第20話「身代わり」
「なるほど。そう言われると返す言葉が出てこないな。」
と、羽鈴社長は言う。
「当たり前だ。アンタがやったことに対して責任を取らせるために調べ物をしてたからな。」
「だがね・・・私と彼らはどこで知り合ったのかな?」
「・・・それはまだ調査中だ。」
「そんなことないのだから、そんな情報出てこないだろうが、まぁ頑張ってくれたまえ。」
「おう。アンタを絶対、鉄格子のあの素敵な部屋に叩き込んでやるぜ。」
そう言って、オレはHASUZUグループ本社から出て、家に帰った。
だが、家に着く少し前、オレは爺さんと話をしていた。
「なぁ、爺さん。あのオッサン、まだ諦めてないみたいなんだが、なに企んでると思う?」
「さぁな。さっぱりだ。でも、トーガル・カルザーが言っていたことが真実なら、ヤツはここで終わるはずだ。」
「だな。でも、あのオッサンはどこであんな危ねぇヤツを見つけんだ?」
「そこが大きな疑問だが・・・トーガル・カルザーは残虐性の塊みたいな男で、世界各国を旅しながら人を殺め続けてる。そんなヤツなら、偶然会うこともあるだろ。」
「だが、よくあのオッサンはあんなヤツと取り引き出来たよな。」
「まぁ、そこは魔法道具の提供でなんとかしたんだろ。あの変態、快楽殺人鬼なんだろ?」
「そうだが。・・・まぁ、そうかもしれんな。」
オレと爺さんの間に沈黙が流れる。
「オレは家に早く帰んねぇとだから、もう帰るわ。じゃ、調査のことしっかり頼むぜ。」
「おう。任せとけ。」
そう言って、オレは家に帰った。
「よォ。父さん。」
神谷獬は、慧が帰ったのを見計らって父さんに声をかけた。
「なんだ。獬か。トーガルに酷くやられたと聞いたが元気そうだな。」
「いいや。かなり酷い傷だったらしいから少しの間は安静だとよ。」
「・・・そうか。腕も斬られたと聞いたが、回復魔法で治してもらったようだな。」
「まァな。綺麗さっぱり斬られたから、まだ少ししか動かせねェけどな。」
「そうか。」
こんな話は終わらせて、本題に入ることにした。
「やっぱりトーガルは、ウロボロスの一員だった。」
ウロボロスとは、体の一部に尻尾を喰らう蛇のマークがある殺人鬼の集団のことだ。
人を殺め続ける目的はわからないが、全員が快楽殺人鬼だとの噂もある。
「やっぱりか。」
「あァ。しかも、幹部クラスの人間だろう。マークの色が他のヤツらとは違った。」
「・・・そうか。」
「口数がやけに少ないな。どうしたんだ?」
「ちょっと気になることがあってな。」
「・・・慧のことか?」
「・・・それもあるがな。今、考えてることは違うことだ。」
「・・・少し聞かせろ。」
ボク、トーガルは、日本に何箇所かあるアジトの1つに戻ってきた。
ボクが回復魔法で腕を再生させていると、ボクと同じ幹部であるカイリーが声を掛けてくる。
「憤怒、どうしたんだ?その傷は?」
「カイリーか。少し2代目剣聖にやられてね。」
「貴様もウロボロスの幹部なのだから、名前で呼ぶな!」
チッ、真面目でウザいヤツだ。
コイツがボクと同じ幹部じゃなきゃ殺してやるのに。
「わかったよ。悪かったね。傲慢。」
そうすると、傲慢は去っていった。
特に用事もねぇのかよ!
話かけてくんなよ。殺すぞ!
そうボクの心が叫んでいる。
まぁ、いいや。
ボクが今、一番殺したいのはただ1人だから。
待っててよ、2代目剣聖。
すぐに殺してあげるからさ。
アハッ!アハッ!アハハハハハハハハ!
次の休みの朝、慧はテレビであるニュースを見た。
それは、羽鈴社長の秘書が、黒い軍団を使って1人の少女を殺そうとしていたことで、逮捕されているニュースだった。




