第18話「決着」
オレが急いで本州から戻ってくると、気持ち悪い金髪と、そいつに左手を吹き飛ばされてる親父、それから泣いている桃香がいた。
オレは、そいつらに声をかけた。
「オイッ!お前ら、今、どうなってやがる!?」
叫ぶと、桃香がすぐ振り向いて駆け寄ってくる。
「慧のお父さんの、ひ、ひ、左手が飛んで・・・えっと・・・」
「まず落ち着け!」
そして桃香を落ち着かせると、桃香にあの笑っている変態みてぇな金髪が何者なのか聞いた。
オイオイ、SSランクの大犯罪者だと!?
しかも、魔法が効かないなんて。
さすがに分が悪いな。
「桃香、あの建物に向かって走れ!そこに、レインがいるはずだ。」
そう言って、一つの建物を指さす。
建物は大きく、目印としては、充分な効果を発揮するハズだ。
「え?でも・・・」
そう言って、拒む桃香にオレは強い口調で言う。
「いいから、行けッ!ここにいると、お前まで巻き込んじまう。」
そう言って、桃香を強引に逃がす。
これでいい。
これなら、親父の魔法でなんとかなるだろ。
「親父、あの変態のことだが・・・なんとかできるか?」
「多分なァ。桃香ちゃんがいなけりゃ、本気が出せるはずだぜェ?」
「そっか。じゃ、任せた。」
そう言って、オレも立ち去る。
なぜって?
そんなの決まってんだろ。
親父の空間自体に作用する魔法に巻き込まれたら、さすがに死んじまうからな。
あァ、あのバカ息子、マジで行きやがった。
神谷獬は左手ねェんだぞ!?
なんかしてから、行けや!
しっかし、キツイなァ。
下手すりゃ、勝てないんじゃね?
息子に任されたから、下手なんかしねェけどなッ!
「我は、支配者。そして、この空間に存在するすべての物体の王なり!この空間に存在するすべては我が思いのままに、砕かれ、壊れ、死に行くがいいッ!そして、我が身心のままに蹂躙されるがままとなれッ!もう一度言うッ!我は支配者。この空間の支配者なりッ!」
「生死でさえも我の自由」
この魔法は世界でもオレしか制御出来ないオレのオリジナル魔法だ。
そして、オレでも完璧に制御できるかはわからない。
それほど、強力なものなのだ。
オレは圧力を完璧なまでに制御し、目の前に笑いながら立つ狂った野郎の胸に埋まってる魔法道具を砕いた。
「ボクの魔法道具がッ!そんな・・・・・・嘘、だろ?嘘なんだろ?ボクが負けるはずないッ!ボクは、強いんだからッ!・・・・・・アハッ!アハッ!アハハハハハハハハハ!」
狂った野郎の笑顔が絶望に染まる。
そして、引きつった笑顔を浮かべてオレに向かってくる。
「そんなんじゃ、遅せェよ。」
オレは仕返しとして、ヤツの左腕を斬り裂く。
「ぐわぁぁぁぁあッ!痛いッ!痛いッ!」
ヤツは斬られた左腕を抑え、悲鳴を上げている。
そして、オレに背を向けて逃げ出した。
「っの野郎ッ!って、痛ッ!」
オレも無茶したのか、左腕が痛くて仕方ねェ。
それに、詠唱魔法をこんな短時間で2回、しかも、生死でさえも我の自由まで使ったんだ。
魔力が切れちまった。
「仕方ねェか。テメェは今度、しっかり地獄に送ってやるよ!」
こうして、痛み分けの決着でトーガル・カルザーとの1回目の戦いは幕を閉じることになった。
「おぉ、終わったか。親父。」
オレは、左手を斬られた親父にそう言った。
「おう、一応な。何回死んだと思ったかわからねぇがな。」
笑いながら言っているが、無理はしてるだろう。
それくらい、顔でわかる。
「レインが車を呼んだ。とりあえず、乗れ。オレは後始末が残ってる。」
そしてレインの呼んだ車に親父を乗せると、オレは倒れている黒い軍団に近づいていく。
そして、こいつらを誰も来ないような工場跡地にきた。
「今から、楽しい楽しい拷問の時間だッ!全員、しらばっくれるなんてことはしてくれるなよ!」
なるべく、恐怖心を煽るように笑いながら言う。
だが、誰も何も言わない。
全員意識はあって、止血もした。喋れるはずなんだけどな。
これで言ってくれれば楽だったのにな・・・
お前らがッ!
仕方なく楽しい楽しい拷問の時間はやってきた。




