数にできた、水でつくられた大きな手がオレに迫る。
だが、それくらい魔眼の能力で魔力を見ることで事前に分かっていたので、避けることができた。
「なかなか、やりますね。」
灰原アレンが笑いながら、言ってくる。
「ですが、これならどうでしょうか!?」
灰原アレンがそう言うと、さっきの倍以上の水でできた手が襲ってくる。
それを魔法を駆使しながら避け、灰原アレンの懐へ潜り込む。
そして、近距離で火炎砲をかました。
灰原アレンは、吹っ飛んだがすぐに立ち上がった。
あの瞬間、水属性の魔法でガードされたようだ。
だが、それなりにダメージを負っているらしく少しふらついた。
が、次の瞬間、こっちを見てくる。
「いいッ。いいですよッ!もっと私を楽しませて下さいッ!」
灰原アレンはトーガルに負けぬほど狂ったような笑いを浮かべながら、そう言った。
「チッ。テメェも戦闘狂かよ。」
オレは吐き捨てようにそう言うと、灰原アレンは笑いながら返す。
「ええ、そうですよ。私は戦闘を愛してます。狂ってるぐらいにね!さぁ、早く続きをしましょう?」
その言葉を合図に、オレと戦闘狂との戦闘の続きが始まる。




