第14話「決戦の行方」
「娘の姫依を慧君のところに嫁に行かせたいんだが、どうだろう?」
こんなふうに、オレたちが椅子に座って早々、姫依の親父さんは切り込んできた。
「いえ、オレにはレインがいますし。」
「いや、第二夫人とかでもいいんだ。」
第二夫人でもいいって、やっぱひでェな!
確かに日本が魔法大国になってから一夫多妻制は許可されたが、普通、自分の娘が第二夫人に行くなんて、親が心配するモンだ。
それを自分から勧めてくるなんて。
本当にコイツは自分の娘のことをなんだと思ってんだよ!?
「すみません。そんなに女性を侍らせようとは思ってないので。」
「でも、君のお宅には、レイン様以外に二人も女性がいるだろう?」
なッ!?
そんなの最近のことだぞ!?
コイツの情報収集能力は、恐ろしいな。
それに引き換えオレたちは、まったく羽鈴家の事情について深く知らない。
これは交渉という情報戦における大きなハンデになる。
その事実を確認し、冷や汗をかきながら笑顔で言い訳を考える。
「いえ、二人は私が許しました。」
と、オレが考えている最中に口を開いたのはレインだった。
はぁ〜、良かった。
まったく言い訳を思いつかなかったので、レインが答えてくれて助かった。
「じゃあ、娘のこともお許し願いたいのですが。どうしょうか?」
「私を含めて慧様の妻は3人もいるので、了承しかねます。」
「そうですか。では、私は仕事がありますので失礼致します。」
そう言って、オレ達をエレベーターまで送り届けてくれた。
なんだ?
このオッサン、今、少し笑った?
それに、眼がまだ死んでない。
なんかする気か?
じゃあ、なにを?
オレは、交渉の内容を一言一句思い出す。
そして、オレは気づく。
レインの最後の話が、「三人いるからダメ」という理由で断ったことに。
じゃあ、あのオッサンは何をしようとするか?
そんなの決まってる。
三人を二人に減らす。
つまり、魅月と桃香、二人のうちどちらかをこの世から消す。
マズイ、確か、魅月は今日出掛ける予定はなかったはずだが、桃香は買い物に行くとか言ってたな。
桃香の身が危ない!!
オレは急いで携帯を取り出し、桃香にかける。
だが、いくら待っても繋がらない。
これは、気づいてないだけなのか、それとも・・・
悪い想像が頭を掠める。
桃香、無事でいてくれよ!
そう願って、オレたちは羽鈴本社ビルから出て、羽鈴本社ビルのある東京からあの島にテレポートするため、テレポートできる場所まで走った。
その頃、私(桃香)は全身を黒い服で統一したヤバそうな軍団に囲まれていた。
この軍団が私を尾けていることに気づいたのは、買い物が終わってすぐのことだった。
私は逃げようとしたが、黒い軍団の機動力と数によってすぐ追いつかれ、人がまったくいないところで囲まれた。
黒い軍団は、20人くらいで、ひとりひとりがかなりの手練れであると感じられる。
そして、全員が魔法武器で武装していて、的確に私だけを狙っている。
この状況じゃ、私がこの世を去るまで十秒もいらないだろう。
私、死ぬのかな?
慧ともっと話したかった・・・
そして、銃声が聞こえた。
だが、私は撃たれていない。
どういうこと?
私は、不思議に思って目を開けた。
すると、目の前には慧のお父さん、神谷獬さんが不敵な笑みを浮かべて立っていた。
「よォ。お前ら、うちのバカ息子の未来のお嫁さんになにしちゃってくれてんの?」
そう言って、慧のお父さんは手に持っている剣に魔力を込め始めた。
恐ろしい量の魔力だ。
さすがは、2代目剣聖、といったところだろう。
2代目剣聖という異名は、慧のお爺さんが剣聖の異名を持っていたので、慧のお父さんはそう呼ばれるようになったらしい。
それにしても、あの剣もすごい。
あれだけの量の魔力をこんな短時間で込められるなんて、ただの剣じゃない。
アレが噂に聞く2代目剣聖の剣、魔剣ギルティのようだ。
それと対を成す剣、魔剣イノセントも見たかったが、抜く必要はないようだ。
そして、不敵な笑みを浮かべている慧のお父さんと黒い軍団の戦いが始まった。




